5ちゃんねる ★スマホ版★ ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50  

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

クローン人間は温泉ペンギンの夢を見るか?

1 :碇シンジ:01/12/11 23:33
誰か教えてよ。お願いだよっ。
駄目なんだ、ボクじゃ。駄目なんだよ…

2 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/12/11 23:40
(゜д゜)ハァ??

〜〜〜〜FIN〜〜〜〜

3 :碇シンジ:01/12/11 23:44
誰も、誰も教えてくれないんだね。
分かってたんだ。みんなボクが要らないから、だから優しくしてくれないんだ、誰も。
嫌いなんだろ。そうだと言えばいいじゃないか!違うのかよ!

4 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/12/11 23:48
クローン人間じゃないので分かりません。以上

5 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/12/11 23:48
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』か…。

ブレードランナーのデッガードが最初のシーンで食ってたのは
きつねうどん?牛丼?

6 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/12/11 23:54
綾波のレプリカント欲しい〜〜

7 :碇シンジ:01/12/11 23:56
そっか。ハハハ。そうやってまたボクを騙すんだ。平気な顔で嘘を付くんだ。
子供だからって、大人の都合だって、言い訳するんだ。
誤魔化して、その答え強要してるだけじゃないか!そんなの止めてよ!

8 :馬並レイ:01/12/12 00:06
昨日、見たわ…。
ただ、それだけ。
私は、どう答えていいのかわからないもの。

9 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/12/12 00:09
子供に子供の事情があるように、大人には大人の事情があるんだよ。
それは多くの場合相容れないものなんだ。

10 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/12/12 00:11
もういい。ヤメロ。

11 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/12/12 00:42
「オランダ妻は電気ウナギの夢を見るか」か・・・

懐かしいな、ってわかる奴は少ないだろうが。

12 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/12/12 01:08
そんな古いエロゲー知るわけない。

13 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/12/18 03:04
チプーンカプーンだヨ

14 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/12/18 04:16
ボク、クーロンニンゲン、オンセンペンギンノユメミタ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜第一部終了〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

15 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/12/21 00:24
ヽ(`Д´)ノ

16 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/12/27 02:29
(-.-)y-.。o○

17 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:01/12/28 18:15
ttp://www24.big.or.jp/~ker/upl/upload/0021.jpg

18 :ナナーシ:02/01/07 02:58
オンセンペソギソハ ヨウショクマグロノ ユメヲ ミルゾ。

19 :ぽち:02/01/07 18:25
 おじゃまします。
しばらくのあいだ、ここで遊ばせてください。
ベタベタで申し訳ないんですけど・・・。

それではお話を始めますね。

20 :ぽち:02/01/07 18:25
 21世紀始め、日本のネルフ・コーポレーションは人間そっくりのネクサス型クローンを開発。
それらはレプリカントと呼ばれた。特にネクサス6型レプリカントは体力も敏捷さも人間に勝り、
知力もそれを作った技術者に匹敵した。公式発表の席でわが社自慢の子供達と紹介した
ネルフ会長の言葉をとって、ネクサス6型レプリカントは『チルドレン』と名づけられた。チルド
レンは奴隷労働や圏外(地球外)での危険な作業などに使われていたが、ある時反乱を起こ
して人間の敵に回った。チルドレンの性能から警察組織の手にあまると判断した日本政府は
軍にその対処を一任。地球に戻ったチルドレンを処分するために、戦自内に対チルドレン
特捜班が組織された。人の形をしたチルドレンを無慈悲に処分する彼らは、ある種の揶揄を
こめて“伝道者”と呼ばれた。

21 :ぽち:02/01/07 18:25
           第三新東京市

           2019年 11月

22 :ぽち:02/01/07 18:26
 雨がずっと降り続いている。
地軸を震わせたセカンド・インパクトの影響で、世界中の気候はすっかり変わってしまった。
空には灰色の雨雲が始終たれこめて、第三新東京市に日の光が射すことなどほとんどない。
どんよりとした雲は人々の気持ちを暗く押しつぶしていた。裕福な人たちは気候のいい大陸
か天気が管理されたコロニーに移っていった。普通の生活から捨てられた人、もしくは捨て
た人が、今この街に住んでいる。
 雑然とした商店街のなか、店の軒先で雨宿りしている女性は後者の方だった。

23 :ぽち:02/01/07 18:27
 狭い道路を挟んだ向かいの紅茶専門店が開くのを彼女は待っていた。年のころは二十歳
前。名前をマナといった。紺色のレインコートに同色のレインハットをあわせている。少し雫の
垂れる帽子の下には、栗毛色の髪と化粧ひとつしていない顔がのぞいていた。きれいに整っ
た顔立ちに、わずかに少女の面影が残っていた。
 しかし、人を惹きつける愛らしい瞳とは裏腹にマナは容易に扱われるような女ではなかった。
この街にながく暮らす人ならマナの内に秘めたものに気がつくことだろう。

24 :ぽち:02/01/07 18:27
 商店街の上空にさしかかったバルーンシップが政府広報をがなりたてはじめた。いつもの
圏外(地球外)作業者募集広告だった。
 胡散臭げにマナは空を見上げた。
甘い言葉が下りてくるが、圏外に黄金の大地や新しい生活とか冒険なんかは待ってはいない。
苛酷な労働か悲惨な死だけがあることは、ここの街の住民なら誰でも知っていることだった。

25 :ぽち:02/01/07 18:27
(あそこだったら私を雇ってくれるだろうか・・)
 バルーンシップを眺めながら、ぼんやりとマナは思った。
(元戦自・・元伝道者・・元殺し屋・・)
 つまらない思いを払うようにマナは小さく首をふった。

26 :ナナーシ:02/01/08 02:27
>>22-25
イイ! ツヅキ タノシミニ シテルゾ!…ト、 プレッシャーヲ カケテミル。 ワル! カコイイ!

27 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/01/10 03:11
ぽちさん、前作もお気に入りでした。
今作も応援してます。
頑張って下さい。

28 :ぽち:02/01/11 17:39
>>26-27
ありがとうございます。
軽い気持ちで始めちゃったけど、最後までたどり着きたいと思ってます。
しばらく一緒に遊んでもらえたら嬉しいです。

それでは、お話を続けますね。

29 :ぽち:02/01/11 17:39
 紅茶専門店の扉が開き、一人の老紳士が顔を出した。この店の主人だ。
 主人はドアに掛かっていた『closed』の札をはずすと
「開きました、開きました。いらっしゃい」
と、手招きしながらマナに声をかけた。
 マナは小さく息をつくと、口元にかすかに笑みを浮かべ、小走りに店に駆けこんでいった。

30 :ぽち:02/01/11 17:40
 店の中はそれほど広くはない。入ってすぐに紅茶葉や小物が飾られたショーケースとレジが、
つづいて奥に数人が座れるカウンターがあるだけだった。それでも調度品は落ちついた雰囲
気で統一されていて、空調も清掃も行き届いている。そこは主人の心配りを感じることができる、
あたたかく、落ちついた、誠に気持ちのよい店だった。
 マナはコート掛けに帽子とコートをかけると、慣れた奥の席に座った。

31 :ぽち:02/01/11 17:40
「オレンジのタルトを四個、紅茶はダージリンで」
 乾いたタオルを受け取りながら、マナは注文を伝えた。
「二つで十分ですよ」
 主人はちょっと驚いたように、右手指を二本マナにしめした。
「いいや、四個!」
 かたくなにマナはかえす。どうあっても食べるつもりなのだ。

32 :ぽち:02/01/11 17:41
「二つで十分ですよ。ふとりますよ」
「うっ・・・。じゃあ、胡瓜のサンドイッチ・・・」
 老主人の真摯な忠告に、マナの決心もあっさりと翻る。
「わかりました」
 品良く微笑みながら主人は下がっていった。

33 :ぽち:02/01/11 17:41
 しばらくするとマナの前にはタルトとサンドイッチがのった小皿が、次いでボーンチャイナの
見事なティーセットが鎮座した銀のトレーが並んだ。午後の紅茶としては実に申し分がない。
 これが、今のマナにとって、たったひとつ残された幸せだった。
 けれど、この日の幸せは長くは続かない。
 一人の女性が店に入ってくると、マナの方に向かって歩いてきた。

34 :赤い目の名無し:02/01/13 23:26

無理をなさらず、御自分のペースで。

また、ぽちさんの作品が読めるのを嬉しく思います。

35 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/01/15 01:56
応援してます。頑張ってください。

36 :ぽち:02/01/15 18:27
>>34-35
 ほんとうにありがとうございます。
これでいいのかなあって少し不安もあるんですけど、
一緒に遊んでもらえたら嬉しいです。

それでは、お話を続けますね。

37 :ぽち:02/01/15 18:28
「ご同行お願いします」
 丁寧な物言いだったが、そこにはからかうような響きがあった。
 マナはわずかに眉をひそめた。
「お断りよ。お茶の邪魔はしないで」
 見向きもせずに、マナはぴしゃりと言い放った。
「そうも言ってられないのよねえ。発令所に出頭要請が出ているわ、『伝道者』の霧島マナさん」
 まあそんなに突っかかるなといった感じで女が言った。マナの態度を気にとめてもいなかった。

38 :ぽち:02/01/15 18:29
「発令所ねぇ・・」
 うんざりした表情でマナはつぶやいた。やっかいごとが転がり込んできた気がした。
(もう、まだ一杯しか味わってないのに。せっかくの午後の紅茶が台無しじゃない・・)
 マナは腹立たしかった。無粋な出頭要請など余っ程ほっておこうかと思ったが、やめた。それ
こそ、よけいやっかいなことになるのは目にみえている。

39 :ぽち:02/01/15 18:30
 大きくため息をつくとマナは席を立った。代金を払い、主人に紅茶を残していく非礼を詫びた。
 主人は残ったサンドイッチを油紙に包むと、黙ってマナに手渡してくれた。
 マナはコートを羽織り帽子を手に取ると、ようやく女の方に振り向いた。
 「待たせたわね」
 「いいえ、退屈はしてないわ」
 女はマナをおもしろそうに眺めていた。

40 : ◆Kou/fTIE :02/01/16 22:36
読ませていただいていました。
私もとても良いと思っています♪
負担にならない程度にがんばってくださいね。

41 :ぽち:02/01/20 17:26
>>40
ありがとうございます♪
少しずつしか進みませんが、よろしかったら最後まで
遊んでいってください。

それでは、お話を続けますね。

42 :ぽち:02/01/20 17:26
 女の名前は、葛城ミサトといった。
 ミサトもまた戦自に所属し、チルドレンを狩るハンターだった。その言動からお調子者といった
印象を受けるが、あくまで上辺だけのことに過ぎなかった。局地でのレンジャー訓練をやり遂げた
兵士としての技量もさることながら、戦闘の指揮に関しては葛城の右に出るものがいないと謳われ
た戦自きっての戦術家でもあった。若干品行に問題もあるが、人柄は明るく、部下からの人望も
厚い。彼女は将来を嘱望された軍人といえた。

43 :ぽち:02/01/20 17:42
 ミサトが配属された対チルドレン特捜班には、若い兵士が集まっていた。
 あるときミサトは、もしチルドレンと一対一で対峙することになったらどうするかと彼らに訊いたこと
がある。血気盛んな若い駆け出しの兵士達だった。自分の腕っ節を自慢した威勢のいい返事を
ミサトは期待していたが、返ってきたのは意外なこたえだった。
「自分なら迷わず退却します。マナだったらなんとかなるかもしれませんが・・」
 このときミサトは、マナという名を初めて聞いた。

44 :ぽち:02/01/20 17:42
 さらに詳しく訊ねてみて驚いた。
彼女はまだ二十歳にも満たないが、チルドレンを狩る最強のハンターは間違いなくマナだと、彼ら
は口々に言った。ミサトはますますマナに興味を持った。今どこの部隊に配属されているのかミサト
が訊ねると、もう戦自を辞めていったと彼らは言った。突然除隊を願い出て、説得に耳も貸さずに
マナは辞めていったと言う。ミサトが転属してくる少し前のことだそうだ。

45 :ぽち:02/01/20 17:43
 マナと入れ違いで自分が配属されたことを知って、ミサトは少し残念に思った。一度会ってみて、
どれほどの人物か自分の目で確かめてみたかったからだ。 
 幸いなことに、もう会うこともないだろうと思ったミサトの意に反し、その機会は割合早くに訪れた。
マナの再召集を聞いた時、迎えには自分が行きますと、ミサトは自ら志願したのだった。

46 :ぽち:02/01/24 18:48
 入り口で検問を終えると、車はゆっくりと戦自の敷地内に入っていった。ゲートを通り抜けたとき、
雨足が少し強くなった。車中でミサトとマナは一言も話すことはなかった。マナはサイドウインドーに
流れる雨滴を見ているだけだった。ここに来るのは久しぶりだったが、マナには何の感慨ももたらさ
なかった。マナが詰めていた建物が見えても、それは同じだった。

47 :ぽち:02/01/24 18:48
 発令所の入った建物は古い駅舎を増改築したものだった。戦自施設の中にあって、むやみに大
きく、異質な建物だった。すぐ前には何の飾り気もないロータリーがあって、排水溝から溢れだした
雨水が砂利道に水溜りを作っていた。
 車は入り口の広い階段の前に横付けして止まった。
 車を降りたマナは、ミサトを待つことなく建物の中に歩いていった。

48 :ぽち:02/01/24 18:49
 まっすぐに発令所を目指しマナは歩いていった。駅舎の名残を残す高い天井のホールは、マナ
の靴音を響かせた。
 ミサトのほうを振り返ることなく無言で歩くマナの様子に、どうやらまだ御立腹のようだ・・お茶を邪魔
したのはちょっち拙かったかなと、後を歩くミサトは苦笑していた。 
 やがて発令所の大きな扉が近づいてきた。
 ミサトが見つめるなか、マナは勢いよく扉を開けた。壁にあたった扉が、ガタンと音を立てた。少し
立ちどまると、憮然とした表情でマナは発令所に入っていった。

49 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/01/28 08:20
保守兼応援
がんがれ〜

50 :ぽち:02/01/28 20:16
>>49
ありがとうございます。気を使ってもらって、嬉しいです。
最近dat落ちが頻繁ですよね。このお話も、落ちない
程度に頑張りたいです。

それでは、お話を続けますね。

51 :ぽち:02/01/28 20:16
 御大層な机の向こうに男がいた。
 顔を上げると、ふんぞり返ってマナを見た。
「元気か?」
 男が言った。
「ええ」
 短くマナは答えた。

52 :ぽち:02/01/28 20:17
「普通に呼び出してもお前は来ないからな、悪く思うな。大事な話がある。まあ、座れ」
 手元のファイルを閉じながら男が言った。
「チルドレンが三匹、通りをうろついて・・・何ぼさっと突っ立ってるんだ。別に取って食ったり
しないさ」
 男は笑って席を勧めた。
(おやおや、やけに愛想がいいじゃない)
 まったく今日はろくなことがないと、マナは思った。

53 :ぽち:02/01/28 20:17
 マナはこの男が大嫌いだった。
対チルドレン特捜班の隊長だが、マナとは反りが合わなかった。差別語を人前で平気で使う
ような男だった。言動、態度、何から何まで、ことごとくマナの神経を逆なでした。そして、この
男がマナのことを毛嫌いしているのも判っていた。
 それが今日はどうしたことか。
(午後の紅茶は邪魔されるし・・・)
 ぶつぶつこぼしながら、とりあえずマナは座った。

54 :ぽち:02/01/28 20:18
「奴ら、シャトルを奪って圏外から高飛びしおった。そのシャトルが見つかったのは二週間前
だ。ぷかぷか芦ノ湖に浮いてたそうだ。それでチルドレンがこの辺りにいるのが判った」
 男はコーヒーを勧めながら切り出した。
「たいへんね」
 そっけなくマナは言った。

55 :ぽち:02/01/28 20:18
「そうでもないさ。シャトルが降りてくるのは誰も見ておらん。お前が奴らを見つけて処分す
れば、大した騒ぎになるまいよ」
「わたしは辞めたの。ムサシを使えばいいじゃない、優秀なんでしょ」
 ぶっきらぼうにマナは言い捨てた。
「使ったさ・・・、生きてるうちはよかった。だが、お前には劣る」
 いまいましそうに男が言った。

56 :ぽち:02/01/28 20:19
「力を貸せ、霧島。今度はちょっと面倒な相手だ。お前のマジックが必要なんだ。やっぱり
腕の立つ狩人でないとな」
 男はへりくだった薄ら笑いを浮かべていた。こういうところがマナの癇に障る。
マナはすこぶる不愉快だった。
「わたしは昔と違う。もう、人殺しはやらないわ」
 これ以上話すことは我慢ならなかった。
 マナは席を立つと、さっさと出口に向かった。

57 :ぽち:02/01/28 20:19
「待て!逆らう気か!」
 男が叫んだ。顔が紅潮していた。
「権力には勝てんぞ。お前はもう軍人じゃない、一介の市民にすぎないんだぞ」
 続けざまに大声をたてた。

58 :ぽち:02/01/28 20:20
 マナの足がぴたりと止まった。
 ゆっくりと振り返ったマナは嗤っていた。
「強制ね」
「ああ、強制だ」
 男が、にやりと笑った。

59 :ぽち:02/02/01 19:06
 ミサトとマナだけで使うには広すぎる会議室だった。しばらく使ってなかったのか、部屋に
入ると少しかび臭いにおいがした。大きな楕円のテーブルも、うっすらと埃がかぶっていた。
「どこでもいいから、適当に座ってね」
 部屋の電気と空調のスイッチを入れながら、ミサトが言った。

60 :ぽち:02/02/01 19:07
 ブリーフィングを口実に、ミサトはマナを発令所から連れ出していた。隊長とマナの間に
険悪な空気が流れ、発令所に軽い緊張がはしったからだ。ミサトはつまらない諍いで時間を
取るつもりはなかった。もっとも、本音ではとことんやらせてみたい気もしていたのだが。

61 :ぽち:02/02/01 19:07
「二週間前、宇宙植民地のチルドレンが空港を襲撃したわ。チルドレンは男三人女二人ね。
その戦闘で空港の警備兵は、チルドレン一体と引き換えに全滅。彼らはシャトルを奪って
圏外から地球に密航したわ。」
 状況をミサトが話し始めた。

62 :ぽち:02/02/01 19:08
「シャトルは、たまたま巡航していたUNのヘリが芦ノ湖で見つけたわ。すぐに付近を探索した
けど何も見つからなかった。もちろん、シャトルの中は空だったわ」
 ミサトは淡々と説明を続けた。おちゃらけた雰囲気はとっくに消えていた。

63 :ぽち:02/02/01 19:10
「三日前、ネルフ・コーポレーションに押し入ろうとした一体が、高圧線に引っかかってフライに
なったわ。社員としてネルフに潜入している可能性もあるから、念のために隊長はムサシを
送ったの。新入社員にVK(Voight−Kampff)テストさせるためにね」

64 :ぽち:02/02/01 19:11
 マナを見据えて一呼吸おくと、ミサトが静かに口をひらいた。
「これがそのときの映像よ」
 ミサトはリモコンのスイッチを押した。

65 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/02/04 17:13
なんで分けて書き込むの?
創作スレなら長文でもおけーだと思うけど
改行代わりならスペース入れればいいんじゃないかな

66 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/02/04 21:03
ぽちさんいつも楽しみにしてまっせ!

俺はこの方が読みやすいと思う。
文章の区切りが分かりやすいし。

67 :65:02/02/05 19:18
×改行代わり、○段落代わりだったヨ。

68 :ぽち:02/02/08 19:31
>>65>>67
 慶次のお話を書き込んでたときに、長い文章は数回に分けてって言われたから、
なるべく長くならないように分けて書き込んでいます。

>>66 
ありがとうございます。ゆっくりとしか進まなくて申し訳ないんですけど、最後まで
遊んでいってもらえると嬉しいです。

それでは、お話を続けますね。

69 :ぽち:02/02/08 19:31
 よく見えるように椅子を動かすと、マナは部屋正面の大きなモニターに目を向けた。
 そこには応接室の様子が映し出されていた。
二人掛けソファーと二つ並んだ一人用ソファーが低いテーブルを挟んで置いてあるだけの、
どこのオフィスにもあるような小さな応接室だった。テーブルの上にはVKテスト用の機材が
ひとつ置いてあった。

70 :ぽち:02/02/08 19:32
 窓際に一人の男が立っていた。大柄な男だった。濃紺のスーツの上からでもはっきりと
判るほど、首・肩・腕・胸・臀部・腿、全てが太く逞しかった。そして体付きに見合った、がっ
しりとしたあごのいい顔をしていた。
 モニター越しでもこの男はマナには間違いようがなかった。ムサシだった。
モニターの中のムサシは、窓のそばに立って降り続く雨を眺めていた。程無く次の被検者を
呼ぶアナウンスが流れ、ムサシはソファーに座った。

71 :ぽち:02/02/08 19:32
 軽いノックの後、一人の女性が部屋に入ってきた。女性は薄い灰色の作業用スモックを
着て、長い髪を無造作にまとめ上げていた。味気ない格好ではあったが、彼女の美しさは
少しも損なわれてはいなかった。ただ、おどおどとしていて、どこか不安げな様子だった。
 ムサシに勧められて席に着いても、落ち着きなく視線をさまよわせていた。VKテスト用の
機材を準備していたムサシがあまり動かないように注意すると、女性は申し訳なさそうに居住
まいを正した。

72 :65:02/02/08 21:02
素直なお人やね。おそらく長文はTOPに上がると重いから分けて書き込めつーことで(慶次スレはネタスレだったからね)
sageスレにおいては特に留意する必要ないとマジレスしとくよ。まぁお好きに

73 :ぽち:02/02/12 19:28
>>72
 お心使い、ありがとうございます。
何かの間違いで上のほうに行かないとも限らないので
とりあえず分けて書き込むことにします。

それでは、お話を続けますね。

74 :ぽち:02/02/12 19:28
 人間のクローンであるチルドレンは、感情以外は人間と変わらないように造りだされている。
製造後、数年経てば感情さえも生じてくる。外見だけでチルドレンを見分けることは不可能
に近い。したがって、長い年月を経て形作られる人の心とデータとして移されたチルドレンの
心の違いを見極めることが、人間とチルドレンとを識別する方法となっていた。
 感情を刺激することにより起こる顔面の毛細管反応・瞳孔の開閉・虹彩の拡張等を調べて
チルドレンを判別するテスト、それがVKテストだった。

75 :ぽち:02/02/12 19:28
 意図的に相手を刺激し不快にさせるVKテストは、被検者にはとても心地良いものとは言え
なかった。テストが進むにつれ、女性は狼狽し、顔を赤らめ、最後には顔を背けてしまった。
 ムサシは満足げに女性の様子を見ると、椅子に深くもたれタバコに火をつけた。初めから
ムサシは精神的に優位にたっていた。女性に煙を吹きかけては、相手の反応を楽しんでいた。
 顔の前で小さく手を振り煙をはらうと、女性は少し嫌そうな顔をした。

76 :ぽち:02/02/12 19:29
「これ、いつまで見るの」
 マナはミサトに非難がましい目を向けた。
「この後よ」
 ひどく真剣なミサトの声に、マナは再びモニターに目を移した。

77 :ぽち:02/02/12 19:29
 殺戮は一瞬だった。
 ムサシがタバコを消そうとテーブルに身を乗り出し灰皿に視線を移した瞬間、女性が動いた。
恐ろしく速い一蹴りだった。瞬時にガードしたムサシの左腕をへし折ってもなお勢いは止まらず、
首筋を横薙ぎに振りぬいていた。
 ムサシの巨体がモニターの隅に転がった。体についている首が、おかしな方向に捻じ曲がっ
ていた。そんなふうに首が曲がった人間がどうなるか、わざわざ口にするまでもないことだった。

78 :ぽち:02/02/16 16:12
 マナとムサシは戦自に入隊する前からの知り合いだった。対チルドレン特捜班にも同期
に配属された。自分を高めようと己を鍛え理想を目指すムサシの姿は、マナには眩しくて
とても好ましく思えた。多くの時間を一緒に過ごした。
 人と人との間に築かれる幸せな時間は短く儚いと誰かが言ったとき、自分達は違うと思っ
てた。共に歩いていけるとマナは思ってた。

79 :ぽち:02/02/16 16:12
 けれどチルドレンを追い続けた間に道が分かれてしまった。ムサシは走り続け、マナは
道に迷った末に降りてしまった。
 ムサシが絶命する様を見せられても、今のマナには何にも感じることが出来なかった。
どこかに忘れてきたようだった。チルドレンを狩り続けた間にどこかに置き忘れてきた気が
した。
 そう感じてしまう自分が、マナには何かしら悲しかった。

80 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/02/20 17:12
応援sage
いつも楽しみに読んでいます。

81 :ぽち:02/02/22 19:28
>>80
  ありがとうございます。そう言って貰えると嬉しいです。
もう少しサクサクお話が進められると良いんでしょうけど…。
とりあえず、最後まで遊んでもらえるように頑張りたいです。

それでは、お話を続けますね。

82 :ぽち:02/02/22 19:28
「足取りを掴んでるのはここまでね」
 マナの方に向き直ってミサトが言った。
「チルドレンの特定は?」
「済んでるわ。ネルフからデータも送ってもらったし」
 一冊のファイルをマナに渡すと、ミサトはディスクを入れ替えた。

83 :ぽち:02/02/22 19:29
 モニターに、大きな円柱の水槽が映しだされた。これまでマナが何度も見てきた画だ。
プラグと呼ばれている、チルドレン製造プラントの映像だった。水槽は薄く色のついた
LCLという培養液で満たされていた。

84 :ぽち:02/02/22 19:29
 LCLの中で一人の女性がたゆたっていた。その髪の色が印象的で、すぐに消えてしまう
かげろうのような弱さを感じさせる美人だった。静かに目を閉じていて、まるで羊水の中で
眠っているようだった。
「ベーシック・モデルのアヤナミ・レイ」
 モニターを見ながらミサトはそう告げると、次の映像を呼び出した。

85 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/02/26 11:58
応援sageり

86 :ぽち:02/02/26 23:17
>>85
ありがとうございます。
ようやくシンジ君たちの名前まで辿りつきました。
来月はいっぱい書けるといいなって思ってます。

それでは、お話を続けますね。

87 :ぽち:02/02/26 23:17
 画面が変わり、別のプラグが映し出された。ムサシを惨殺した眉目良い女性が映っていた。
「アドバンスド・モデルのソウリュウ・アスカ。植民地で要人警護や暴徒鎮圧に用いる為、軍に
よる再教育済み。暗殺の訓練も受けてるわ。まあ、美女で野獣ってとこね」

88 :ぽち:02/02/26 23:17
 最後に映ったチルドレンは、線の細い男だった。どこか幼さを感じさせ、目鼻立ちの整った
端正な顔は、LCLの中では女性と見紛うほどだった。
「これは?」 
「ネクサス6型バージョン3.0、イカリ・シンジ」
「バージョン3.0?・・・じゃあ、サード・チルドレンってこと?」
 マナは少し驚いたようにミサトを見た。

89 :ぽち:02/02/26 23:18
「そういうことになるわね。最新型のコンバット・モデルよ。無駄な機能を省いて戦闘用に特化。
しかも、単独運用さえも想定してデザインされてるわ」
 わずかな間を置いて、ミサトが言った。
「どうやら、彼を中心に動いているみたいね」

90 :ぽち:02/03/01 18:35
 ミサトの話を聞いていたマナが少しの間考え込んだ。
「なぜ彼らは地球へ戻ってきたの・・・」マナは呟いた。「・・・わざわざリスクを犯してまで・・・
何でネルフに・・・」
 もっともな疑問だった。

91 :ぽち:02/03/01 18:35
 チルドレンは条例により地球上では非合法な存在と宣言されていた。許可された特定の
区域を除き、チルドレンが地球上にいることは禁止されている。違反したチルドレンに対する
罰則は廃棄処分である。もちろん、日本の法律もチルドレンを人間とみなしておらず、彼らに
はなんの権利も保護規定もない。廃棄処分から逃れる為に法の及ばない圏外へ逃亡するの
なら理解できるが、取締りが厳しい地球に降りてくるのは死にに来るようなものだった。

92 :ぽち:02/03/01 18:36
「それも調べろって言ってたわね。」
 思い出したようにミサトが言った。
 やれやれという表情を浮かべるとマナはファイルを覧た。

93 :ぽち:02/03/06 23:04
 ミサトから渡されたファイルには、逃亡中のチルドレンに関する資料がとじられていた。
製造年月日・体力・精神力・戦闘力等の記録数値から用途や特記事項まで、それぞれ
のチルドレンについてまとめられていた。
 マナはファイルをぱらぱらとめくっていった。 

94 :ぽち:02/03/06 23:04
「フンターバーサー・ホテル」
 途中でその手を止めるとマナは言った。
「なに?」
 ミサトが訊いた。
「ここ」
 見ていた個所を指しながらマナがこたえた。

95 :ぽち:02/03/06 23:05
 マナが見ていたのは、セカンドチルドレンが社員として潜入する際にネルフに登録した
個人情報だった。その現住所欄には“1187 Hunterwasser”と記されていた。
「監視は張りつけてるわ」ミサトが言った。「現れたらすぐに連絡が来るようになってるけど―」
「おそらく戻ってこない・・」
 遮るようにマナが言った。
 ミサトは黙ってうなずいた。

96 :ぽち:02/03/06 23:05
 マナはぱたんとファイルを閉じると
「どうせ、今から行くつもりなんでしょう」
と、言ってミサトを見た。
「その前にこれ渡しておくわ」
 脇に置いていたブリーフケースを開くと、ミサトはマナの身分証と認識票を、そして銃を
取り出した。

97 :ぽち:02/03/12 18:29
 差し出された銃をマナは眺めていた。血の染み着いたホルスターから見覚えのあるグリ
ップが覗いていた。トリガー・ガードに特徴があるSteyrの銃だった。それは、かつてマナが
使っていた銃だった。何度も何度も引き金を引いた銃だった。
 マナはホルスターに残るどす黒い変色部分を指でなぞった。遅まきながら、もう引き返せ
ないところに来てしまったと、マナは思った。

98 :ぽち:02/03/12 18:30
 マナは認識票を左手首にくるくると巻きつけた。身分証はポケットに入れた。それから、
席を立つと服を着るようにホルスターの革紐に手を通した。銃は何の違和感もなくマナの
左脇下に馴染んだ。
「用意はいいみたいね」
 黙っていたミサトがマナに言った。

99 :ぽち:02/03/12 18:30
 こうなったらもうなりゆきにまかせようと、マナは思った。そしてできるならどこか適当なところ
で切り上げようと、マナは思った。それでいいじゃない。このときのマナはそう思っていた。

100 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/03/16 16:05
今だ!100ゲットォォォォ!!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄       (´´
     ∧∧   )      (´⌒(´
  ⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡
        ̄ ̄  (´⌒(´⌒;;
      ズザーーーーーッ

101 :ぽち:02/03/16 17:33
>>100
うわっ、なんてことを。
ちょうどお話の区切りだったので、ちょっとありがたいです。

それでは、お話を続けますね。

102 :ぽち:02/03/16 17:34
 ミサトとマナを乗せた車がフンターバーサー・ホテルの前に着いたときには、もうすっかり
日が暮れていた。外は土砂降りで、遠くに雷鳴が響き渡リ、大きな雨粒がアスファルトに
激しくぶつかっていた。
「ここね」
 ホテルを見上げてミサトが言った。

103 :ぽち:02/03/16 17:34
 フンターバーサー・ホテルは大きなビルが並ぶこの区画では少し見劣りする小さな建物
だった。両側に立派なビルが建っているうえに、くすんだ壁に掛かっているネオンの広告
看板が無駄に明るく輝いて、よけいみすぼらしく感じられた。

104 :ぽち:02/03/16 17:34
 マナはレインコートの襟を立てて襟元を手で押さえると車のドアを開け、ひさし伝いに
ホテルへと駆け出した。ビルの間を勢いよく吹き抜ける初冬の風が、雨粒を痛いくらい
マナの頬に打ちつけた。
 ミサトも後に続いて駆け出して、二人は扉をくぐっていった。

105 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/03/18 04:17
保守

106 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/03/20 14:10
ほしゅしゅ

107 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/03/21 03:07
スレ汚して申し訳ないが、
いつもぽちさんのお話を楽しみにしているので
保守させてもらいます。

108 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/03/22 18:37 ID:???
応援sage

109 :ぽち:02/03/23 23:37 ID:???
>>105-107
保守してもらわなかったら、このお部屋も消えていたんですよね。
なんて言っていいか、ほんとうにありがとうございました。
おかげでこうしてまた書き込むことができます。

>>108
ありがとうございます。
このお部屋が消えないように頑張りますね。

それでは、お話を続けます。

110 :ぽち:02/03/23 23:37 ID:???
 チルドレンが居た部屋までは、四つか六つほど階段を上らねばならなかった。帳場の
男は部屋の鍵を開けるとすぐに立ち去っていった。
 マナは部屋に足を踏み入れた。閉めきっていたせいだろう、空気はよどんでいた。
部屋の中はかなり薄暗かった。天井の蛍光灯はヂヂヂと不快な音を立てるだけで、その
役目を果たしてはいなかった。

111 :ぽち:02/03/23 23:37 ID:???
 マナは注意深くまわりを見渡した。壁際のテレビと数冊の本が載ったサイドボード。飲み
物のしみがついたテーブルと合成皮革のソファー。
 なんとはなしに侘しい部屋だとマナは思った。
 浴室や寝室もまわった。置きっぱなしの洗面道具や毛布のしわなどから、誰かがここに
居たことは見て取れた

112 :ぽち:02/03/23 23:38 ID:???
 マナは寝室にあった整理だんすの引出しを開けてみた。上の段は空だったが、下段は
きちんとたたんである服で一杯だった。その服の間から写真の束がでてきた。
 マナは手に取って何枚か見た。チルドレンが写っているのもあったが、取り立ててどう
こう言うほどのものではなかった。ただの日常を切りとった写真ばかりだった。この部屋で
撮った写真も何枚かまじってた。

113 :ぽち:02/03/23 23:38 ID:???
「やる気になってるじゃない」
 腕をくみ壁にもたれてマナの様子を眺めていたミサトが声をかけた。
 マナが顔を上げるとミサトが近づいてきた。
「今日はこれくらいにしときましょ。あと、写真は調べといてね」
 ぽんっとマナの肩をたたくとミサトは部屋を出ていった。

114 :ぽち:02/03/23 23:39 ID:???
 マナはため息をひとつついた。
 目立つものは何もなかった。何らかの手掛かりになるようなものは見つからなかった。確
かに、これ以上この部屋を調べてもおなじだろう。
 マナも扉の方に歩き出した。部屋を出る前に立ちどまり、もう一度周囲を見渡した。
見落としなんか期待できない殺風景な部屋だと、マナは確認できただけだった。

115 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/03/27 03:35 ID:???
マナたん萌え?

116 :ぽち:02/03/27 20:01 ID:???
>>115
シンジ君と綾波さん萌え。でも、このお話は霧島さんの。
霧島さんの“雑炊刑法!”ちょっと萌え。

それでは、お話を続けますね。

117 :ぽち:02/03/27 20:02 ID:???
 フンターバーサー・ホテル前の道りからひとつ入った路地は人通りがなかった。そこは
あまりパッとしない、さむざむとした所で、わずかな店の灯りがかろうじて闇を退けている
ような狭い街路だった。通りの中ほどに大きな電話ボックスがあって、弱い光で周囲を
ぼんやりと浮かび上がらせていた。
 その電話ボックスの中に、自分の手のひらを見つめるシンジの姿があった。

118 :ぽち:02/03/27 20:02 ID:???
 左手をゆっくりとにぎっては、ゆっくりとひらく。そして、何かを確かめるようにシンジは
もう一度ゆっくりと左手を握り締めた。
「時間は・・・十分にある・・・」
 どこかしら寂しげに見えるシンジが、凄艶な笑みを浮かべた。

119 :ぽち:02/03/27 20:03 ID:???
 コンコンっとガラスを叩く音で、シンジは顔をあげた。
 真っ赤な傘を背にアスカが立っていた。冷たい雨の中にまっすぐ立つアスカの姿は、
もの悲しい通りにあっても、貴高く、美しかった。
 シンジは表情を緩めると、ボックスの扉を押して外に出た。
 シンジが雨に濡れる前に、アスカは傘をそっとかざした。

120 :ぽち:02/03/27 20:03 ID:???
「大事な写真はあった?」
 シンジが訊いた。
 アスカは顔を曇らせ首を横に振ると
「だれか居たわ」
と、こたえた。
「人が?」
 シンジが問うと、アスカは黙ってうなずいた。
「伝道者?」
 不吉な予感に、シンジは声をひそめて訊いた。
 アスカは何もこたえず、不安そうな目でじっとシンジを見つめた。

121 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/01 04:32 ID:???
ぽちさん激応援sage

122 :ぽち:02/04/01 18:50 ID:???
>>121
 激ありがとうございます。
毎回少ししか書き込めてませんが、気長に遊んでもらえると嬉しいです。

それでは、お話を続けますね。

123 :ぽち:02/04/01 18:50 ID:???
「だいじょうぶだよ。時間はあるから」
 そう言うと、シンジはアスカの傘を受け取った。
 降りしきる雨の中、二人はゆっくりと歩き出した。しめった暗い路地を抜け右に曲がると
人通りが多くなった。外灯や店の窓からもれる光で通りは明るかったが、二人の口数は
少なかった。

124 :ぽち:02/04/01 18:51 ID:???
 アスカがシンジに腕を絡めてきた。心に浮かぶ不安が無意識にアスカを動かしていた。
凶兆は音もなく忍び寄り、微かに漂い始めている。
 シンジはアスカの横顔をちらりと見た。視線を感じて顔を向け、アスカはシンジを見た。
一瞬見詰め合い、二人とも微笑んだ。
 シンジはまた前を向くと、表情を引き締めた。シンジはだいじょうぶだよとアスカに言っ
たが、それはシンジが自分自身に言い聞かせた言葉でもあった。雑踏の中を歩きながら、
まだ時間はあるとシンジは強く思っていた。

125 :ぽち:02/04/07 01:17 ID:???
 エレベータの扉が開きマナが乗り込むと
「声紋認識を行います。お名前とフロア・ナンバーをどうぞ」
 と、音声案内がながれた。
「マナ、97階」
 マナはセンサー付きのプレートに手を触れた。 
「確認しました」
 ブンっと音をたてエレベーターが動き出した。重力が変化して、液晶表示の数字は忙しく
増えていった。
 マナは背中を壁に押し付けた。レインハットをとり軽く髪を振ると、口元を隠して欠伸をした。

126 :ぽち:02/04/07 01:17 ID:???
 寂れかけた区域にある高層集合住宅に、マナは一人で住んでいる。エントランスまでは
坂道を上らねばならないし、周りには何もないのでちょっと不便だった。それでも軍隊生活に
慣れたマナにとっては、まずまず快適な住居といってよかった。

127 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/10 20:22 ID:???
応援sageっす

128 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/13 09:40 ID:???
応援sage

129 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/13 16:59 ID:???
応援

130 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/15 03:21 ID:???
  

131 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/16 16:43 ID:???
応援

132 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/16 19:38 ID:???
ここは保守るよ

133 :ぽち:02/04/17 00:20 ID:???
>>127-132
 ありがとうございます。ここ無くなってたらどうしようかと思ってました。
もう少し続けられそうで、うれしいです。

それでは、お話を続けますね。

134 :ぽち:02/04/17 00:21 ID:???
 カード・キーをスリットに通し、マナは玄関の扉を開けた。レインコートを軽く振り水滴を
落として中に入った。明かりを点けると、マナは真っ直ぐにバスルームに向かった。雨で濡れ
た服が鬱陶しかったから、シャワーを浴びて乾いた服に着替えると、ほんの少し気持ちが軽く
なった。髪をタオルで拭きながら、マナはキッチンに入っていった。

135 :ぽち:02/04/17 00:21 ID:???
 広いキッチンは程よく整頓されていた。レンジや冷蔵庫、そして食器棚は同系色でまとめら
れ、機能的に配置されている。部屋の中央には木製のテーブルが置かれ、その真中にはアナロ
グ式の時計や紅茶葉が入った密閉式のガラス瓶といったこまごました物が置かれていた。

136 :ぽち:02/04/17 00:21 ID:???
 マナはやかんに水を半分ほど入れて火にかけた。食器棚から一番小さなティーポットとマグ
カップを取り出してテーブルに置いた。しばらくすると、やかんの口から蒸気が昇り始めてき
た。ポットに少しそそいで、やかんはもう一度火にかけた。ポットを軽くゆすり十分温まった
のを確認してお湯を捨てた。

137 :ぽち:02/04/17 00:22 ID:???
次いで、マナは三つ並んだガラス瓶の中からキーマン茶を選び、ティースプーン一杯すくって
ポットの中に入れた。入れてるうちにお湯が沸騰し、ぽこぽこと音を立て始めた。ポットをや
かんのそばに持ってゆき、呼吸五つ待って、カップ一杯分の湯を勢いよくそそいだ。ポットに
ティーコジーを被せ、やかんに残った湯はカップに入れた。

138 :ぽち:02/04/17 00:22 ID:???
 マナはその場に立ったまま紅茶が入るのを待った。時計を見て、それからがらんとしたキッ
チンを眺めた。マナはふと思い出したようにキッチンから出て行くと、右手に写真の束を持っ
て戻ってきた。もう一度時計を見た。ぴったりの時間だ。カップのお湯を捨て、ストレーナを
使って紅茶を入れた。水色は深い赤色で、キーマン茶独特のいい匂いが漂ってきた。マナはカ
ップを手にとり一口含んだ。渋みが少なく、なんともいえない風味がマナの口の中に広がった。
 部屋に帰ってきたときは少々不機嫌だったが、この瞬間だけマナは幸福だった。

139 :ぽち:02/04/23 18:30 ID:???
 いい紅茶が入ったことを確認したマナは、寝室にいった。ベットと机が置いてあるだけの、
すっきりとした寝室だった。戦自に所属していたマナには、几帳面な習慣がついている。他の
部屋の例に洩れず、ここもきちんと整えられていた。
 マナはまっすぐ机に向かい、写真とカップを置き、座り、スタンドの電気を点けた。それから、
写真を手にとって、一枚一枚見ていった。

140 :ぽち:02/04/23 18:30 ID:???
 マナがホテルから持ち帰った写真。それは、チルドレン達の何気ない日常が切り取られて
いるだけの、何の変哲もない、普通の写真だった。ただ、見ているうちに、彼女達がサード・
チルドレンを中心にして穏やかな表情を浮かべていることに、マナは気が付いた。
 料理を取り分けるサード・チルドレンを嬉しそうに見上げるセカンド・チルドレンの写真。紅茶
を注ぐサード・チルドレンに微笑んでいるファースト・チルドレンの写真。三人で寄り添うように
写っている写真。
 そこに絆のようなものが感じられて、マナは少し羨ましく思えた。

141 : :02/04/24 17:55 ID:???
定期あげ

142 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/04/29 09:04 ID:???
応援sage

143 :ぽち:02/04/30 16:02 ID:???
>>141
ここがあがるのは、去年の十二月以来。

>>141
ありがとうございます。

それでは、お話を続けますね。

144 :ぽち:02/04/30 16:02 ID:???
 それにしてもと、マナは思った。あの隊長が面倒な相手と言うほどの、そしてこれが最新
の戦闘用チルドレンなのだろうか、と。チルドレンは見かけで判断してはいけないことなど、
重々承知しているマナである。だが、手元にあるサード・チルドレンの写真はどれも穏やか
に微笑んでいるものばかりで、マナにはとてもそうだとは思えなかった。

145 :ぽち:02/04/30 16:03 ID:???
 っと、ぼんやり写真を見ていたマナの手が止まり、一枚の写真から目が離せなくなった。
サード・チルドレンが一人窓際で頬杖をついて遠くを眺めている写真。寂しそうに遠くを見つ
めるサード・チルドレンの表情には、痛ましいほどの悲しさが写っていた。
 マナは胸の中が重くなるのを感じた。そして、またあんな思いをしなければいけないかと
思うと嫌になった。

146 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/05/07 01:18 ID:???
保守

147 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/05/07 01:39 ID:???
新世紀エヴァンゲリオンを1位にしよう!!
新世紀エヴァンゲリオン(OP)に、投票お願いします!
http://canal.press.ne.jp/mesganq/mesganq.cgi

148 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/05/07 13:47 ID:???
保守を兼ねて応援です。
いつも楽しみにしてます。
頑張ってください。

149 :ぽち:02/05/07 23:33 ID:???
>>146-147
お疲れ様です。

>>148
ありがとうございます。

それでは、お話を続けますね。

150 :ぽち:02/05/07 23:34 ID:???
 マナはチルドレンのことを単なる人工生命体だとは思っていない。チルドレンは他の機械
と同じだとか、チルドレンが反抗しない機械なら問題ない、といった声には違和感を感じて
いたし、安全装置としてチルドレンに四年の寿命が設定されていることを知ったときには、
それはあんまりじゃないかと思ったりもした。ずっとかかわってきたから、チルドレンだって
感情を持っていることは知っている。マナはチルドレンを皆が言うような『機械』とはみてい
ない。少なくともチルドレンには『心』があると思っている。

151 :ぽち:02/05/07 23:34 ID:???
 それゆえに、『廃棄処分』という言葉がマナの心に重くのしかかる。当り障りのない言葉で
言い換えているが、その実質は『人殺し』だ、と。自分がこれまでにしてきたことは、紛れも
なく『人殺し』。そのことが、チルドレンに関する全てのことに対してマナに嫌悪感を抱かせ
ていた。

152 :ぽち:02/05/07 23:34 ID:???
 何故、自分はそうまでするのか。『人殺し』を続けてどうするつもりなのか判らなくなって、
マナは戦自を辞めた。そうして、マナはたくさんのものを失った。失ったはずなのに、また
同じところにマナは立とうとしている。

153 :ぽち:02/05/11 18:58 ID:???
 ずいぶんと長い間マナは写真に見入っていた。そして、ため息をひとつついて写真を
置いた。そのとき手元のカップが目に入り、マナは紅茶を淹れていたことを思い出した。
カップを手にとって一口飲み干した。紅茶は冷めていた。

154 :ぽち:02/05/11 18:58 ID:???
 マナはベットに寝転んだ。仰向けに横たわって、額の上に手を乗せた。
「私・・なにやってるんだろう・・」
 マナは口に出してつぶやいた。
点いたままのスタンドに一瞬目をやったが、大きく息を吐いて目を閉じた。小さなサイレ
ンの音が遠くのほうに走っていた。
 それからしばらくして、マナは静かな寝息をたてた。

155 :ぽち:02/05/18 13:15 ID:???
 黒に近い紫と黄色と銀で塗り分けられた一人乗り小型運送車が走っていた。 そこは、
この町で一番汚い所寂れた区域と呼ばれる場所だった。道路のアスファルトは所々剥げ
て濁った水溜りを作り、路傍に山積みされたゴミ袋は所々破れ汚い屑がこぼれている。
荒れるに任せた景観など見ていて気分の良いものではなく、この近辺で生活する者など
ほとんどいないというのも頷けるような所。そんな場所を小型運送車は走っていた。
 車は水溜りを避けるように回り込み、建物の前で止まった。

156 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/05/20 08:49 ID:???
応援sage

157 :ぽち:02/05/21 21:15 ID:???
>>156
いつも気を使って戴いてありがとうございます。
もうすこしがんばれるといいんでしょうけど。

それでは、お話を続けますね。

158 :ぽち:02/05/21 21:16 ID:???
 車の真中にある扉を開けて男が降りてきた。小柄な壮年の男だった。薄汚れた革の
衣服に身を包んだ姿はどこか疲れた感じを漂わせていた。
 男は扉を閉めると、手にした袋の中を覗き込みながら建物のほうに歩きだした。

159 :ぽち:02/05/21 21:16 ID:???
 建物は高名な建築家がデザインした豪奢な集合住宅だった。ただ、この地域同様すっ
かり荒れ果てていて、今は廃墟といってよかった。エントランスには立派な紋様が彫り
こまれた大きな大理石の柱がたっているが、醜くひび割れたうえにいたる所剥がれ落ち、
かつての面影などはまったく残っていなかった。

160 :ぽち:02/05/21 21:17 ID:???
 男は瓦礫につまずきながら入り口に近づいた。そして、柱の影に人の気配を感じ、顔を
上げた。彼が見たのは一人の女性だった。ここは人とすれ違うようなところではない。
 男はたいそう驚いた。袋を放り出し、慌てて逃げ出した。落ちているゴミに足を滑らせて
無様に転んだ。

161 :ぽち:02/05/21 21:17 ID:???
「忘れ物よ」
 凛とした声に、恐る恐る男が振り返った。
 その声にみあうだけの女が、凛然たるまま立っていた。

162 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/05/25 02:04 ID:???
マターリいきましょ、保守sage

163 :ぽち:02/05/25 18:54 ID:???
>>162
はい、ありがとうございます。

それでは、お話を続けますね。

164 :ぽち:02/05/25 18:55 ID:???
 青白い肌をした女だった。見開いた眼は赤かった。それは泣きはらしたのではなく、瞳が
紅く清静な光を帯びていた。さらさらとした髪はほおのところでカットされ、水色だった。そし
て、彼女の魅力を引き立たせるような黒のフェイクをまとっている。
 女は美しい顔に何の感情も表さず、紅い瞳で見下ろしていた。そして緩慢な動作で右手
を動かし、落ちている袋を指差した。

165 :ぽち:02/05/25 18:55 ID:???
 とりあえず自分の身に危険が迫ってないことが分かり、男はほっとした表情を浮かべた。
ゆっくりと立ち上がり、服のほこりを払いながら袋に近づいた。自分ひとり慌てたのがみっと
もなく感じたのか、ばつが悪そうに袋を拾った。もっとも、袋を拾う間、男は女から眼を離す
ことはなかった。

166 :ぽち:02/05/28 18:33 ID:???
「えっと、こんなとこで何してるんだい」
 男が声をかけた。
「迷子なの」
 別段困ったふうでもなく女が言った。
「どこへ行くところだい?家かい?」
「家はないわ」

167 :ぽち:02/05/28 18:34 ID:???
 悪いことを聞いたかなと、男は思った。 
「さっきは驚いたよ。あっと、僕、ケンスケ。相田ケンスケ」
 雰囲気を変えようと、少しおどけて言った。
「・・・レイ」
 女は静かに名を告げ、黙り込んだ。

168 :ぽち:02/05/31 18:33 ID:???
 妙な沈黙が流れた。
 綾波はじっとケンスケを見据えていた。その顔には何の表情も浮かんでいなかったが
どこか怒っているようにも見え、ケンスケはどうにも落ち着かなかった。
「おなかすいたわ」
 ややあって綾波が言った。

169 :ぽち:02/05/31 18:33 ID:???
 なんだか責められている気さえしていたケンスケは、その一言で気を緩めることができた。
「黒おでんなら家にあるよ。くる?」
 この上なんだけどというように、ケンスケは上を一瞥した。彼はここの最上階に住んでいる。
 綾波は少し考える素振りを見せたが、
「ありがとう」
と、言って美しい口元に涼しい笑みを浮かべた。

170 :ぽち:02/06/05 19:29 ID:???
 ケンスケは綾波を建物の中へと案内した。
建物内は薄暗く静かだった。入り口から少し先に、天蓋まで吹き抜ける贅沢な空間がひろ
がっていた。細やかな彫刻が施された階段がその内側に沿うようにめぐり、両端にエレベ
ーターが二基備え付けてあった。エレベーターも階段と同じく見事なつくりで、装飾の隙間
から外を窺うことができるようになっている。
 ケンスケと綾波が乗り込んだエレベーターは、大きな音を立てて上がっていった。

171 :ぽち:02/06/05 19:30 ID:???
「このビルは空き部屋ばかりさ。行くところがなかったらここに住むといい」
 ケンスケが言った。
「この辺は過疎なんだよ。ここだって僕一人しか住んでないし」
「ひとり?」
 外を眺めたまま綾波が訊いた。
「うん、今は僕だけ」
 動き始めたときと同様、大きな音を立ててエレベーターが止まった。
「そこ、気をつけてね」
 先に降りたケンスケが床を指差した。雨漏りで通路には水溜りができていた。

172 :ぽち:02/06/05 19:31 ID:???
「さびしい?」
 ケンスケの後ろを歩いていた綾波が訊いた。
「・・・いや、おもちゃで遊んでるから。趣味で作ったんだよ。彼らが友達さ」
 どこか強がるような声だった。
「僕は遺伝設計技術者なんだ、分かる?」
 振り向いてケンスケが訊いた。
「いいえ」
 興味なさそうに綾波がこたえた。

173 :ぽち:02/06/10 18:58 ID:???
 八人くらいは並んで通れそうな立派な両開きの扉をケンスケが開けた。ケンスケは
いつものように家に入ろうとしたが、ああそうだったと立ち止まり、綾波を先に通した。
「おい、帰ったぞ」
 ケンスケは家の中に声をかけた。

174 :ぽち:02/06/10 18:58 ID:???
「帰ってきた!」
 子供ほどの大きさのテディベアとアンティークドールが、仏蘭西兵のかっこうをして
部屋の奥から歩いてきた。
綾波とケンスケの前にきちんと整列すると
「おかえり」
と、声をそろえてお辞儀をした。

175 :ぽち:02/06/10 18:59 ID:???
「ただいま」
 ケンスケは軽く手を上げた。
 かわいらしい兵隊はケンスケの声を聞くと、くるりと回れ右をして、もと来た方に戻っ
ていった。
とことこと歩くその様子に綾波はくすりと笑ったが、やがて悲しそうな表情を浮かべた。
「僕の作った友達さ」
 ケンスケは、出て行った扉をじっと見ていた。

176 :ぽち:02/06/10 18:59 ID:???
「ところで、家族は?」
 ケンスケが訊いた。
「孤児みたいなものなの」
「友達は?」
「いるけど捜さないと・・・たぶん明日分かるわ」
 綾波の声には抑揚がなかった。
「そう・・」ケンスケは言った。「ああ、服を乾かそうか。びしょ濡れだ」

177 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/06/15 05:19 ID:???
ここは落ちてもらっちゃとっても困るので保守。
いつも楽しみにしてますよ。

178 :ナナーシ:02/06/16 00:04 ID:???
保全あげえええええええええ

179 :ぽち:02/06/16 18:33 ID:???
>>177-178
サッカーばかり見てて、ちょっとサボりました。ごめんなさい。
それと、ありがとうございます。

気をとりなおして、お話を続けますね。

180 :ぽち:02/06/16 18:33 ID:???
 マナが目を覚ますと、スタンドの明かりに照らされる見慣れた寝室の風景があった。
(そのまま寝ちゃったか・・)
 マナは体を起こしブラインドを開けた。
 外は霧のように細かい雨が降っている。雨は風に吹かれ、柔らかく揺れる模様を
虚空に作っていた。
(今日も雨・・・)
 マナはブラインドを閉じ、ベットから降りた。

181 :ぽち:02/06/16 18:34 ID:???
 マナはシャワーを浴びた。石鹸で無雑作に体をこすり、刺すような水圧で流した。
きゃしゃに見えるがマナは着痩せするたちで、一切の無駄無く鍛え上げられた体は
裸になったほうが大きく見えた。
 冷たい水が体の熱を不快なほど奪っていく。浅い眠りのせいでぼんやりとしていた
意識がはっきりとしてきた。それと同時に空腹感をマナは覚えた。
 スコーンを山のように食べたいな。唐突にそう思った。そうしよう、そうすれば今日一日
乗り切ることができる。
 それはとてもいい考えに思え、マナはひとつ頷いてシャワーを止めた。

182 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/06/19 03:24 ID:???
足切りが近いんでちょっとマメに保守。
うっかりすると落ちちゃいそうなんで。

183 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/06/21 02:10 ID:???
ほっしゅ

184 :ぽち:02/06/21 19:36 ID:???
>>182-183
いつも気を使って戴いてありがとうございます。

それでは、お話を続けますね。

185 :ぽち:02/06/21 19:37 ID:???
 もともと紅茶が好きなマナだったが、その紅茶専門店に立ち寄る習慣は戦自を辞めて
すぐについた。そこは、暖かく、ゆっくりとしていて、落ち着ける場所だったからである。
もちろん、紅茶はすばらしいほど美味しかったし、店の主は必要以上に構いつけること
などない。人や灯りや本を眺めながら紅茶を飲み、静かにただ静かにぼんやりとすごす。
わずかな時間だけれど一人ぼっちでいることを忘れることができ、それはマナにとって
本当にありがたいことだった。

186 :ぽち:02/06/21 19:37 ID:???
「スコーンを山盛りでちょうだい。紅茶はヌワラエリヤね」
 いつもの席に、いつものように座ると、いつものようにマナは注文を告げた。
 あまりに迷いの無いマナの物言いに店の主は仕様のない子だという風な顔をし
「時間は?」
と、訊いた。ガラスケースの中にはフルーツケーキやスコーンなどがもう並んでいたが、
時間に余裕があるなら今から焼くけど、という意味だった。ここのスコーンは冷えても
美味しかったが、焼きたてはまた格別だった。
「だいじょうぶ」
 いかにも楽しみな感じで、マナがこたえた。

187 :ぽち:02/06/21 19:38 ID:???
 店の主はオレンジエールが入ったタンブラーとフェルトのコースターを持ってきてマナ
の前に置いた。これでしばらく待っててくれと軽く笑うと、奥のほうへ引っ込んでいった。
 マナはオレンジエールを一息に飲み干した。オレンジの芳香と柑橘類特有のさわやか
な味がマナを新鮮な気分にさせた。スコーンが焼きあがるまでしばらく待たなければ
ならなかったが、待つのは楽しかった。

188 :ぽち:02/06/25 18:47 ID:???
 マナはカウンターにほおづえをつき、壁に掛かったルルの写真を眺めては、ぼんやり
待った。人が出入りする店のざわめきも、なにか心地よかった。
 店主がティーセットを運んできてマナの前に置いた。
 店主が頷いたので、マナは紅茶を淹れた。他のセイロン茶に比べれば水色はやや薄い。
けれど、綺麗な色だとマナは思う。
 待ちきれずに一口含む。味、香り、ともに優雅だった。

189 :ぽち:02/06/25 18:48 ID:???
 焼き菓子のいい匂いを店主が運んできた。
 たくさんのスコーンが乗ったバスケット、クリームで溢れそうなミディアムボウル、ブルー
ベリージャムが入ったガラス容器、それに銀のスプーンとバターナイフが添えられて
マナの前に並んだ。
「ごゆっくり」
 少し仰々しく店主は言った。

190 :ぽち:02/06/25 18:48 ID:???
 マナは息を大きく吸って幸せに浸った。バスケットからスコーンをひとつ手にとる。きつね
色に焼きあがったスコーンは暖かかった。
「いい匂いだけど、それ何?」
 かけられた声のほうにマナは顔を向けた。 
 咄嗟に沸き起こる『驚』の感情を抑えきったマナはさすがといっていい。
 ひとつ空けた席にセカンド・チルドレンがいた。興味深げにバスケットを覗き込んでいる。

191 :ぽち:02/06/29 19:03 ID:???
「えっと、スコーンだけど・・・食べたことない?」
 マナが問うと、アスカは首を振った。
「じゃあ、一緒に食べない?」
「いいの?」
 そうこたえると、アスカはもう待ちきれない感じでスコーンを見つめている。
 その様子にマナはくすりと笑い、バスケットをアスカの方に引き寄せた。

192 :ぽち:02/06/29 19:03 ID:???
「こんなふうにサクって割れるから・・・そうそう。それでクリームをね、スコーンが隠れる
くらいのせて食べるの」
 ボウルからクリームをたっぷりとすくうマナに、アスカはえっそんなにっというような顔を
した。
「ああ、ここのクリームは純粋なクロテッドクリームじゃないの。ヨーグルトベースのクリー
ム」マナは笑って言った。「だからカロリー控えめよ」
 マナはひょいっとスコーンを口の中に放り込み、少しもぐもぐとさせた後、唇についた
クリームをぺろりとなめて見せた。

193 :ぽち:02/06/29 19:04 ID:???
 アスカも同じようにクリームをすくってスコーンにのせてみた。ふわふわの白いクリーム
からのぞく綺麗な焼き色は見るからに美味しそうだった。
 どこか確かめるように口にしたアスカは、少し驚いたように目を見開いた。
「どう?美味しいでしょ。紅茶に凄くあうのよ」
 アスカはマナのほうをちらりと見て小さく頷いた。そして、ティーカップを手に取って一口
二口と紅茶を飲んだ。
「ほんと・・・美味しい。あのバカにも食べさせてあげたいわ」
 アスカはため息とともにつぶやいた。

194 :ぽち:02/07/03 19:13 ID:???
「バカって?」 
「バカはバカよ」ふっとアスカはやわらかい表情を浮かべた。「あのバカはね――」
 とても気持ちのいい声をしていると、マナは思った。あのバカはね、あのバカはねと、
楽しそうに、そしてどこか誇らしげに話すアスカは優しい目をしていた。ころころとよく
表情の動く顔。美しくて、いきいきとしていて、それはマナに咲き誇る向日葵を連想
させた。

195 :ぽち:02/07/03 19:13 ID:???
 アスカは溢れ出すように話しつづけた。マナがひとつ会話をはさむと、アスカが二つ
にして会話を返す。お茶を飲みながらこの二人がおしゃべりするのは華やかだった。
いつも一人で紅茶を飲んでいたマナにはとても楽しく、なんだか不思議な感じがした。
店の主人はマナとアスカをお行儀のいい可愛らしい孫娘達であるかのように待遇した。
この店にとっても、こんな雰囲気は初めてだったのかもしれない。

196 :ぽち:02/07/03 19:14 ID:???
 どんな楽しい時間にも必ず終わりはやってくる。
 アスカは二杯目の紅茶を飲み干し、口元をハンカチで拭った。そして、美しい碧眼で
マナの両目をとらえて静かに言った。
「ところで、あなた伝道者ね」
、と。

197 :ぽち:02/07/08 18:31 ID:???
 マナの度胸は並ではない。
「ええ、そうだけど」
 平然とこたえた。
 マナとアスカの視線はまともにぶつかり、空気が冷えた。

198 :ぽち:02/07/08 18:31 ID:???
「質問していい?」
 先にアスカが口を開いた。
「どうぞ」
 マナは応じた。

199 :ぽち:02/07/08 18:31 ID:???
「人を殺したことある?」
「いいえ」
「あなたの職務なら、リスクは伴うでしょ?」
「ないわ」
「そう」
 アスカは薄く笑む。

200 :ぽち:02/07/08 18:32 ID:???
 マナは怪訝な表情を浮かべたが、すぐにさとった。アスカは言外に責めているのだ。
あなたが処分してきたチルドレンは『人間』じゃなかったの、と。あなたもチルドレンを
『人間』だとは認めていわけね、と。
 アスカはマナの顔から目を離さない。
 マナは心を見透かされた気がした。

201 :ぽち:02/07/10 18:33 ID:???
「投降する気はない?」
 マナは訊いた。
「投降ですって」アスカが笑った。「廃棄処分を安楽死に替えてくれるというの?ありが
たい話ね、・・・反吐がでるわ」
 吐き捨てるようにアスカが言った。

202 :ぽち:02/07/10 18:33 ID:???
 アスカはマナをねめつける。
「あなた、VKテスト受けたことある?ないでしょう?どんな気持ちか分かる?」アスカは
席を蹴立て、声を荒げた。「あなたの製造年月日は?構造は?用途は何?あと何年生
きられる?」
 アスカはまくしたてた。
 マナは何も言わなかった。

203 :ぽち:02/07/10 18:34 ID:???
「私が見せられたものをあなたに見せてやりたい」
 アスカは爪がくい込むほどに手を握り締め、震える声でつぶやいた。それから、左手を
胸元に持っていき、大きく息を吐いて気持ちを落ち着けた。
 アスカは力なく席につくと
「・・・思うようにならないのはつらいものよ」
 と、こぼした。ようやっと絞り出したような小さな声だった。

204 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/07/10 18:45 ID:???
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
毎回楽しみにしています。がんばってください

205 :ぽち:02/07/15 18:51 ID:???
>>204
アリガト━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ゴザマース !!!!!
早くも、うろちょろし始めたマトリエルに
めげないようがんばります。

それでは、お話を続けますね。

206 :ぽち:02/07/15 18:51 ID:???
「あのね、わかってほしいのは――」
「言わなくていいわ、そんなこと」さえぎってアスカが言った。「すこし黙りましょう」
 アスカは冷たく微笑んだ。
「せっかくの紅茶、最後にミルクティーで味わうくらいは、いいわよね」
 手元のティーセットをアスカはいとおしげに見つめた。

207 :ぽち:02/07/15 18:52 ID:???
 この店では、一人前でティーカップ約二杯半ほどの紅茶がティーポットに用意されている。
最初の一杯は豊かな香りを味わい、次の二杯目はしっかりでた紅茶本来の味とその水色を。
最後に濃くでた紅茶をミルクで好みの味に調節し、たっぷりと紅茶を楽しめるように、と。

208 :ぽち:02/07/15 18:52 ID:???
 最後の一杯をミルクティーで楽しむことに関しては、マナにも理解できた。紅茶を飲み始め
たころは、ミルクティーにすると紅茶の色が濁るので好きになれなかったが、今はなま温い
ミルクティーのやわらかい味も悪くないと、マナは思っている。ゆっくりと紅茶を楽しむのなら
最後はミルクティーじゃないと物足りない気さえするのだ。
 そんなマナだからアスカの言い分に異存はなかった。

209 :ぽち:02/07/18 18:36 ID:???
「ねえ、ミルクとってくれる」
 アスカが言った。
 ミルクピッチャーを取ろうとして手をのばしたとき、不意にマナは首すじがぞくりとするのを
感じた。
 瞬間、マナは体をずらした。勢いあまって椅子から落ちてしまったが、それで正解だった。

210 :ぽち:02/07/18 18:36 ID:???
 ぶんっと空気を裂き、マナの顔があった位置をぞっとする速さでアスカの腕が通過した。
予備動作なしで軽く振り払っただけに見えたが、そのまま喰らえばよくて鼻骨骨折、悪くすれ
ばムサシの二の舞いになりかねない、見かけよりははるかに剣呑なアスカの一撃だった。
 マナの全身から冷たい汗が噴き出した。
 マナは考えるよりさきに動いていた。いや、そもそもマナの動きは考えて出来るものでは
なかった。これが出来るということは、これまでマナがいかに命のやり取りを繰り返してきた
のかを示していた。

211 :ぽち:02/07/18 18:36 ID:???
「悪いけど、まだ死ぬつもりなんてないから」
 床に倒れたマナを見下ろして、アスカが言い放つ。
 店内をちらりと一瞥し、ちょうど入って来ようとした客を押しのけて、アスカは店の外に飛び
出していった。

212 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/07/19 23:09 ID:???
期待age

213 :ぽち:02/07/22 18:35 ID:???
>>212
ありがとうございます。
実は、一番下に沈むのをコソーリ狙・・・

きをとりなおして、お話を続けますね。

214 :ぽち:02/07/22 18:36 ID:???
 マナはすぐに立ち上がった。視線を走らせ、アスカが出て行った扉を見やった。左ひじを
さすり、一回、二回と、軽く曲げる。早足にレインコートを掴むとアスカを追った。
 コートに袖を通しながらマナは外に出た。左右見渡すが、既にアスカの姿はなかった。
冷え切った雨がマナを刺す。

215 :ぽち:02/07/22 18:36 ID:???
 少し先の路地からガタンと音がした。
 一瞬の迷いなくマナは駆け出した。
 町の中心に向かう狭い裏道だった。まるで下水のような、ひどい悪臭がする、汚れきった
ままの道の先に、走りゆく鮮やかな赤い服が見えた。
 マナは走りながら銃を抜いた。

216 :ぽち:02/07/22 18:46 ID:???
 銃のなめらかなグリップの感触は、マナにいろんなことを思い起こさせた。この銃は扱い
やすく、本当に優秀な銃だった。マナが扱った銃器の中でも一番自信があり、近・中距離
なら思ったところに弾を持っていくことができた。そう、マナは何度も狙ったところに弾を
送り込んできたのだ。

217 :ぽち:02/07/22 18:47 ID:???
 銃を握り全力で駆けると、あの感覚が蘇ってくる。体の中がだんだん空っぽになっていく。
 倒れたゴミ箱を軽やかに飛び越えた。
 息も切れないし、体も軽かった。

218 :ぽち:02/07/25 18:52 ID:???
 アスカを追って路地を抜け大通りに出た。通りは人も車も忙しく流れている。既にアスカは
車道を渡っており、反対側を逃げていく。
 マナは軽く舌打ちし、再びアスカを追って駆け出した。車道をはさみ、アスカを見ながら走る。
走りながら銃を下に向け、左手を添えて再度セーフティを確認する。

219 :ぽち:02/07/25 18:53 ID:???
 ほとんど無言のまま、マナとアスカは走った。何かに出くわしたとしても蹴散らすまで、そん
な勢いがアスカにはあった。一方のマナは、右、左、右、と短くステップを刻み人の間をすり
抜けていく。しなやかで、すばやい動きだ。
 人ごみの中であっても、お互い尋常でない速さで進んでいく

220 :ぽち:02/07/25 18:53 ID:???
 渋滞で車の流れが止まり、一気にマナは車道を横切った。狭い車の隙間を抜ける手間さえ
惜しく、マナはボンネットを跳んだ。
 激しくクラクションが鳴りわめく。
 振り向いたアスカとマナの目が合った。
 アスカは向きを変え、ショッピングモールに紛れようとする。
「止まりなさい!」
 マナは空に向け威嚇射撃を行った。

221 :ぽち:02/07/29 19:46 ID:???
 銃声は響いたが、アスカは止まろうとしない。
 マナもアスカを追って走る。
「どけー!」
 マナは大声で叫び、人を払い除け、射線を確保する。走りながら銃を構え、アスカの左上を
狙って撃った。

222 :ぽち:02/07/29 19:46 ID:???
 前方のネオン看板が砕け、火花が散った。一瞬、マナは硝煙のにおいを嗅いだような気が
した。
 アスカは止まらず走って行く。ひどく現実感を欠いた映像を見ているようだった。アスカが
ゆらゆらとゆれる。
 二発目は、よりアスカに近く。弾は左肩をかすめ、アスカはバランスを崩し転倒する。

223 :ぽち:02/07/29 19:48 ID:???
 マナは胃が締めつけられるような感じがした。次の一発が何を意味するかは痛いほどに
わかっている。かすかな吐き気を覚えた。
 マナは足を止め、気持ちを安定させようと努めた。右足を引き、体の重心を心持低くする。
大きく息を吸い、銃を両手で構え、静かに息を吐き、そして止める。

224 :ぽち:02/07/29 19:48 ID:???
 マナは集中した。周りから一切の音が消える。今のマナは、ただ一点しか見ていない。
 アスカが起きだし再び走り出そうとするのが見える。
 この距離ならマナは外さない。
 引き金を引いた。

225 :ぽち:02/08/02 18:28 ID:???
 銃弾はアスカの胸を貫いた。さだめに抗い、死の鎌から懸命に逃れようと走り出した
アスカの胸を銃弾は正確に射抜いた。
 アスカが弾かれたようにショーウインドーに突っ込み、ガラスを飛び散らせて倒れて
いくのが、マナの目に映った。

226 :ぽち:02/08/02 18:29 ID:???
 マナはゆっくりと銃を下ろした。静かに目を閉じて、一つ呼吸をする。まだ両手は銃を
握ったまま。もう一度呼吸をする。左手が銃から離れ、マナは歩き出しすことができた。
 右手に銃を持ったまま、マナはアスカに近づいた。アスカが動くことなどないと、分かり
きっている。もう、どうでもいいことだった。

227 :ぽち:02/08/02 18:31 ID:???
 砕けたガラスの中にアスカは横たわっていた。両手で何かを守るようにして、うつぶせ
に倒れている。綺麗な服の心臓の位置は、赤黒くべっとりとしていた。左わきの下に、
流れ出た血がたまり始めている。
 マナはアスカが抱えているものが気になった。覗き込んで、アスカに手をかけた。
 アスカを仰向けにしたとき、赤い服の胸元からスコーンが二個零れ落ちた。一個には
アスカの血が染みていた。
 マナは胸をつかれる思いがした。

228 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/08/09 07:05 ID:???
保守

229 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/08/15 21:05 ID:???
保守

230 :ぽち:02/08/16 17:56 ID:???
>>228-229
 ありがとうございます。
今日から、またがんばります。

それでは、お話を続けますね。

231 :ぽち:02/08/16 17:57 ID:???
 マナは俯き、立ち尽くす。
すぐ駆けつけてきた警官に身分証を示すときも、
「マナ、B26354」
と、名前と認識番号を力なく告げただけで、顔を上げることはなかった。

232 :ぽち:02/08/16 17:57 ID:???
 チルドレンに関わる事件に際しては、戦自の指揮権はあらゆる管轄に優先して発動
される。それは現場においても同じである。
 警官はしばらくの間、マナのそばで指示を待っていた。けれど、マナが俯き黙ったまま
だったので、警官はひょいと肩をすくめ自分達の当面の仕事、現場確保のための野次
馬整理に取り掛かっていった。

233 :ぽち:02/08/16 17:58 ID:???
 遠巻きに見ていた人まで追い払われ、マナはもう動くことはないアスカのそばに一人
取り残される形になった。
 マナは地面にころがるスコーンをぼんやりと見ていた。それは、楽しくおしゃべりして
いたあの短い時間と相まって、まるで夢を見ているような、現実を否定したくなるような
感覚を生じさせた。

234 :ぽち:02/08/22 01:42 ID:???
 ただのスコーンを大事に胸に抱き、どんな思いでアスカは走っていたのか。それを
考えるとマナはやりきれない気持ちになった。
 あの写真のチルドレン達は、今アスカを待っているのだろうか。時間になっても現れ
ない。連絡も取れない。心配してずっと待ちつづけるのだろうか。探しに街を駆けるの
だろうか。

235 :ぽち:02/08/22 01:43 ID:???
 考えてはいけないこと・・、マナはそう思い込もうとした。つまらない感傷などという
ものを抱かずに過ごす術は身につけたはずだと、自分に言い聞かせようとした。
 けれど、アスカとお茶を飲んだあの短い時間が、自己防御的なそれをすっかり打ち
砕いていた。

236 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/08/27 15:10 ID:???
<2chのエヴァFFを語ろうスレ>を見てこのスレにやってきました
かな〜り面白(・∀・)イイ!!
マイペースでいいので是非完結させてください!
応援しています!

237 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/08/31 09:47 ID:???
保守sage!!

238 :ぽち:02/09/01 16:41 ID:???
>>236
ありがとうございます。ゆっくりだけど、
がんばりますね。

>>237
いつもすみません。今月は時間が取れると
思いますので、気を使ってもらわなくても
いいようにしたいです。

それでは、お話を続けますね。

239 :ぽち:02/09/01 16:51 ID:???
 もうアスカは笑わない。あの写真のようにチルドレンがそろって微笑むことは、
もうないのだろう。マナには、それがとても酷いことのように思えた。そして、その
酷い『死』を運んだのは紛れもなく自分だという自覚がマナにはあった。
 右手の銃が重かった。

240 :ぽち:02/09/01 16:53 ID:???
「まいっちゃうわねー。もう、一体廃棄処分?」
 近づいてくる気配を感じたときから、マナにはそれがミサトであると見当がついて
いた。だから、向こうがかけてくる軽口に応じるつもりもなかった。ミサトもまた、
マナの態度に頓着するはずもなく、いつもの調子で続けた。
 「さすが、噂どおりねぇ。腕はなまっちゃいないかあ・・って、ちょっと、どうしたの?
顔色悪いわよ」

241 :ぽち:02/09/01 16:55 ID:???
 俯くマナの貌は、蒼白だった。雨に濡れた栗毛の髪は汗の浮いた額に張り付き、
その形のいい唇からも艶やかな色が失われていた。
「後やっとくから、帰ってやすみなさい」ミサトはマナの肩を軽くたたいた。「ほらっ、
あんた達!ちゃっちゃと片すわよ」
 景気よく、ミサトが部下に声をかけた。

242 :ぽち:02/09/01 16:56 ID:???
 マナは銃をしまって歩き出したが、二三歩歩いて立ち止まった。マナは振り向いて、
もう一度アスカを見た。ミサトの指示で、係官がアスカを深緑の袋に詰めるところだ
った。その動作は、尊厳などというものから程遠く、あまりに無雑作だった。そして、
袋を運んでいくとき、係官の一人が落ちているスコーンを踏み潰していった。
「・・・紅茶のお金払ってなかったな」
 ぽつりとこぼし、マナは重い足取りで雨の中に進んでいった。

243 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/09/02 01:19 ID:???
キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(   )━(゚   )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
ぽちさんファイト!
応援sage!!

244 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/09/04 08:05 ID:???
置き換えて昇華するとここまでクるとは……参りました(泣)
つーかすげー良いけど痛いのよ〜?
勿論元々がこういうやりきれなさをメインにした物だと解っていても……ていうか。
とにかくぽちさん素晴らしいです!
支離滅裂な文章ですけど、とても応援しているのです……頑張ってくださいね。

245 :ぽち:02/09/05 20:04 ID:???
>>243
ああ、なんかクルクルと・・・。ありがとうございます。

>>24
ありがとうございます。それと痛くてごめんなさい。
でも、そのやりきれなさみたいな感じがあったから、
このお話をここで書いてみたかったんです。
 
なんて言っていいか分かりませんけど、とりあえず
がんばります。

それでは、お話を続けますね。

246 :ぽち:02/09/05 20:05 ID:???
 とても広い部屋だった。玄関の扉に連なるその部屋は、天井も高いうえに家具など
ひとつも置いてなく、冷たい感じがするほどにがらんとしていた。その部屋の奥まった
位置の天井近く、ねじを巻くときはいったいどうするのだろうかと思うような所に、古い
鳩時計がひとつ掛かっていた。時間はもうすぐ夕方の六時で、時計の長針はローマ
数字の12にさしかかろうとしていた。

247 :ぽち:02/09/05 20:05 ID:???
 しばらく前から、時計の下に綾波が立っていた。約束の時を待ち望み、綾波は静かに
鳩時計を見上げていた。
 長針が天頂をさし、カチッと音を立てる。すぐに文字盤の上の小さな扉が開き、小鳥が
顔を出しては時を告げた。
 ひとつひとつ数をかぞえ、小鳥が扉の奥に隠れると、綾波は小さく微笑んだ。

248 :ぽち:02/09/05 20:06 ID:???
「何してるんだい?」
 ケンスケが声をかけた。
「なんでもないわ、見てただけ」
 振り向いて綾波がこたえた。
「わたし、どう?」
 自分の服を覗き込みながら綾波が訊いた。

249 :ぽち:02/09/09 20:03 ID:???
 身に纏っているのは、黒のワンピース。素材はシルクで、玉虫の羽を思わせる文様が
光の加減で浮かび上がってみえる。派手な装飾は一切ないシンプルなデザインだった
が、それがかえって綾波には相応しかった。
「いいよ」
 一瞬見とれたケンスケが、うろたえたようにこたえた。

250 :ぽち:02/09/09 20:04 ID:???
 眉を寄せ、綾波はケンスケを見た。
「とても綺麗だ」
 言葉が足りなかったことを自覚し、ケンスケはそう付け加えた。 
「ありがとう」
 綾波は、柔和に微笑んでみせた。

251 :ぽち:02/09/09 20:05 ID:???
「あなた、幾つ?」
 綾波が訊いた。
「19歳」
 その声には、微かな諦めがあった。
「老けてるわ」
 綾波の感想は正直だ。実際、ケンスケの肌は張りがなく、目元は深いしわが幾つも
刻まれ、髪の毛には白い物が幾つも混じっていた。

252 :ぽち:02/09/09 20:06 ID:???
「メトセラ症候群」自嘲気味にケンスケは言った。「内分泌腺の・・・まあ、早い話、ホル
モンの失調で早く年をとる老化病さ」
「だから、こんなところで生活を?」
「ああ、申請しても身体検査ではねられるからね」ケンスケは肩をすくめた。「でも、ここ
が気に入ってるってのもあるんだよ」
「・・いい人ね・・、見た目はどうであれ、あなたはあなた・・」

253 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/09/11 19:53 ID:???
うぉ…更新してたのか(・∀・)ヤター

254 :ぽち:02/09/15 03:04 ID:???
>>253
不定期かつコソーリ…で、ちょっと申し訳ないです。

それでは、お話を続けますね。


255 :ぽち:02/09/15 03:07 ID:???
 心が乱れていくのを感じたケンスケが綾波を見つめた。
 けれど、綾波はケンスケのわきをするりと通り抜ける。
「あっ、碇君!」
と、弾むような声で。
 ケンスケが振り返ると、扉に向かって駆けていく綾波が目にはいった。綾波の駆けて
いく先、玄関の扉のそばに、シンジが立っていた。

256 :ぽち:02/09/15 03:08 ID:???
 綾波はくるりと振り向き
「昨日話した友達よ」
と、シンジを紹介した。
「彼が恩人の相田ケンスケ・・」
 少しばかり高い位置にあるシンジの眼を真っ直ぐに見上げて、綾波が言った。

257 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/09/18 17:51 ID:???
期待sage!!

258 :ぽち:02/09/19 20:32 ID:???
>>257
ありがとうございます。マトリエルにめげないよう
がんばります。

最近頻繁なマトリエルの襲来にビクビクしながら
お話を続けます。      

259 :ぽち:02/09/19 20:32 ID:???
 待ちわびた再会の喜びを露にする綾波と、それを優しく受け止め包み込むように
傍らに立つシンジ。
 見つめあう二人は、なぜか儚げに見え、飾られた絵のように美しかった。
 そうだよなと、ケンスケは思った。ちくりと胸が痛んだが、それでいいんだと自分を
納得させた。
 ケンスケは一人ぼっちだった。

260 :ぽち:02/09/19 20:33 ID:???
 二人でここを出て行くんだろうなと、ケンスケは思った。綾波にはもう会えないかも
しれない。それは肝心な点だった。たぶん、二度と会うことはない。
「食事にしないか。今作るから」
 ケンスケが言った。
「そんな、わるいよ」
「いいって、遠慮するなよ」
 シンジのほうを見て見ないふりをしながら、ケンスケはキッチンへ続くドアに消えて
いった。

261 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/09/20 13:15 ID:???
ケンスケ漢や〜(・∀・)カコイイ!

262 :ぽち:02/09/23 21:13 ID:???
>>261
(・∀・)アリガトー

ちょっとおざなりな気もしますけど
お話を続けますね。

263 :ぽち:02/09/23 21:13 ID:???
「ねえ・・・」二人きりになって、綾波がためらいがちに声をかけた。「・・アスカは?」
 シンジは顔をそむけ、じっと下をむいた。
「もう・・僕達だけだ」
 静かに告げるシンジは、ほとんど泣き出しそうな表情だった。
「そう・・・」綾波も俯いた。「私達、バカだから死んじゃうのね」
 シンジが、そっと綾波の頬にふれる。
 弾かれたように顔を上げた綾波に、シンジは小さく首を振ると、気丈にも微笑んでみせた。

264 :ぽち:02/09/23 21:14 ID:???
 本当にシンジは優しい。綾波はそう思う。それが嬉しく、そして、たまらなく悲しかった。
綾波はシンジがどれほどの感情を抑え込んでいるのか分かっていた。シンジの身体が
小さく震えているのが、頬にふれた指先からかすかに伝わってくる。
 綾波は身体を柔らかく寄せると、悲しみをこらえるシンジの背をおずおずとなでた。

265 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/09/25 02:14 ID:???
|∀・)コソーリ

266 :ぽち:02/10/01 01:19 ID:???
>>265
ビクッ!・・・

何もなかったかのように装って、お話を続けますね。


267 :ぽち:02/10/01 01:20 ID:???
 部屋には、先に綾波が入ってきた。床に落ちている人形を見つけると、しゃがみこんで
手にとった。人形は服がなく、足ももげていた。大事そうに人形を胸に抱いてソファーに
すわり、綾波はシンジを待った。やってきたシンジは重いコート脱いでいて、やわらかい
無地のシャツとショーツ姿だ。かるく伸びなどしてくつろいだようすで、綾波の方に歩いて
くる。

268 :ぽち:02/10/01 01:21 ID:???
 二人が通されたのは食堂というよりは、ちょっとした遊戯室といった感じの部屋だった。
部屋中に人形が、それも大小問わず作りかけのものも含めて飾られ、雑然としていた。
二人の後ろの壁際にはバーカウンターがしつらえてあり、前方にはジュークボックスや
フリッパーが並んでいる。控えめすぎるほどに抑えられた照明が、仄暗い陰影を拵え
ていた。

269 :ぽち:02/10/01 01:22 ID:???
「たいしたもんじゃないけど、もうすぐ出来るからさ」
「わるいね」
 キッチンに消えたケンスケが、小さな鍋を片手に引き返してきた。ビリヤード台に並べた
皿の上に、均等にスープと具をよそっていく。

270 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/10/07 01:30 ID:???
おお・・・更新してるし!
sage進行なので更新されても気づかないときが多いッス
見てますんでがんがってください〜

271 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/10/10 03:05 ID:???
いつも楽しみにしています。

272 :ぽち:02/10/12 01:03 ID:???
>>270
不定期かつコソーリで、ごめんなさい。
気づいてもらえるように、ガシガシ更新は
したいんですけど・・・。

>>27
ありがとうございます。

なんて言っていいか・・・がんばりますね。

ちょっと間があいたけど、お話を続けますね。

273 :ぽち:02/10/12 01:05 ID:???
 シンジは部屋をざっと見渡すと、たったひとつぽつんとバーカウンターに置かれたチェス
ボードに目を留めた。大理石の盤上では象牙の駒が戦っており、役目を終えた駒は脇に
きれいに並べられている。覗き込んで局面を見て取ると、シンジは感心したように頷いた。
次は白の手番。
 シンジはf3のクイーンを手に取ると、f6に進めた。

274 :ぽち:02/10/12 01:07 ID:???
「ナイトがクィーンを取るよ。それじゃ、駄目だ」
 みとがめてケンスケが言った。
 シンジはボードの反対側に回りこんだ。くちびるに人差し指を当て少し考えた後、言われ
たようにナイトを動かしクイーンを取る。
「なぜ僕たちをじっと見る」
 ボードから目を離しもせずにシンジは訊いた。

275 :ぽち:02/10/12 01:08 ID:???
「普通じゃないからさ。・・・なんて言うか、君達は完璧すぎるんだよ」突き放したようにケン
スケが言った。「人間じゃないんだろ」
「・・・・・」
 シンジはゆっくりと顔を上げ、ケンスケを見た。
「やっぱりね。世代は?」
「ネクサス 6」

276 :ぽち:02/10/15 20:40 ID:???
「凄ぇ!チルドレンじゃないか」ケンスケの顔が輝いた。「僕は遺伝子のデザインワークを
やってるんだ。君たちの一部も僕の仕事さ」
「見せてよ」
 興奮したようにケンスケは言った。
「何を?」
「機能を。最新型なんだろ」

277 :ぽち:02/10/15 20:41 ID:???
「僕たちは機械じゃない」
 呟くようにシンジが言った。
 綾波が、すっと席を立つ。
「『我思う』よ、相田くん。・・・『故に、我あり』」
「そう、僕たちは人間だ」シンジは言い切った。「それに、君と同じなんだよ」

278 :ぽち:02/10/15 20:42 ID:???
「なにが?」
 ケンスケが訊いた。
「体質さ」
 と、シンジは言い、
「成長の過促進・・」
 綾波が補った。

279 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/10/18 00:48 ID:???
ここで『ふえに、あなあり』はさすがに(笑

280 :ぽち:02/10/19 19:21 ID:???
>>279
書き直しはしました。でも、納得はしてません。
…いいと思ったんですけどね。

お話は続きます。

281 :ぽち:02/10/19 19:22 ID:???
 定期的な消費を促すように、ネルフはチルドレンの製品寿命を四年と設定している。
文字通り、四年でチルドレンは死んでしまうのだ。商業的利益のために、チルドレンは
短い生涯を強制される。老化が早いという病を抱えたケンスケとは、その意味におい
て同じといえた。

282 :ぽち:02/10/19 19:23 ID:???
 ああ、とケンスケは思い当り、そういうことだったのかと、納得した。
「病理は分からないよ」
 ケンスケは言った。
 その瞬間、シンジの腕がケンスケの胸元を掴んだ。
「早く何とかしないと、綾波が死ぬんだ。・・・・そうは、させない」
「僕ぐらいのセキュリティーレベルじゃ知ることはできないんだ。それこそネルフのトップ
シークレットだからね、残念だけど」

283 :ぽち:02/10/25 04:06 ID:???
 変わらぬケンスケの口調に、シンジの力が抜けた。
「・・・ごめん」
 手を放し、シンジは詫びた。落胆の吐息が漏れる。
「彼は強い?」
 力なくシンジが訊いた。
「誰?」
「君の相手」
 シンジが目線でチェスボードを示した。

284 :ぽち:02/10/25 04:07 ID:???
「ああ、碇博士かい?」ボードを眺めてケンスケは言った。「一度しか勝ってない。彼は
天才だよ、君らの設計者だもんな」
「彼に頼もう」
 シンジが、にこりと笑みを浮かべた。

285 :ぽち:02/11/01 03:51 ID:???
「伝えておくよ」
「直接会って話そうと思うんだ」
 穏やかな微笑の仮面を被り、シンジはケンスケにゆっくりと近付いた。
「・・でも、なかなか会えないそうだね」
「そっ、そうだよ」
 ケンスケは後ずさった・・・っが、その足もすぐに止められた。

286 :ぽち:02/11/01 03:52 ID:???
 いつの間にか、ケンスケの背後に綾波が立っていた。
「相田君、あなたが頼りなの」
 ふわりとケンスケを捕らえて、綾波が言った。
「手伝ってくれるよね」
 恋人に囁きかけるような、優しいシンジの声音だった。

287 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/09 19:50 ID:???
・・・ケンスケはめられてるやん!
ヽ(`Д´)ノ ウワァァァァーーーーーーン!!!

288 :ぽち:02/11/11 21:27 ID:???
>>287
いろんな意味を含めて、ごめんなさい。

とりあえず、おはなしを…

289 :ぽち:02/11/11 21:28 ID:???
 山間に数十キロ程広がる平野の中に、第三新東京市はある。その中心部に、ネル
フ本社ビルが建っていた。ここは特殊な都市だ。街のほとんどは、ネルフ・コーポレー
ションのために存在している。
 ピラミッドを模して造られた本社ビルは、4つの控壁に囲まれており、周りの高層建築
物が小さく見えるほどの、建物と言うよりは山とでも言ったほうがいい程の外観を誇っ
ていた。
 数百万の人を楽に飲み込むこの建物の最上階に、ネルフを統べる会長室がある。

290 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/22 14:24 ID:???
…がんばってください…
応援保全。

291 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/25 11:53 ID:???
映画は見たことないけど、原作の小説捜してきて、読みました。
あっちもすごいけど、あなたもすごい!
とてもいいお話だと思います。
頑張ってください。

292 :ぽち:02/11/28 21:14 ID:???
>>29
ありがとうございます。
来週から、また少しずつ進められそうです。

>>291
ありがとうございます。ちょっと気恥ずかしいです。
よかったら、このお話が最後にたどり着く前に
映画のほうも観てください。

それでは、お話を続けますね。

293 :ぽち:02/11/28 21:18 ID:???
 会長室に至るエレベータは二系統あり、ひとつが会長専用のエレベーター。もうひとつ
は、ネルフ本社ビルの側壁を沿うようにして昇っていく展望エレベーターである。
 強化ガラスに囲まれたその展望エレーベーターは、静かで乗り心地もよかった。ただ、
会長室に向かう途中で楽しそうな顔をする者は一人もいなかった。セキュリティーチェッ
クのためいったん留め置かれたままのエレベーター内で、威圧感あふれる会長の声を
待たなければならないからである。

294 :ぽち:02/11/28 21:18 ID:???
 この夜。
 ケンスケは、ガラス張りの室内がいつにもまして息苦しく感じられた。
 襟元を緩め、ケンスケはちらりと隣を窺った。
 その原因の一端であるシンジは、壁に背をもたれさせ眠っているように瞼を閉じている。
「こんな時間に何のようだ」
 スピーカーから流れた碇会長の声に、ケンスケはさっと緊張した。

295 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/30 01:54 ID:???
復活! 嬉しいっす。
無理せず、自分ペースで続きを書いてくだされ。


296 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/01 16:58 ID:???
壁|∀・)ガンガッテー

297 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/05 15:23 ID:???
ひっそりと保全致します。

待ってるよう。ぽちさん。

298 :ぽち:02/12/07 13:07 ID:???
>>295
ありがとうございます。かたじけないっす。

>>296
(・∀・)ノ アリガトー

>>297
うう、ごめんよう。


それではお話の続きを・・・。

299 :ぽち:02/12/07 13:07 ID:???
 ケンスケは、シンジに視線を送ってみた。
 シンジは変わらぬ姿で立っているだけで、動じた様子など少しもない。
 ケンスケは向き直り、ひとつ息を吸い口を開いた。
「クイーンをf6、チェック」
「バカな、ちょっと待て・・・」驚いたような応えがあった。「クイーンでチェックだと?バカげてる」
 それはそうだろうとケンスケは思った。

300 :ぽち:02/12/07 13:08 ID:???
 実際、ケンスケに不利な局面だった。不利というより、一方的でさえあった。なにしろケンスケは
ビショップと二つのルークを失った上、敵クイーンとビショップに自陣深くキングを挟むように攻め
込まれていた。こちらのナイト二騎だけはかろうじて攻めに転じているが、敵キングの周りには
ルークとナイトがそれぞれ二つ、さらにビショップまでもが守りについていて、付け入る隙など少し
もない。自陣のキングと言えば、ビショップとクイーン、たった二つの駒で絶望的な守りを布いて
いるだけ。しかも、そのクイーンをむざむざと送り出そうと言うのだ。
 ケンスケは不安になり、もう一度シンジを見た。だが、シンジは静かに目を閉じ佇むだけだ。
「ナイトでクイーンを取るぞ。・・何を考えてる?次の手は?」

301 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/07 13:43 ID:???
更新ワショーイ
ケンスケガンガレー

302 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/11 13:25 ID:???
まだ早いかもしれないけど保全。
…それだけ続きが読みたいのです。

303 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/12 20:58 ID:???
漏れも保守〜

304 :ぽち:02/12/16 03:59 ID:???
>>301-303
ほんとに少しずつしか進まなくてごめんなさい。
それと、ありがとうございます。

時間を作って続きを必ず上げるから今日の
ところはこれで勘弁してください…、という
気持ちでお話を続けますね。

305 :ぽち:02/12/16 04:00 ID:???
「ビショップをe7、チェックメイト」
 その目を閉じたまま、シンジが呟きのような微かな声で呼びかけた。隣にいるケンスケがやっと
聴き取れるくらいの小さな囁きだ。
 ケンスケは、信じられないという表情でシンジを見た。そして、すぐにハッと身体を強張らせ、慌て
て声を上げた。
「ビショップで詰みます!!」

306 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/16 12:03 ID:???
ぽちさんキター!
なんか無理言って書かせたみたいで悪い…
ゴメソ、ゆっくりでも待ってますよ。

307 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/24 00:54 ID:???
I do not know wether I should keep this "SURE" now,
but I do know how I want to read this STORY's next scene.
So, please, please come back again, and show me and other persons
the world where this STORY will be lasting ...
Longing for you and your STORY. Thank you for reading this message.

308 :ぽち:02/12/27 02:56 ID:???
>>306-307
 なんかごめんなさい。あと少し、がんばるからね。

 それではお話を…

309 :ぽち:02/12/27 02:57 ID:???
 ほとんど叫ぶようなケンスケの声で碇会長の顔色が変わった。ボードの一点を見つめ、
驚愕を露にしている。
 それは、実に見事な一手だった。クイーンを仕留めるために繰り出されたナイトは、しかし
シンジが巧みに誘ったものだった。ナイトが守っていた一角。そこに死点があった。守りが
堅いがゆえ、ケンスケのビショップが滑り込んだ時、キングに逃げ道はなかった。

310 :ぽち:02/12/27 02:59 ID:???
「霊感でも得たのか・・」うめくように碇会長が言った。「・・脳みそを絞ったな」
 敗北などするはずがない、勝とうと思えばいつでも勝てる。そんな驕りはあった。悔しくない
といえば嘘になるが、それ以上に、この素晴らしい一手を目の当たりにして興奮していた。
「クッキーとミルクで寝ずに考えたか?」
 いつにもまして饒舌だった。
「上がって来い。少し話したい」

311 :ぽち:02/12/27 03:00 ID:???
 許しを得て、エレベーターが再び上昇を始めた。
 シンジは、ゆっくりと目を見開いた。端正な貌に笑みを浮かべて。

312 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/30 03:10 ID:???
一人でがんばってるな

313 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/30 10:27 ID:???
ケンスケ(・∀・)イイ!
ガンガレー

314 :世直し一揆:02/12/30 13:24 ID:aoQ6N7WD
<血液型A型の一般的な特徴>(見せかけの優しさ(偽善)に騙されるな!)
●とにかく気が小さい(神経質、臆病、二言目には「世間」)
●他人に異常に干渉する(しかも好戦的・ファイト満々でキモイ)
●自尊心が異常に強く、自分が馬鹿にされると怒るくせに平気で他人を馬鹿にしようとする
(ただし、相手を表面的・形式的にしか判断できず(早合点・誤解の名人)、実際にはたいてい、内面的・実質的に負けている)
●「常識、常識」と口うるさいが、実はA型の常識はピントがズレまくっている(日本の常識は世界の非常識)
●権力、強者(警察、暴走族…etc)に弱く、弱者には威張り散らす(強い者に弱く、弱い者には強い)
●あら探しだけは名人級(例え10の長所があってもほめることをせず、たった1つの短所を見つけてはけなす)
●基本的に悲観主義でマイナス思考に支配されているため、性格がうっとうしい(根暗)
●一人では何もできない(群れでしか行動できないヘタレ)
●少数派の異質、異文化を排斥する(差別主義者)
●集団によるいじめのパイオニア&天才(陰湿&陰険)
●悪口、陰口が大好き(A型が3人寄れば他人の悪口、裏表が激しい)
●他人からどう見られているか、体裁をいつも気にしている(「世間体命」、「〜みたい」とよく言う)
●自分の感情をうまく表現できず、コミュニケーション能力に乏しい(同じことを何度も言う、知障)
●表面上意気投合しているようでも、腹は各自バラバラで融通が利かず、頑固(本当は個性・アク強い)
●人を信じられず、疑い深い(自分自身裏表が激しいため、他人に対してもそう思う)
●自ら好んでストイックな生活をし、ストレスを溜めておきながら、他人に猛烈に嫉妬する(不合理な馬鹿)
●執念深く、粘着でしつこい(「一生恨みます」タイプ)
●自分に甘く他人に厳しい(自分のことは棚に上げてまず他人を責める。しかも冷酷)
●男は、女々しいあるいは女の腐ったみたいな考えのやつが多い(他人をけなして相対的に自分の立場を引き上げようとする等)

315 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/02 23:38 ID:???
保守

ぽちさん、続きを楽しみにしております。
でも、無理はしないでくださいね。

316 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/07 12:07 ID:???
コソーリ
…頑張ってください…ここ読むの楽しみで来てます…
どんなにゆっくりでも、待ってますから…
ササッ

317 :ぽち:03/01/10 02:18 ID:???
>>312-316
 なんていっていいか、本当にありがとうございます。
今月の終わりには、おきらく大王になれると思うので、
あと二週間ちょい、何とかのりきりたいです。

どうせだったらB型がよかったな…とか思いつつ、
お話を続けますね。

318 :ぽち:03/01/10 02:18 ID:???
 ベージュ色の重厚な扉に近づくと、ケンスケは胸苦しくなった。両手で扉を押し開き、
恐る恐るといった声で
「友達を連れてきました」
と、言った。

319 :ぽち:03/01/10 02:19 ID:???
 そこは広い空間の、薄暗い、静かな部屋だった。奥の壁に大きく描かれた幾何学的な
文様が聖母像や宗教画だったなら、会長の執務室というより礼拝堂とよんだほうがいい
ような、厳しい雰囲気だった。
 窓辺に立つ人影が振り向いた。

320 :ぽち:03/01/10 02:22 ID:???
 碇会長と呼ばれるその長身の男は、マオカラーの服を着て色の濃い眼鏡をかけていた。
相貌は力強く、胸を張り、やや頭を後ろにそらしている。
 碇会長ははじめにケンスケを見、それからゆっくりとシンジを見た。どこか落ち着かない
様子のケンスケには気を留めることなくシンジに向かい、ただ一言
「遅かったな」
と、だけ言った。

321 :山崎渉:03/01/11 04:45 ID:???
(^^)

322 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/11 10:57 ID:???
キター!
カイチョウコワー
・・・タイヘンナラユックリデモイイヨー
ムリシナイデネ

323 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/14 14:52 ID:???
保守

ポチサンマンセー!!

324 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/17 16:19 ID:???
hoshu


325 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/21 01:38 ID:???
ダレモイナイ....
ホシュスルナライマノウチ....。

326 :ぽち:03/01/22 03:06 ID:???
>>321-325
本当にありがとうございます。あと、もうちょっと頑張ります。

それでは、お話を続けますね。

327 :ぽち:03/01/22 03:07 ID:???
「造物主に会うのは、とても大変なんだよ」
 臆した様子もなく、シンジは会長を見据えて言った。
「用件は?」
 会長が訊いた。
「欠陥を正すことは、造物主ならできると思って」
「もう一段 改良か?」

328 :ぽち:03/01/22 03:08 ID:???
「ここで待ってて」そうケンスケに言い置くと、シンジはゆっくりと歩み出た。「もっと根源的
な問題だよ」
「どんな問題だ」
「死だ」
「死?」

329 :ぽち:03/01/22 03:09 ID:???
 暫しの沈黙の後、会長が唇の端で笑った。
「それは、私の管轄外だ」
「もっと生きたいんだよ・・・父さん!」
「無理だな」
 次の言を続ける間さえ与えず会長は即答した。

330 :山崎渉:03/01/23 04:54 ID:???
(^^)

331 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/23 05:21 ID:???
一旦保守。

332 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/23 12:29 ID:???
ポチサンキター!
オカエリー!
コウシンマンセー!
シンジクンノノゾミッテ、タブンコノヨデイチバンセツナイネ
ミンナイキモノダカラ
ツヅキマッテルヨー ガンガッテ!

333 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/27 02:41 ID:???
トリアエズ、ホシュ

334 :ぽち:03/01/30 17:00 ID:???
>>330-333
 ホントニ、アリガトー。
ようやく、おきらく大王になれそうです。お話、がんばるからね。

部屋のお掃除をしたいけど、その前にお話です。

335 :ぽち:03/01/30 17:01 ID:???
「有機体の生命システムを変えることは命取りだ。一度設定されたDNAシーケンスは変え
られん」
「なぜ」
「外部から干渉を受けた細胞は、ネズミが沈没寸前の船から逃げ出すようにパニックを起
こし働きを無くす。・・そして、すぐに船も沈む」

336 :ぽち:03/01/30 17:02 ID:???
「EMSによるDNA組み換えは」
「やってみた。突然変異を起こしたDNAは有毒なビールスを作り出す。被験者は即死だ」
「細胞活動を抑えるたんぱく質は」
 シンジの声に、微かな震えがあった。
「細胞再生の際に突然変異を誘発する。結局、変異したDNAがビールスを作り出すことに
なる」会長は、静かな口調で続けた。「すべて考慮済みだ・・・学術的にな」

337 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/02/02 05:41 ID:???
空虚さが哀しくて、でもそれ故に美しい…
ため息がもれるような、
宝石のようなお話ですね。

陰ながら、応援しています。

338 :ぽち:03/02/04 02:33 ID:???
>>337
ありがとうございます。
なんか、もったいないくらいです。お話の終わりで、もう一度そう言って
貰えるようにがんばります。

それでは、お話を続けますね。

339 :ぽち:03/02/04 02:33 ID:???
 シンジは言葉を無くした。もう訊き直すこともなかった。
「よく戻ったな。お前を誇りに思ってる」
 深みのある声で会長が語りかけた。
「・・沢山の・・」シンジはやっと口を開いた。「・・沢山の人を殺めたんだ」
「それだけ業績を上げた。お前達は私の最高傑作だ」
「でも・・寿命が短い」

340 :ぽち:03/02/04 02:36 ID:???
「明るい炎は早く燃え尽きる。お前は輝かしく生きてきた、違うか?」
「・・綾波は・・・なにも悪いことしてないのに・・・」
「命ある内に楽しめ」
 会長がシンジの肩を抱いた。

341 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/02/04 10:56 ID:???
ポチサンダポチサンダー!
キター!!

…ってか>>339・>340なんか泣けましたよチクショー!!ウワァァァァァァン
後半素でゴメン
いつも忙しい中更新してくれてありがとー!
多忙を乗り切ったぽちさんマンセー これからもがんがって!

342 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/02/07 13:39 ID:???
ほしゅ。
がんがってー(・∀・)
いつも楽しみにしてます。

343 :337:03/02/08 00:30 ID:???
僕も楽しみにしてます。
…でも、無理はしないで下さいね。
のんびり待ちますから。

344 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/02/09 00:47 ID:???
保守しておきます。

345 :ぽち:03/02/09 03:49 ID:???
>>341-344
 ありがとうございます。いっぱい気遣ってもらって申し訳ないくらいです。
おきらく大王にもほどがあるってくらい、今週はゆっくりさせてもらいました。
来週から、また少しずつ進めていくつもりです。(・∀・)ガンバルカラネー

それでは、お話を続けますね。

346 :ぽち:03/02/09 03:50 ID:???
 シンジは悲しそうに笑った。ゆっくりと顔を上げると、会長の肩に手を回した。
 会長はシンジの微笑を見て、二、三度頷いて見せた。
 っと、シンジが会長をぐいと引き寄せた。首に腕を巻きつけ、頭を脇に抱えるように
固定した。

347 :ぽち:03/02/09 03:52 ID:???
 頭が前に泳いで窮屈な姿勢になり、会長の顔が渋くなった。頭を抜こうとしてもが
いたが、きつく絞まったシンジの腕は緩まない。
 眼鏡が外れ、床に落ちた。
 シンジはもう片方の手を会長の側頭部に添えた。やがてシンジは会長の首を鋭く
捻った。
 頚椎の折れる乾いた音がした。

348 :337:03/02/10 03:18 ID:???
 ぽちさん、お待ちしてました。いや、お帰りなさい。のほうがしっくりきますね。
正直に言えば、お話の続きがよみたいのはやまやまですが、あまり無理はなさいませんよう。
一読者として、楽しみにしております。

349 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/02/11 01:13 ID:???
ポチサン(・∀・)キター!
ホシュホシュ! ツヅキタノシミー
イツモ タノシイジカンヲ アリガトー!

350 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/02/13 01:39 ID:???
hoshu!



351 :ぽち:03/02/13 21:55 ID:???
>>348-350
 いつもありがとうございます。しばらくはおきらく大王でいられるので
いっぱい書けるといいなって思ってます。(・∀・)ノ

それでは、お話を続けますね。

352 :ぽち:03/02/13 21:56 ID:???
 会長の身体は一度ぶるっと震え、すぐにだらんとなった。シンジはしばらく抱えてい
たが、なにか力が抜けるように手を離した。会長の身体が、うつ伏せに床に落ちた。
顔は不自然に横を向き、口はきつく閉じられて、見開かれた両眼は壁に大きく描か
れた『生命の樹』を睨みつけていた。

353 :ぽち:03/02/13 21:57 ID:???
 会長を見おろしていたシンジが顔を上げると、そこには脅えた表情のケンスケが
いた。シンジと視線が合うと、二、三歩後ずさりをし、ふらふらとした感じで出口に
向かっていった。走って逃げたくても足が動かない、もしくは猛獣を前にしてできる
だけ刺激しないよう無理にゆっくり歩いてるような、そんなおぼつかないケンスケの
足取りだった。
 シンジは自分の中が乾いていくのを感じた。

354 :ぽち:03/02/13 21:58 ID:???
 降りのエレベータに、シンジは一人で乗りこんだ。1Fのボタンを押し、外を眺める
でもなくじっと下を見ていた。俯くシンジは、悲しそうな、打ちひしがれた目をしてい
た。ここに昇ってくるときのあの昂揚感も今はすっかり失せていた。自分の左手を
力なく見つめ、それから両手で顔を覆った。

355 :ぽち:03/02/13 22:00 ID:???
 建物の外に出たシンジは空を見上げた。無駄とは分かっていても、月が・・、ただ
どうしようもなく、月が見たかったのだ。
 シンジの頬に、眼に、身体じゅうに雨が落ちて来る。いくつものサイレンが遠くか
ら近づいてきていた。

356 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/02/14 09:42 ID:???
すごい…なんか頭の中に映像が浮かんでくるようです。
このまま映画にできそうですよ、このお話。
ぽちさん応援してます、頑張ってくださいね

357 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/02/17 00:39 ID:???
ホシュ
ラストマデ、モウスコシデスネ
オハナシガオワリニチカズクノハ、スコシサミシイキガシマスガ
ツヅキ、タノシミニシテイマス

デモ、ムリハシナイデクダサイネ


358 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/02/20 12:57 ID:???
hoshuットナ

359 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/02/22 01:15 ID:???
良スレハケーン!
これは保守でしょ。
職人さんがんばって!

360 :ぽち:03/02/23 23:02 ID:???
>>356-359
 いつもいつもありがとうございます。
へろへろと、先週は力イパーイ遊びまわりました。
もう、思い残すことはありません。
このまま、最後までガンバルカラネー。

去年の九月以来だよ・・って気持ちでお話を続けますね。

361 :ぽち:03/02/23 23:04 ID:???
 途中擦れ違ったのは、警察車両一台だけ。それにしたって、この区画に入ってすぐの
こと。もう、ずいぶんと人影すら見ていない。訪れる者も稀なこんなすえた廃墟が、今と
なっては自分にふさわしいのかもしれない。
 チルドレンを当たり前のことのように扱う周りが、世の中が、歪んでいるとマナは思っ
てた。けど、ミサトから聞かされた『相田ケンスケ、ブラッドベリー・ビル』という単語だけ
で自分はこうしてのこのこと出向いてる。うすうすとは感じていたことだが、自分もどこか
壊れてるんだろう。
 冷たい雨風の中を歩きながら、漠然とそんなことをマナは考えていた。

362 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/02/24 23:50 ID:???
マナさんフカーツ!!!!
ああ、なんかラストが近づいてくるのが怖い・・・・
でも読まずにはいられないんだろうなぁたぶん。
ぽちさん、ファイト。応援してまつ。

363 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/02/27 06:10 ID:???
(・∀・)<リョウスレホッシュ!!

364 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/03/02 02:24 ID:???
ホシュ

365 :世直し一揆:03/03/02 18:28 ID:wAPFw/0D
<血液型A型の一般的な特徴>(見せかけの優しさ・もっともらしさ(偽善)に騙され
るな!!)
●とにかく気が小さい(神経質、臆病、二言目には「世間」、了見が狭い)
●他人に異常に干渉し、しかも好戦的でファイト満々(キモイ、自己中心、硬直的でデリカシーがない)
●妙に気位が高く、自分が馬鹿にされると怒るくせに平気で他人を馬鹿にしようとする
(ただし、相手を表面的・形式的にしか判断できず(早合点・誤解の名人)、実際にはた
いてい、内面的・実質的に負けている)
●本音は、ものすごく幼稚で倫理意識が異常に低い(人にばれさえしなければOK!)
●「常識、常識」と口うるさいが、実はA型の常識はピントがズレまくっている(日本
の常識は世界の非常識)
●権力、強者(警察、暴走族…etc)に弱く、弱者には威張り散らす(強い者にはへつらい、弱い者に対してはいじめる)
●あら探しだけは名人級でウザイ(例え10の長所があってもほめることをせず、たった1つの短所を見つけてはけなす)
●基本的に悲観主義でマイナス思考に支配されているため性格がうっとうしい(根暗)
●単独では何もできない(群れでしか行動できないヘタレ)
●少数派の異質、異文化を排斥する(差別主義者、狭量)
●集団によるいじめのパイオニア&天才(陰湿&陰険)
●悪口、陰口が大好き(A型が3人寄れば他人の悪口、裏表が激しい)
●他人からどう見られているか、人の目を異常に気にする(「〜みたい」とよく言う、
世間体命)
●自分の感情をうまく表現できず、コミュニケーション能力に乏しい(同じことを何度
も言ってキモイ)
●表面上協調・意気投合しているようでも、腹は各自バラバラで融通が利かず、頑固(本当は個性・アク強い)
●人を信じられず、疑い深い(自分自身裏表が激しいため、他人に対してもそう思う)
●自ら好んでストイックな生活をしストレスを溜めておきながら、他人に猛烈に嫉妬
する(不合理な馬鹿)  
●執念深く、粘着でしつこい(「一生恨みます」タイプ)
●自分に甘く他人に厳しい(自分のことは棚に上げてまず他人を責める。包容力がなく冷酷)
●男は、女々しいあるいは女の腐ったみたいな考えのやつが多い(例:「俺のほうが男
前やのに、なんでや!(あの野郎の足を引っ張ってやる!!)」)

366 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/03/03 00:27 ID:???
保守sage

367 :ぽち:03/03/04 04:09 ID:???
>>362-366
 ごめんなさい。花粉症で死んでます…。

それでは、お話を…

368 :ぽち:03/03/04 04:09 ID:???
 びゅうっと風が吹きぬけ、マナの頬を洗った。足を止めて顔を上げた時、マナは目的
の建物に着いたことを知った。壁に埋め込まれたかなり腐食の進んだ真鍮製のプレー
トに、『304 S. Bradbury Build』の文字がかろうじて読み取れる。大きな柱の先に目を
やると、薄明かりに照らされる扉が見えた。ゴミとがれきが除けられて、まるで獣道の
ように人の通った跡が続いている。
 雨に濡れたポーチを渡り、マナは扉の前まで歩いた。どこか自嘲気味に笑うと、半ば
傾いたような扉を自分で開けた。

369 :ぽち:03/03/04 04:10 ID:???
 ただでさえ乏しい室内灯が幽かに照らすだけで、建物内はいっそう暗かった。湿っ
た埃の臭いと水滴の落ちる音がする。通路の先が高くひらけていたが、真夜中に
あっては、ただ大きな井戸の底の居るようにしか感じられなかった。側面を沿うよう
にして階段が続いている。パティオを見下ろしながら上層へ向かう階段だ。

370 :ぽち:03/03/04 04:11 ID:???
 マナはちらと見上げ、それから二基備え付けてあるエレベータを見た。一方のエレベ
ーターは二階と三階の途中に壊れたままぶら下がり、もう片方は一階で止まっていた。
なぜか開いたままの扉から、橙色の灯りがこぼれている。
 マナはもう一度上を見た。上を向いたまま、静かに銃を抜く。セーフティを確認すると
首の後ろがちりちりするような感覚がはしった。
 マナは注意を払い、階段のほうへ歩を進めた。

371 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/03/04 15:15 ID:???
更新マンセ〜
花粉症ですか…洩れも今年から発症…
部屋締め切ってるのに目がかゆくてたまらんでつ(泣

(´-`)ノ旦~ オツカレサマ 甜茶デモドゾー

372 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/03/05 12:08 ID:???
キテタ!
ワクワク ドキドキ・・・

373 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/03/05 23:41 ID:???
>>365
自分B型だけどほとんど当てはまりますな…ははは…
まあこの書き込みも、保守の一助と考えればありがたいということで。

ぽちさんお疲れです。毎回楽しみに見てます。
ラストの予感、みたいのがところどころに感じられてちょっと怖い。
でもすごくどきどきします。
がんがってくださいね。

374 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/03/08 02:40 ID:???
hoshu

375 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/03/10 16:54 ID:???
泣きながら保全するぞ!
ぽちさ〜ん(涙

376 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/03/13 11:10 ID:???
マダミテルヨー
ポチサン カエッテキテ…
ウン デモ ムリシナイデネ
ズットマッテルカラ(メイワクジャナケレバ)コノオハナシ ダイスキダカラ…

377 :山崎渉:03/03/13 16:32 ID:???
(^^)

378 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/03/13 23:36 ID:???
保全します。

379 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/03/14 12:40 ID:???
hoshu

380 :ぽち:03/03/15 04:14 ID:???
>>371-379
いっぱい気を使ってくださって、ありがとうございます。
最近ようやく体調がフカーツ!
つぎはなるだけ早く来ますね。

甜茶はおいしいなって、気持ちでお話を…

381 :ぽち:03/03/15 04:15 ID:???
 綾波はゆらりと立ち上がった。考えないようにしていたけど、手を引いてもらい逃げ
だした日から、こんな時が来るような気がしてた。
 鳩時計の下から離れると、綾波は小さな旅行鞄を開けた。中に、きちんと折りたた
まれた大切な服があった。手にとって広げ、じっと眺めてから、綾波は着替えた。

382 :ぽち:03/03/15 04:15 ID:???
 純白のシルクジャガード。襟元と袖口に濃紺の細糸で流れるような刺繍が施して
ある。古典美を思わせるスタイルで、光沢のある生地が綾波の体の線を美しく浮き
たたせていた。
 綾波は、この服を着るとき、きっと胸躍るだろうと思っていた。けど、華やいだ気持ち
には少しもなれなかった。今、綾波は一人きりで、シンジもそこにはいなかった。
 綾波は黙って裾のスカラップを整えた。

383 :ぽち:03/03/15 04:16 ID:???
最後に食事をとった部屋に移った。飾られてはいるが、埃にまみれた人形。制作
途中で打ち捨てられた人形。床に倒れたままの人形。綾波はたくさんの人形の前を
歩いてゆく。
 綾波が近くに来たとき、泣き顔の道化師人形が体を揺らせて笑い出した。乾いた
笑い声は静かな部屋で虚ろに響いた。

384 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/03/16 15:38 ID:???
キテタ!!!
サイカイ マンセー!
オツカレサマ サイゴマデ ミテルヨ!

385 :ぽち:03/03/19 04:52 ID:???
>>384
アリガトー!
サイゴマデ ガムバルヨ!

サカーガハジマッチャッタ スコシアワテテオハナシ…

386 :ぽち:03/03/19 04:53 ID:???
 ソファーまで辿り着き、綾波は座った。空いた隣を見て溜息をついた。
 先ほどから綾波について来ていたテディベアが、短い手足を懸命に動かしソファー
に這い上がろうとした。綾波は手を差し伸べて、ソファーに座らせてあげた。隣に収ま
るとテディベアーは大人しくなった。
 綾波は寂しげに微笑むと、小熊の頭を撫でた。

387 :ぽち:03/03/19 04:53 ID:???
 綾波は手にしてたレースの布を頭から掛けた。両肩にバランスよく掛かるよう整える。
背筋を伸ばし、両手を揃え、小首を少しかしげた。そして、表情を消して動きを止めた。
薄いレースの下に覗く水色の髪と白い肌。奥にある瞳には紅い光輝が揺らめいている。
 静かに佇む綾波の姿は、信じ難いほどに美しかった。それは、非人間的なまでに完璧
で、人形で溢れたこの部屋の中に悲しいくらい溶け込んでいた。

388 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/03/19 12:11 ID:???
ぽちさんお疲れ!
>>387 人形(≠人間)な彼女、って感じが哀しい…
ここのお話、すんごく楽しみにしてます。
いろいろあると思うけど、どうか頑張ってくださいね。

389 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/03/22 01:56 ID:???
hoshu
ところで、エヴァ板って何日ぐらいで落ちるのですか?

390 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/03/26 01:40 ID:???
hoshu

391 :ぽち:03/03/26 19:13 ID:???
>>388-390
 いつもありがとうございます。

スレの数が600に近づいたら危ないよって
読んだ気がするけど、よくわかんないでつ

私一人だったらゼターイ落ちちゃってるよな
と、少し反省しながらお話…

392 :ぽち:03/03/26 19:15 ID:???
 階段を上り終え、最上階にマナは辿り着いた。そこからは真っ直ぐだった。エレベ
ーターの他は途中に扉は無く、曲がり角も無い。もったいぶった通路の先に、立派な
両開きの扉が待っている。
 マナは歩き出した。ここまでと同様、辺りは暗く静かで何の気配も無い。足元は
水溜りがないところを探すほうが難しかった。微かな水の音がした。

393 :ぽち:03/03/26 19:16 ID:???
 扉は開け放たれたままだった。マナの顔はすでに引き締まっている。細密な彫刻の
施された扉に忍び寄り、マナは耳を澄ませた。気配を探り、用心深く扉の向こうへ進む。
やはり、暗い。奥から漏れてくる薄い明かりで、ぼんやりと部屋の内部が浮かび上がる。
広い空間の奥と左右に扉が続いていた。
 足音が近づいてきた。軽く、小さな音が、規則正しく響く。 
 マナは構えた。呼吸を止め、銃の狙いをつける。

394 :ぽち:03/03/26 19:17 ID:???
 軽く息をつき、マナは銃を戻した。
「おかえりー」
 軽やかな声で、仏蘭西兵の人形がマナの前を通り過ぎていった。

395 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/03/27 17:01 ID:???
キテタ!
ガンガッテ!
マナサンキター!!
オートマータッテ スコシコワイヨネ・・・

396 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/03/31 09:38 ID:???
保守しまーす

397 :ぽち:03/04/01 01:58 ID:???
>>395
アリガトー!
ちいさい時、辻村寿三郎さんの人形が
怖かったです。

>>396
ありがとうございます。

それでは、お話を続けますね。

398 :ぽち:03/04/01 02:02 ID:???
 マナが妙な違和感を感じたのは、三番目の部屋に入った時だった。薄暗い部屋の
中で人形に囲まれるのは、確かに気味が悪い。だが、それだけじゃない奇妙な気配を
マナは感じ取っていた。気持ちがざわざわする。
 マナは立ち止まった。
 部屋は静かだ。動くものなどない。それらしい様子は感じられない。・・が、マナは
立ち止まったままだ。奥を見ている。じっと、その『人形』を凝視し続けている。

399 :ぽち:03/04/01 02:05 ID:???
 その『人形』に向かってマナは歩き出した。視線は決して外さない。細心の注意を
払い、歩いていく。銃を持つ右手の感覚が張り詰めてくる。
 すぐ横で道化師が笑い出した。マナは見向きもしない。まっすぐに、『人形』に近づ
いていく。

400 :ぽち:03/04/01 02:06 ID:???
 マナは『人形』の前に立った。『人形』は視線を逸らすかのように小首を傾げている。
頭から掛かっている薄いレースで霞み、マナからはその表情が窺い知れない。
 マナはレースに手を伸ばした。

401 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/04/03 13:46 ID:???
キテタ〜〜〜〜〜!
キヅクノ オクレテゴメンネ…
ハラハラシテマツ ツヅキガスゴクタノシミ!
マナサン…ハヤマラナイデネ…

402 :ぽち:03/04/04 21:26 ID:???
>>401
アリガトー
コチラコソ フテイキカツコソーリデ ゴメンナサイ
イツモアソビニキテモラッテ ウレシイデス

それでは、お話です。

403 :ぽち:03/04/04 21:27 ID:???
 白く、軟らかな、レースが取り払われた瞬間。
 綾波がマナを蹴り上げた。
 蹴り飛ばされたマナは、幾つもの人形を倒しながら床に転がった。
 追い撃ちをかけるべく、綾波が跳びかかった。けど、マナには届かなかった。

404 :ぽち:03/04/04 21:28 ID:???
 転がりながら、はっきりと意識しないまま、マナは銃を向けていた。綾波が床を蹴る。
その刹那、マナは引き金を引いた。
 暗い静かな部屋に発砲音は響いた。
 対チルドレン用の特殊弾が綾波にたたきこまれた。綾波の身体は捻るように後方に
弾かれ、ぼろ布のようにソファーにたたきつけられた。
 テディベアが綾波と一緒に床に落ちた。

405 :ぽち:03/04/04 21:30 ID:???
 マナは身体を起こして、綾波を見た。床に頬をつけ、綾波は横たわっていた。
 のろのろとマナは立ち上がった。一瞬、息が詰まる。わき腹をさすりながら、引きず
るような足取りで綾波に近づいた。
 綾波の身体が微かに動いた。銃弾は急所を外していた。腹部を抑えて綾波は懸命
に堪えている。

406 :ぽち:03/04/04 21:31 ID:???
 すぐに処置を施せば十分に助かる。銃創の位置は、そう教えていた。
 マナの表情が曇った。命を取り留めたところで彼女を待っている運命を考えると、
マナができることは限られている。
 綾波の唇が苦しげに動く。誰の名を呼んだのかマナにもはっきりと判った。
 マナは唇を強く噛んだ。そして、もう一度引き金を引いた。

407 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/04/05 00:54 ID:???
アア…
アヤナミサン…ウワァァァァン
ナキナガラ ツヅキマッテマス…
ツライヨウ… カナリカンドウシマスタ アリガトウ!

エト…ハンカクカナ ッテ ヨミヅライデスカ?(ヤメタホウガイイカナ?)

408 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/04/07 22:58 ID:???
洩れだって保全しますとも

悲劇続出のヨカーン。辛いけど楽しみ。まんせー!

409 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/04/10 12:41 ID:???
保守。
ぽち氏戻ってきてー!
無理するなとは言わないけど、こんなイイ場面で切るなんて
春の劇場版並みの読者泣かせっすよ。。。

410 :409:03/04/10 15:28 ID:???
ギャアアアアアア
直前レスまちがい! まちがいだからな!!
参行目「無理するなとは言わないけど」じゃなくて
「無理にとは言わないけど」ですた。マジゴメソ
無理するなとは言わねぇって、鬼畜か俺は、、、ぽち氏すんません

411 :ぽち:03/04/12 04:13 ID:???
>>407
 とりあえず、日本語だったら何だってオケー!
遊びに来て頂いてるだけで嬉しいです。

>>408
 ありがとうございますとも。ガンバルカラネー!

>>409-410
 こちらこそ、すみません。春の劇場版並と
きくと、たいへん申し訳ない気持ちになります。

 それでは、お話に。

412 :ぽち:03/04/12 04:15 ID:???
 ぐったりと力が抜け、気持ちの悪い汗が滲む。マナの耳には、まだ発砲音が
残っていた。冷たくなり始めた綾波を見下ろしながらマナは立っている。
 低く、重い音が響いた。エレベーターが動き出した音だ。
 一瞬、ミサトかとマナは思った。こっちが片付いたら迎えにいくから。確かに
ミサトはそう言った。

413 :ぽち:03/04/12 04:15 ID:???
 ・・・違う。マナの中の何かがそう告げた。判断の材料などない。単なる直感だ。
ただ、マナは自分の勘働きを信じていた。それは悪いとき程よくあたる。
 マナは顔を上げ、静かにその場を去った。

414 :ぽち:03/04/12 04:16 ID:???
 隣の部屋にマナは移った。扉は開けたままにし、真正面、奥の位置まで移動
する。途中、別の扉をちらと見て、この部屋が袋小路になっていないのを確認
した。扉に向き直ると、マナは片膝をつき射撃姿勢をとった。
 マナの判断は迅速だ。ここまで、エレベーターの音を聞いてから僅かしか要し
ていない。

415 :ぽち:03/04/12 04:17 ID:???
 そして、大きな音を立ててエレベーターは停止する。扉が開く。
 最強のコンバット・モデル、サード・チルドレンが。
 碇シンジが降り立った。

416 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/04/12 11:12 ID:???
壁|∀゚) !!

ポチサン キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
マナサン キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
ソシテ シンジクン キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(   )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!

  …メガマワッタ…クラクラ

417 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/04/16 00:07 ID:???
hoshu


418 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/04/17 09:43 ID:???
age

419 :山崎渉:03/04/17 11:11 ID:???
(^^)

420 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/04/17 13:44 ID:???
ミ ・д・ミホッシュ

421 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/04/18 13:58 ID:???
保守。。。

一番下ですよー! ぽちさん。
感想をひとこと(w

422 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/04/18 22:31 ID:ySErXxwF
ピカソ
http://live5.2ch.net/test/read.cgi/livetx/1050671549/


423 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/04/19 10:06 ID:???
sage

424 :山崎渉:03/04/20 00:10 ID:???
   ∧_∧
  (  ^^ )< ぬるぽ(^^)

425 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/04/21 05:53 ID:???


426 :ぽち:03/04/22 20:01 ID:???
>>416-425
いっぱいありがとうございます。
一番下に潜って嬉しかったです。長く続けてると
いいことがあるんだなと思いました。

日にちがあいちゃったけどお話を続けますね。

427 :ぽち:03/04/22 20:02 ID:???
 凍てつくような装いだった。厚手の皮コートには、多量の返り血が撒き散らされ
ていた。赤く滲んだ雨雫が裾から滴り落ちる。押し殺しながらも、シンジは冷厳な
気配を発散していた。ただ、その眼はどこか醒めていた。
 なにか探る様に中空を睨み、シンジは歩き出した。口をきつく結び、開け放たれ
たままの玄関に進んでいく。

428 :ぽち:03/04/22 20:02 ID:???
 シンジは綾波を見つけた。絶命していた。冷たい床に倒れたままの、身動きもし
ない綾波を見つめながら、シンジは一声も発せずにいた。じっと立ち尽くした。深く
息を吸って、もう一度綾波を見た。
 酷い姿だ。美しかったドレスは、胸元から下が元が白であったことが判別でき
ないほど赤く染まっていた。紅い目は半ば開いたままで、諦めたような、寂しげな
死に顔だった。

429 :ぽち:03/04/22 20:03 ID:???
 シンジは震えを押さえるような様子で、しかししっかりとした足取りで綾波のほう
に歩いた。綾波のそばに跪くと、手を伸ばして頬にふれた。それから、ゆっくりと
綾波の瞼を閉じさせてあげた。
 シンジはきっと顔を上げ、奥に続く扉を鋭く睨みつけた。

430 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/04/25 15:33 ID:???
キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━(  )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!
ガンガレーポチサン!
ヒネリガ ナクテ ゴメンネ・・・
シカモ ミッカオクレ ダシ・・・ウワアアアン

431 :ぽち:03/04/27 17:20 ID:???
>>430
(・∀・)ノ アリガトー
アソビニキテイタダイテルダケデ
     ウレシイデス

それでは、お話を続けますね。

432 :ぽち:03/04/27 17:21 ID:???
 その扉からずっと後ろに下がった奥で、マナは銃を構え、狙いをつけていた。
先ほどからしゃがんだままの変わらぬ姿勢で。立てた膝に左肘を預けて安定させ、
両手で銃を握り、片目をつむって、マナは狙いをつけていた。扉の幅に切り取られ
た、薄明かりにうかんだ部屋の光景が、今、マナの前にある。
 黒い人影が見えた。
 即座に引き金をひく。

433 :ぽち:03/04/27 17:22 ID:???
 次の瞬間、マナの背中にぞっとするような戦慄がはしった。銃弾が銃口から飛び
出す前に、黒い影はくるりと飛び込む感じで視界から消えたのだ。ネコ科の猛獣を
思わせる、柔らかく、敏捷な身のこなしだ。
 銃弾は真っ直ぐジュークボックスにぶち当たって、激しい火花を飛ばした。

434 :ぽち:03/04/27 17:23 ID:???
 マナは、ほぞをかんだ。
 これほど流麗な動作をマナは知らない。覚えているどのチルドレンとも違っていた。
マナはサード・チルドレンと相対したことはなかった。ただ、ファースト・チルドレンや
セカンド・チルドレンの性能から、おおよその見当はつくと思っていた。そう判断した
上での射撃だった。瞬時に反応し身をかわしたサードチルドレンは、マナの予想を
はるかに超える戦闘能力を有していた。

435 :ぽち:03/04/27 17:24 ID:???
 マナはすぐに立ち上がり、シンジから死角に隠れるように動いた。初弾を外した時
から、マナは言いようもない緊張感をあじわっていた。
「無防備の相手を撃つんだね」
 向こうの部屋から、シンジの尖り声が響いた。

436 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/04/29 09:30 ID:???
応援sage

437 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/04/29 11:21 ID:???
(((( ;゚Д゚))) ハラハラドキドキ
キンパクノ レンゾク…ポチサン スゴイデス
テニアセニギリツツ マンセ〜!

438 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/05/01 10:50 ID:???
このスレ、当分目が離せないな‥
ということで僭越ながら当方も保守させてもらいやす。

439 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/05/06 01:38 ID:???
hoshu


440 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/05/07 14:03 ID:???
なんかそろそろスレ総数が600…
圧縮来るかもしれないので、保っ守します

441 :ぽち:03/05/07 20:36 ID:???
>>436-440
いっぱい気遣ってもらって、ありがとうございます。
次は、なるたけ早く来ますね。
マトリエルにめげずに、がんばります。

それでは、お話を

442 :ぽち:03/05/07 20:37 ID:???
 薄暗がりの中で壁に背を任せ、マナは扉の向こうに神経を集中させた。
「君は腕がいいと思ってたのに。・・・腕利きなんでしょ?」一呼吸おいた後、低く、押さ
えたシンジの声がした。「おいで・・・霧島さん、鍛えた腕前を見せてよ」
 その言葉を最後に、静寂は戻った。だが、前にもまして強烈な気配が押し寄せてくる。
それは、明らかに殺気だった。

443 :ぽち:03/05/07 20:38 ID:???
 マナは進退どちらかの判断を強いられた。見のこなしを見ただけの印象だが、彼は
手強い。おそらく、これまで戦ったどのチルドレンより、段違いに強い。
(打って出る?出方を伺う?距離をとる?)
 マナはちらと後ろの扉を見た。

444 :ぽち:03/05/07 20:40 ID:???
 視線を戻した瞬間、静寂が破られた。
 マナには、すぐ側で何か破裂したように見えた。破片と粉塵がマナを襲う。埃から目を
覆おうとしたが、手が動かなかった。手首に熱い衝撃がある。目を落とした。右手首が
つかまれていた。
 壁に、二十センチほどの穴が開いている。そこから突き出たシンジの手が、マナの
右手を捕らえていた。っと、思う間もなく、強く引っ張られた。

445 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/05/09 11:57 ID:???
コソーリ マンセー
(ゴメンネ、スゴクイイトコロ ナノニ…
  ワリコミナノデ コレダケ… ツヅキ ドキドキシナガラマッテマス
  ガンガッテ! )

446 :ぽち:03/05/13 18:03 ID:???
>>445
コソーリ アリガトー
ナンカ、ヒソヒソオハナシシテルミタイ

それでは、お話を…

447 :ぽち:03/05/13 18:04 ID:???
 銃を握ったままのマナの右手を。
 抗う暇さえ与えず、シンジはマナの右手を一気に肩口まで引きずり込んだ。そのまま逆
に捻り上げ、マナの手から銃を奪った。左手でマナの手を押さえ、銃は左脇に挟んだ。
 それから、シンジはマナの右手を開きその小指を握ると
「分かってるはずだよね」
と、冷たく言った。

448 :ぽち:03/05/13 18:05 ID:???
「これがアスカのぶん」
 シンジが、ぐいと手を捻った。
 骨が折れる乾いた音がし、マナが悲鳴をあげた。
「これは綾波の・・・」
 静かな声でマナの薬指を折った。
 そして、シンジの目が、すっと細くなる。小指と薬指が変に曲がったマナの手に、もう一度
銃を握らせた。

449 :ぽち:03/05/13 18:06 ID:???
 奥歯をきつく噛み、マナは苦痛を堪えていた。その苦悶の表情が驚きに変わる。
「僕はここにいる。まっすぐ撃つといい」
 なんの感情も込められてないシンジの声がした。
 マナは、痛みのために動きをとめるようなことはしなかった。右手の戒めが解かれた瞬間、
次の動作に移っていたのである。
 右手を引き戻すと同時に銃を左に持ち替え、マナは即座に発砲した。

450 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/05/17 20:49 ID:???
応援してます。ガンガレー

451 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/05/20 16:22 ID:???
コソーリ キター!(チイサイコエデ)
イイバメンナノデ ホシュハヒカエメニシテオキマスネ
デモ エヴァイタニクルタビニ ココヲミニキテマス…ツヅキガキニナッテ シカタガナクテ
ガンガッテクダサイネ、ポチサン

452 :ぽち:03/05/21 18:57 ID:???
>>450-451
 いつもありがとうございます。それと少し遅くなってごめんなさい。
も少し、がんばるからね。

ちょっと泣きそーな感じで、お話をつづけます(マトリエル大量発生中)。

453 :ぽち:03/05/21 18:57 ID:???
 銃声は短く二つ。
壁に撃ち込まれた銃弾が新たな穴を開けた。最初に開いた場所の斜め上、およそ
人の頭ほどの高さに。
 その穴の向こうで影が動く。
「はずしたね」シンジが言った。「じゃあ次は僕の番だ。少しだけ時間をあげようか。十、
数えたらそっちに行くよ。・・・ひとつ、・・・ふたつ、・・・」
 マナは弾けるように床を蹴った。いったん距離をとるべく走り出す。

454 :ぽち:03/05/21 18:58 ID:???
「・・・みっつ、・・・よっつ、・・・」
 離れていくマナの足音を聞いても、シンジはその場に立ったままだった。右頬は浅く
切れ、右の耳が割れていた。静かに続くカウントに合わせて、鮮血が床に落ちる。
「・・・いつつ、・・・むっつ、・・・」
 シンジはじっと綾波を見ている。
「・・・な・な・・つ・・」
 その声が震えた。のろのろとシンジが動く。
「・・やっ・・つ」 
 綾波の傍に、シンジは崩れるように座りこんだ。

455 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/05/21 20:51 ID:???
「2chは5,6人以上逮捕された犯罪者が居るので
2chは全員、犯罪者だと思っていいと思います。
私の友達と私が被害を受けたのは本当の事実なので。」
(HPより抜粋)

http://members.tripod.co.jp/nichkirai/index.htm
この2ちゃんねるを罵倒しているサイトである
2003年5月21日午前0時を以て
攻撃開始。
他のスレッド・板にコピペしてくれ。

これは我々2chねらーに対する挑戦であり
善良な2chねらーを巻き込ませようとしている悪の芽を摘むことを決定した
間引きをすることにより、2chの秩序を保つのだ

456 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/05/21 20:59 ID:???
>>455
(゚∀゚) 宣戦布告!?

457 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/05/21 21:31 ID:???
>>455
ピンポイント爆撃!

458 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/05/24 10:54 ID:???
>>456-457
コピペにマジレスカコワルイ

しかし、この>>455もカコワルイ企画だな。
そのサイトはアホなのは確実だが、そこを躍起になって荒らす奴はそれ以上のアホ。
ヲチの基本は荒らさず触らず書き込まず、でまったりネチネチと、なのに。

459 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/05/27 11:32 ID:???
時間が経ったので保守します。
ぽちさん、変な書き込み↑気にしないでがんがってください…

460 :山崎渉:03/05/28 13:23 ID:???
     ∧_∧
ピュ.ー (  ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎                      山崎渉

461 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/05/28 13:40 ID:???
スクリプトキター!
…ノデ ハンパナタイミングダケド ホゼンシマス

ワガヤニモ マトリエル ガ タイリョウシュウライヲカイシシマスタ…(ナンカカゼニノッテヤッテクルミタイデス)
  …タスケテー

462 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/05/28 14:11 ID:???
使徒の蹂躙があったようなので念のため保守。

463 :ぽち:03/05/31 19:05 ID:???
いっぱいいっぱいありがとうございます。

とりあえず、お話を…

464 :ぽち:03/05/31 19:06 ID:???
 腕を伸ばし、シンジはドレス触れた。滑らかな手触りと刺繍には覚えがあった。
泥の中に埋もれていくような生活だった。だからこそ、純白のドレスに彼女は憧れた。
夕暮れに、ショーウインドウを見上げている姿。途中、何度も何度も袋の中を覗き込
みながら、だいじそうに胸に抱えて帰る姿。ベットの上に広げては、何時までも眺め
ている姿。嬉しそうな綾波の記憶が、次々に打ち寄せてくる。最後に、たった一人
きりでドレスを纏った綾波の気持ちを思うと、なんともやりきれない。

465 :ぽち:03/05/31 19:07 ID:???
 どうしてと、シンジは思った。歯を食いしばって人を殺め、倒れた親友を置き去りにし、
あれだけの思いをしてきたのに、どうして、と。
 シンジは唇を噛み、やがて絞りだすように
「・・あ・や・・な・み・・・」
と、漏らした。

466 :ぽち:03/05/31 19:10 ID:???
 シンジは綾波の頬をなぞる。シンジの指の跡が、白い肌に赤いすじとなって残った。
シンジは自分の手を見た。綾波の血で濡れていた。ぎゅっと握り締める。
 シンジの顔付きが完全に変わった。口惜しさが極まると、人は鬼になると言う。愛す
る者を理不尽に奪われたシンジの表情は、人の心の奥底に眠る修羅そのものだった。
 シンジの口から、言葉にならない怨嗟の叫びが漏れる。
 廃墟に、紫鬼の咆哮が響いた。

467 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/05/31 21:15 ID:???
キテタ! キテタ〜〜〜〜!!
オツカレサマデス ポチサン
…サイゴマデ ミテマス
タイヘンダロウケド ガンガッテクダサイネ

468 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/06/04 20:50 ID:???
|<……

|∀・)<ホシュ!

|彡サッ

469 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/06/08 13:39 ID:???
hoshu

470 :ぽち:03/06/13 18:52 ID:???
>>467-469
|∀・)ノ イツモ アリガトー

それでは、お話に…


471 :ぽち:03/06/13 18:54 ID:???
 マナは全力で駆けた。
 いくつか部屋を過ぎ、家具の陰になる扉を見つけて、そこに飛び込んだ。小さな浴
室に身を潜めても、マナは緊張を解くことはなかった。方膝を突き、壁に身を寄せて
扉の外を窺った。追跡者の気配はない。
 銃のラッチを押し、マナはシリンダーをスイングアウトさせた。撃ちガラ薬莢がカラカ
ラと床に落ちる。手早く炸薬弾を差し込み、シリンダーを戻した。ハンマーを起こし、
すっと顔を上げる。注意深く聞き耳を立てるが、微かな雨音の外は何も聞こえない。

472 :ぽち:03/06/13 18:57 ID:???
 マナは銃を置き、手早くハンカチを取り出した。その端を噛み左手でぴんと伸ばすと、
応急処置代わり、折れた小指と薬指にぐるぐると巻き付けた。かた結びにするとき、
マナは低く呻いた。きつく噛んだハンカチをはなし、限界まで堪えていたかのような
荒い息を吐く。それから、自分の右手を見て顔を顰めた。
 その一瞬、マナは忘れていたのかもしれない。シンジの最初の襲撃がどんなだった
かを。
 警戒が薄い背後の壁を蹴破り、シンジが現れた。 

473 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/06/16 18:14 ID:???
スレの総数が600行きそうなので、保守します。
ぽちさん、いつも楽しみにしています。がんがってくださいね。

474 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/06/17 20:42 ID:???
保守!

475 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/06/22 19:36 ID:???
オクレタケド ホシュー
ポチサン マッテルヨ!
オハナシノハジマリカラ モウ イチネンハンイジョウ タッテルンデスネ
ステキナオハナシヲ ズウットツヅケテクレテル ポチサンニ カンパイ!

476 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/06/24 06:49 ID:???
hoshu

このssを読んでから、あらためて「ブレードランナー」を
観たのですけど、綾波さんが「慰安婦」型チルドレンだとしたら
シンジクンが反乱(というには少し小さくて、でも切実な)を起こすのは、当然だと思いました。
人の業って悲しいものですね。

これは、僕からの個人的で利己的なお願いなのですが、
ぽちさん、この物語を、どんな結末になっても構いません、
お願いですから最後まで完結させてください。
時間はどれほどかかってもかまいません。

どうか、どうか、完結させてください。
オナガイシマス!!


477 :ぽち:03/06/26 01:39 ID:???
>>473-476
 いつもありがとうございます。それと、いつも
時間がかかっちゃてごめんなさい。こんなふう
だけど、完走だけはしたいと思っています。
あともうちょっとだけ、がんばりたいです。

それでは、お話に…

478 :ぽち:03/06/26 01:41 ID:???
 マナはすぐに銃を取り、立ち上がりながらくるっと振り向き、撃とうとした。
 シンジの動きは早い。ぶんっと水平に右手を振り、マナの左手をはらった。
 銃はマナの手から跳ね上がり、壁にぶつかって浴槽に落ちた。もちろん、マナは追っ
たりしない。振り払った右手を戻すその動きより速く、マナはシンジの懐に飛び込んだ。
全身のバネを使い、下から打ち上げるような左掌打を無防備な顎に打ちつける。間髪
いれず、捻るように左足を引き上げ、シンジの右わき腹に膝を叩き込む。

479 :ぽち:03/06/26 01:42 ID:???
 っが、次の瞬間、反射的にマナは後方に飛び退った。
 それは、眼だった。一瞬、視線を交わしたマナが思わずぞくりとするような、鋭いシン
ジの目線のせいだった。シンジは、なんら揺らぐことなく立ち、憑かれたようにマナを睨
み据えている。
 もう一歩距離をとり、マナは低く構えた。
 シンジは身じろぎもせず立ったまま、じっとマナを見ている。

480 :ぽち:03/06/26 01:44 ID:???
 マナは左手を伸ばし、剥き出しの配管を握った。腐食し、ぐらつく連結部を蹴り、力任
せにむしりとる。マナの動作が終わるのを待つかのように、シンジは動かない。じっと
見ている。
 長さ50センチほどの水道管だ。しっかり握ると、マナは一息に踏み込んだ。まっすぐ、
シンジの方向。渾身の力を込めて思いっきり振り下ろす。
 投擲競技のアスリートの様な美しいフォームだった。踏み込んだ勢いを乗せるように
身体を捻り、肩、肘、そして手首へと力を加速させている。鈍い手ごたえもあった。並の
人間相手なら、確実に頭蓋を砕き、即死に至らしめる致命打撃だ。

481 :ぽち:03/06/26 01:45 ID:???
 だが、シンジはわずかに頭を下げただけ。しっかりと立っている。
 シンジは顔を上げ、笑って言った。
「いいね、今のは効いたよ」

482 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/06/29 04:55 ID:???
悲しみが極まると、歓喜に似た感覚に変わりますね。
ぽちさん、続き楽しみにしています。
無理はなさらず、しかしながら頑張って下さい。

483 :*******************************************************************************************************************************************************************************************************************************************************名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/07/10 10:32 ID:???
みねえええええええええええ!!!!!

484 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/07/12 08:16 ID:???
保守

485 :山崎 渉:03/07/12 08:23 ID:???
ドラゴンボール完全版 1〜16巻 絶賛発売中!!
ドラゴンボールZ フジ(関東)で毎週月曜16:30〜放送中!!
                           ┏━━━━━━━━━━━━━━┓
―――――――――――――――.┃  ドラゴンボール@2ch掲示板  ┃
これからも僕とドラゴンボール板を  ┃.  http://pc2.2ch.net/db/    ┃
応援して下さいね(^^).           ┣━━━━━━━━━━━━━━┫
────────┐ r───── .┃;;;;:: ::: ::::...  .: . . _.∩_  .:;;;:; ┃
 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   ∨         ┃::::::...         ヽヘ;;. 人丿ス    ::┃
 | ぬるぽ(^^)                 ┃;;;;;;;;.   从    θ斤:エh u    .:┃
 \                        ┃:::.  __ 《Y》_   ∪レ..... 弋|   :::┃
    ̄ ̄∨ ̄ ̄∧_∧   。..    ┃...  .uヘ人iイ  .  (. .」_ ノ   ....:┃
    ∧_∧  (  ^^ ) / ..    ┃..     (∨ヘ      |....|: .)   .:::::┃
 ̄\(  ^^ ) (つ  つ / ̄ ̄  ┃....    .|;|レ'      .(_;);;.| -〜、 .┃
|\  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /| ̄   ┃. ::;〜⌒^^⌒⌒´⌒` ̄ ̄ ....:: , ⌒~┃
|::::.| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| .|    ┣━━━━━━━━━━━━━━┫
|::::.| . 山崎渉ニュース (^^) | .|_  ┃..と〜けたこおりのな〜かに〜♪ ┃
\.|__________|/  ......┗━━━━━━━━━━━━━━┛

486 :山崎 渉:03/07/15 11:38 ID:???

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄

487 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/07/15 13:01 ID:???
hoshusage

134 KB
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

★スマホ版★ 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50

read.cgi ver 05.04.00 2017/10/04 Walang Kapalit ★
FOX ★ DSO(Dynamic Shared Object)