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目が覚めたら横に初号機が寝てたスレ

1 :とっちゃん:02/11/10 21:00 ID:lYIPQNUC
助けて〜横で暴走してる〜(泣


2 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/10 21:03 ID:???
>>2
ユイさんと考えれば同という事はない

3 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/10 21:03 ID:???
2geeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeet

4 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/10 21:03 ID:???
>>2
まちがった>>1

5 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/10 21:03 ID:???
ガ━━ΣΣ(゚Д゚;)━━ン

6 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/10 21:32 ID:???
>>1
> 助けて〜横で暴走してる〜(泣

> 目が覚めたら横に初号機が寝てたスレ

寝てるのか暴走してるのかはっきりして下さい。
それとも寝ながら暴走?


要するに寝相が悪いのか??

7 :死期:02/11/10 21:42 ID:FK80Lz96
キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!


8 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/10 21:53 ID:???
>>1
まずいって、マジで。
早く逃げて〜!

9 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/10 21:55 ID:???
つーかとっちゃんって誰よ

10 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/10 22:39 ID:???
黒柳徹子だろう

11 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/11 03:00 ID:???
それはトットちゃんだろ!

12 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/11 05:46 ID:???
寝床で暴走する初号機ハァハァ

13 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/11 13:38 ID:???
初号機、活動限界です!

14 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/11 16:42 ID:???
>>6に惚れた。

15 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/23 01:27 ID:???
ここ、誰かいますか…?
いなけりゃ借りていいですか…?

16 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/24 13:32 ID:???
一日半経過…大丈夫みたいですね。
では、しばらくお借りします。

17 :ひとりあそび・1:02/11/25 02:04 ID:???
 「もう、いいのね」

頭が海面を抜けた。
波が揺れ、全身が大きく揺さぶられる。
途端にめまいがして、吐き気がこみ上げた。LCLを吐く。
体温と同じ暖かさの塊が抜け、肺に冷たい空気がどっと流れ込んできた。
咳き込む。何とか海面に頭を出そうともがく。
沈んでも溺れないと思えば、泳ぐのはそう難しいことではないとわかった。
でも岸はどこにも見えなかった。
しばらくは適当に見当をつけて泳いでみたが、やがて疲れきってしまった。
だるくなった身体から力を抜いて、仰向けに海面に浮かんだ。
星が見えた。
怖いくらいの星が空いっぱいに光っている。
前にも何回か、こんな人工の光に邪魔されない星を見たことがあった。
どちらもエヴァに乗っている時だった。隣には他のヒトもいた。
涙が、出た。
まだ泣けたのかと思う。何だか嬉しかった。これなら、誰かともう一度会えても
大丈夫だ。きっと、今度は怖がったりしない。大丈夫…
と、頭が何かにぶつかった。
びっくりして顔を上げると、巨大な像が海の中に立っていた。あの白いエヴァだ。
恐る恐る上を見たが、首の辺りは暗くてはっきり見えなかった。
まだ怖いのか、とおかしくなった。身体はガクガク震えていたけど。
海中に突っ立っている脚の向こうに、遠く浜辺が見えた。
彼は少しだけ躊躇してから、そっちに向かって泳ぎだした。

18 :ひとりあそび・2:02/11/25 02:41 ID:???
「…あれ」
目が覚めると固い地面の上に横たわっていた。
手で地面をさぐる。さらさらした手触り。爪の間に何か入り込んできた。
片手を上げると、指の隙間から白い砂がぱらぱらこぼれ落ちてきた。
砂浜に寝ているらしい。
いつの間にかさっき見えた浜辺にたどりついて、そこで力つきて眠ってしまったようだった。
空は相変わらず降るような星空だった。あれから、多分そんなに時間は経っていないのだろう。
身体がまだ疲れきっていて、起きあがる気はしなかったが、とりあえず手や足を動かしてみる。
その瞬間、全身を震えが走った。
さっき持ち上げたのと反対の手に、誰かの手を握っている。あまりにも手の中にしっくりと馴染んで
いたので、改めて手を動かすまで気がつかなかったのだ。その手は力なくこっちに握られていた。
彼はしばらく真上を見たまま固まっていた。
誰なのだろう。
頭の中をいろんな顔がよぎる。どれも彼を救い、そして脅かしてきた顔だ。その中の誰が横にいても、
正直怖くてたまらなかった。さっきはあんなに安らかな気持ちで、他人を受け入れられると思ったのに。
もしあの子だったら。あの人だったら。不安ばかり募る。
どう声をかければいいんだろう。それに、向こうが受け入れてくれなかったら。
また、嫌われたら。
いらないって、言われたら。
波の音が静かに打ち寄せ、見えない海の中へ戻っていく。その音すら強迫するように聞こえる。
早く決めろ、どうするんだ、また逃げるのか。手を離すのか。
…違う。
首を振った。拒絶されるかもしれない、でも何もしないよりはいい。
彼はさんざん迷った挙げ句、思い切って手の持ち主を、見た。
息が止まった。
「え…」
間抜けな声が出た。
そこには人間とほぼ同じくらいの大きさのエヴァ初号機が、彼と同じように仰向けに寝ていた。
思わずがばっと起きあがり、彼は絶叫していた。
「なんなんだよコレ〜〜!!」

19 :ひとりあそび・3:02/11/25 13:34 ID:???
彼は頭を抱えていた。
そろそろ夜が明けるが、初号機は死んだように横たわったままだ。
エヴァはどこでも生きていけるらしいから死んではいないのだろうけど、
さすがにぴくりとも動かずにのびているエヴァは不気味だった。
ましてや、彼はいつもコレに乗る側で、改めてコレを外側からじっくり見るのは
ほとんど初めてなのだ。なんだか変な感じだった。
…いや、違う。
そうじゃなくて、今問題なのは、どうしてエヴァがこんなところに、
こんな非常識な形で寝てるのかだ。なんでよりによってエヴァがいるんだ?
「僕にどうしろって言うんだよ」
声に出してみる。
静寂。
答えを期待していた訳ではなかったけど、なんだか虚しくなった。
彼はごろんと寝転がった。もしここにいるのがアスカだったら、それとも
綾波だったら。きっと最初はつらいし大変だろうけど、ここまで
馬鹿馬鹿しい事態にはならない筈だ。誰かがいるだけ、マシだと思う。
人の代わりにエヴァがいる。
…これって、ひとりぼっちっていうことなのだろうか?

20 :ひとりあそび・4:02/11/25 13:38 ID:???
彼は起き直って横たわる初号機を見た。
エヴァは寂しいとか、悲しいとか、感じるのだろうか? そもそも何か考えるの
だろうか? 話し相手をほしがったり、誰かに声をかけてもらいたがったり
するのだろうか?
彼はしばらく動かないエヴァを見ていたが、やがて諦めて、ちょっと笑った。
わかりっこないのだ。
わかるのは、エヴァではなく自分がそういう相手を求めていることだけだった。
話し相手がほしくて、声をかけてほしくて、寂しさを紛らわしてほしいのは、
彼自身の方なのだ。
それに気がつくと急におかしくなった。
「…ねぇ、何か言ってよ。起きて、動いてみてよ。僕は君のパイロットだったんだよ」
笑いながら話しかけてみた。ちょっと前まで、エヴァが動かないということは
死の危険を意味した。怖くて、めちゃくちゃ焦って、頭が真っ白になる事態だった。
それを今は平気で見ていられることがとても滑稽だった。
「今もシンクロってできるのかな。僕の命令に従うのかな」
ふふっと笑いがこぼれた。なんだか何もかも馬鹿馬鹿しくなってきた。もう何が
起きても驚く気がしない。ついでだ、という気持ちで、いつものように
やってみることにした。操縦桿もLCLもないけど。
身体をリラックスさせ、気持ちを落ち着け、頭を半分空っぽにして言う。
「エヴァ初号機、起動!」
何も起きなかった。
彼はちょっとだけ息をつめ、それから海の方を向いて、一人で大笑いした。
笑っていないと、あっという間におかしくなりそうだった。
沖合から朝日が昇る。その光が目を射て、一瞬目をつぶった。
そのときだった。

21 :ひとりあそび・5:02/11/25 13:49 ID:???
なんだか厭な気配がした。
動物が聞こえないくらい低い声で唸っているような、攻撃的な空気が
首筋を撫でた。それから今度は本当に勢いよく空気の流れが起こった。
彼は振り返り、目を瞠った。
目の前に初号機が立っていた。
まぶしい朝日を背に、エヴァは立っているというより、むしろ聳えていた。
ほぼ真下から見上げているのもあるのだろう、ものすごく大きく見えた。影になった
顔の中で目が光っている。
「あ…」
初めて使徒と戦わせられた時のように身体がすくんだ。
と、初号機は少し前屈みになって、彼の前に手を差し伸べた。
「え…? な、何…?」
彼は砂の上にへたりこんだまま訊いた。エヴァは答えず、促すように手を出してきた。
その顔は相変わらず凶悪で怖かったけど、なんだか自分でもそれに困っているようにも、
申し訳なさそうにも見えた。
彼はふっと笑った。
「わかったよ」
差し出された手を握る。途端に、ぐいっと身体が引き起こされた。ほとんど身体ごと
持ち上げられて、彼はよろけた。思わずエヴァの手にすがる。エヴァは支えてくれた。
「…ありがとう」
とっさに言葉が出た。なぜか不自然には聞こえなかった。
彼は手を離すと、服にくっついた砂を払いながらエヴァを見上げた。
初号機はかなり背が高かったが、少し背を丸めた姿勢のせいで、それほど
威圧感はなかった。長身の向こうから洩れてくる朝日がまぶしかった。

22 :ひとりあそび・6:02/11/25 13:50 ID:???
ふいに、初号機はいきなり彼に背を向け、足跡を残しながら砂浜を歩いていった。
波打ち際で立ち止まる。
次の瞬間、その背中からATフィールドに似た光の翼がばっと広がった。
「うわっ?!」
駆け寄ろうとして、彼は思わず立ち止まった。エヴァはそのままじっとしている。翼が
朝日を受けて強い光を放ち始める。
彼は少し下がったところから、茫然と初号機を見つめた。
一体何が起こってるんだ?
翼の光に目を細めながら、それでもしげしげと眺めていると、エヴァの上腕や
下膊部にある『EVA-01』のマーキングに一つずつ光がともり始めた。
彼はふと顔をしかめた。
あれは確か、エヴァの各パーツに動力が伝達された時のサインでもあったよな…?
ある予想が頭に浮かび、彼は脱力した。
でも、どう見ても、そうだ。
「…太陽光発電かよ…!」
力ない叫びが浜辺を渡り、初号機は素知らぬ顔で相変わらず”充電”を続けていた。

23 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/25 15:08 ID:???
たぶん続く。

…ありゃ、さっそく間違いハッケソ。
>>20の最後から4行目、「海の方を向いて〜」だと
それ以降の文の繋がりが全部おかしくなる。初号機が海側にいるから。
ということで、訂正
  >>20最後から4行目「海の方を向いて」→「そっぽを向いて」

24 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/26 01:29 ID:???
ラブラブ初号機シンジの予感

25 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/26 10:04 ID:???

もう見つかってるよ…
読んでくれてサンクス。
ageないでくださいね。できるだけ。

26 :ひとりあそび・7:02/11/26 15:04 ID:???
まるで光合成のような”充電”が終わるまで、しばらくかかった。
その間、彼は砂の上に座り込んでただ眺めていた。
エヴァを放ってどこかに立ち去ることもできるが、そうしなかったのは多分、
人恋しいからだ。
他人がいると不安になる。いなくなってしまえばいいとさえ思うこともある。
だけど誰もいないとなると、逆に他人の存在を求めたくなる。無性に誰かに
傍にいてほしくなるのだ。
ただ、その間に人が抱く他者の像は、膨れあがった期待が作る幻想、単なる
勝手な思いこみに過ぎない。実際に誰かと会えばそれはあっという間に崩れ去り、
失望をもたらすのは目に見えている。
彼は視線を落とし、片手で砂をいじりながら自分を分析する。
エヴァはヒトではないけど、ヒトの形をしている。
ヒトに見えるけど、決してヒトではない。
だから、安心して”優しい他人”の幻想を押しつけることができる。
いつその夢が裏切られても「これは本当はヒトではないから」と逃げることが
できる。今、エヴァの傍にいて、そこが居心地がいいと思うのはそのせいだ。
結局自分は卑怯で臆病なままなんだと、胸が痛んだ。
目の前の砂地に影が落ちた。
顔を上げると、初号機が光の翼を引っ込めて、また彼の前に立っていた。彼は
立ち上がって砂をはたいた。さらさらした、ほとんど抵抗もなく滑り落ちる
細かい砂だった。
よく見るとエヴァの背中から一枚だけ光の羽根が出ている。幅があまりなく、
長く空中に伸びているそれは、翼というより尻尾のようだった。日のある間は
これで直接動力を得るのだろうか?
エヴァは彼が何かするのを待っているかのように微動だにしない。
でも彼自身、何かするとか、どこに行くという当てもないのだ。頼られても困る。
それともこれは、お前が考えろ、ということなのだろうか。
「…これから、どうしようか」
独り言のように呟いてみた途端、派手な音をたてて腹の虫が鳴いた。
顔面がかあっと熱くなる。
エヴァはちょっとだけ首を傾けた。やれやれと笑っているように、見えた。

27 :ひとりあそび・8:02/11/26 15:06 ID:???
それからしばらく、初号機と一緒に食べられそうな物を捜すのに専念した。
砂浜には何も生えていないし、海には魚も貝もいない。いたとしても、
どうやって食べたらいいかわからなかっただろうけど。
とにかく、文字通りの死活問題だ。
砂浜を歩き回りながら、ふと必死になっている自分に気づいて、なんとなく
悲しくなった。いろいろ悩んでも、世界を壊すほどのとんでもないことを
やらかしても、やっぱりヒトだって生き物なのだ。権力でもなく、武器でもなく、
情報でもなく、最後の最後には食べ物と寝るところが欲しくなる。
だって生きているんだ、生きるのに必死になるのが悪いなんて誰にも言えない。
小難しい文句を並べるのは、お腹がいっぱいになって、その日寝るところを
確保できてから、初めてできることだ。
が、いくら捜しても、当面の空腹をしのげそうなものさえ見つからなかった。
赤い海は真っ青な空の下で不気味にのたうっている。
沖の方は高くなった太陽の光を受けてきらきら光っている。もしかしたらあれは
魚が跳ねているのかもしれない、と目を凝らしてみたが、やっぱりただの
波のようだった。
諦めて、今度は内陸の方へ進んでみることにした。海が駄目ならあとは
こっちしかない。道はないけど、砂浜のずっと向こうに、ビルらしき影が幾つか
ぼんやりと霞んでいる。かなり遠そうだけど、あそこまで行けば何か見つかるだろう。
彼は時々振り返り、エヴァがついてきているのを確認しながら、ぼやけた都市に
向かって歩き出した。

28 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/26 15:29 ID:???
たぶん、続く。

冗長だな。

29 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/28 22:25 ID:???
のんびり気長に続けてくれぃ

30 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/28 23:11 ID:???
>>29
ありがとう…
ちと某スレが忙しくて書けなかった。日刊のつもりだったのに…
明日は休みなので続きを書いてみます。

31 :ひとりあそび・9:02/11/30 01:21 ID:???
都市は遠かった。
海からもう大分離れたというのに、いっこうに近づいてこない。
太陽は真上からぎらぎらと照りつけてくる。日陰に入って休みたくても、
木も草も生えていないので、歩き続けるしかなかった。
見渡す限り白い砂と石ころばかりだ。同じ風景が延々と続いている。
だんだん、一箇所をぐるぐる回っているだけなんじゃないかと思い始めた。でも、
振り返ると足跡はちゃんと一列に残っている。
背中はすぐに汗だくになり、頭がもうろうとしてきた。
脚に力が入らないなと思った瞬間、目の前に地面があった。もろに顔からぶつかった。
起き上がる気がせず、しばらくそのまま砂に突っ伏していた。
初号機が助けてくれるのを期待していたというのも、少しはある。が、いつまで待っても
エヴァは手を貸してくれなかった。
虚しくなって、肘をついて顔を上げた。すると周りだけ影になっていた。
見上げると、エヴァが日よけ代わりに傍に立って、強い日差しを遮ってくれていた。でも
手を差し伸べようとはしない。
彼は力なく笑った。
「…こんなところで死ぬな、ってこと? わかってるよ」
砂を払い、足元を確かめながら立ち上がる。エヴァは彼がちゃんと歩けるようになるまで、
じっと”日よけ”状態のまま待っていた。
彼とエヴァは再び都市を目指して歩き始めた。

32 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/11/30 01:26 ID:???
たぶん、続く。

鬱駄死悩。

33 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/01 01:43 ID:???
失礼ながら他スレのレスを一時退避。
持ち込んじゃいけないんだろうけど、難しい時期なので。
すいません。

34 :関係ない話・1:02/12/01 01:45 ID:???
ついさっき、アフリカ組が無事帰還した。
シンジ君、レイ、惣流博士、同行していた兵士たちの話を総合すると、
トライラックスA級大使は無事に保護することができ、たまたま同じ場所にいた
便利屋スズキは復活したエヴァ・フェットによって倒されたという。「E」計画は
結局大使にはさしたる手出しをしていなかったようだ。しかし、その代わりとでも
言うように、A級大使救出部隊の前に綾波教の主席司教が出現、セカンドチルドレンの
クローンをパイロットとした量産機を見せつけていったという。彼らを目撃した
人々は、皆一様にショックを隠せないまま、その様子を語ってくれた。
「つくづく吐き気がする奴らね。旧東京で量産機に乗っていたのも、同じクローン
 だったって言うし・・・アスカを何だと思ってるのよ!」
葛城さんは不快感をあらわにして吐き捨てた。碇博士は青ざめた顔の惣流博士の傍について
何か言い聞かせている。司令代行、赤木博士もきつい表情になっている。
シンジ君は・・・彼には誰も声をかけられなかった。綾波レイ、渚カヲルでさえ、
黙って彼を見守るばかりだった。
ともかく、これで再びネルフおよびトライデントはほぼ全軍が集結し、京都戦に向けて
改めて準備を整えることになった。碇司令はメインスタッフに謎の言葉を残し、
司令なりの手筈をつけるためにまた姿を消した。
あとは関東方面に向かったランドマスター隊を待つばかり、の筈だった。
事件が起こったのはその直後だった。

35 :関係ない話・2:02/12/01 01:46 ID:???
『青葉です! イタリアの『L』から緊急連絡、そちらに回します!』
突然通信してきた青葉の顔はほとんどひきつっていた。画面が切り替わり、音声だけになる。
『こちら『L』だ。シチリアで大抗争が起こっている。マフィアの各家の衝突のようだが、
 こんなに急に抗争が起こる筈はないんだ。何が起きているのか、こちらでもまだ
 正確なところは掴めない。あ・・・ちょっと待ってくれ』
いったん「L」の声が途切れ、発令所は緊迫した沈黙に覆われた。
通信機から遠いところで騒ぎが起きているらしく、ノイズに混じって複数の人声が届く。
『何ということだ・・・』
戻ってきた「L」の声は驚愕にかすれていた。
『たった今、シチリア島を占領していたマフィアが軒並み沈黙したそうだ・・・』
「なんだと・・・各ファミリーが一個師団に匹敵する兵力を保持していた、その彼らがか?!」
司令代行は茫然と呟いたが、すぐにスタッフに指示を飛ばした。
「現存する欧州各地の協力者に繋げ。可能な限り情報を把握せねば」
「りょ、了解!」
葛城さんもすぐさま立ち直り、青葉に呼びかけた。
「マフィア全滅が事実なら、そちらにも既に何かの形で影響が出ている筈よ!
 奴らがイタリア綾波教と繋がっていたのなら、そちらの支部にも情報が行ってるわ。
 すぐに調べて!」
『了解、最近支部に到着した、全ての暗号通信を洗います』
そのときだった。ふいに全ての画面に同じ映像が映った。

36 :関係ない話・3:02/12/01 01:48 ID:???
『や、ご無沙汰』
ネルフ、トライデントに属する者全員が聞き慣れた声。発令所は一瞬痛いほどの沈黙に
包まれ、ついで全員が同じ名前を呼んでいた。
「加持さん!」
途端に葛城さんが通信機を奪い取った。
「ちょっと、あんたこれどういうことよ?! まさか全部あんたの仕業とか言わないでしょうね?!」
画面内の加持さんは葛城さんの激昂を軽く受け流し、頭を掻いた。
『残念ながらその通りなんだな、これが。・・・詳しく説明すると長くなるが、MIBの奴らが
 ヒカリちゃんとEVA4号機改を接触させちまったんだ。まあ、奴らの目的を考えると、いずれ
 そうするしかなかったようだけどな。利用する筈だったマフィアと揉めて、充分な準備期間を
 置かずに再起動を急いだ彼らの結末が、これ』
加持さんは画面からちょっとずれて、背後を指さした。暗くてよく見えなかったが、床にいくつか
水たまりのようなものが広がっているのがわかった。そのうち一つには人型の機械の残骸が浸っている。
「それって、まさか・・・・」
『そ、4号機改の力を見誤ったってとこかな。大事をとってヒカリちゃんに催眠なり何なり安全策を
 講じていなかったのが、奴らの敗因だ。催眠によるシンクロ率の変化を恐れたんだろう』
「ってことはそれ・・・ヒカリちゃんがやったの?!」
『ああ。・・・そっちに鈴原君はいるか? 彼女が話したいそうだ』

37 :関係ない話・4:02/12/01 01:49 ID:???
赤木博士が俺の肩を叩いた。
「今なら彼はケイジよ、至急そっちに繋げて」
「は、はい!」
画面が二つに分割され、あっけにとられているプラグ内の鈴原君の顔が映った。
もう一つの画面に4号機の中にいる洞木さんの映像が映ると、その目がみるみる大きくなった。
『委員長・・・無事やったんか・・・ん?! なんで委員長がEVAに乗っとるんや?!』
洞木さんは恥ずかしそうな、困ったような顔で、しかし口調はしっかりと言った。
『鈴原・・・あのね、私も鈴原や碇君と同じだったんだって・・・鈴原にはショックだろうから
 皆黙ってたんだろうけど・・・』
鈴原君は混乱した顔で画面を凝視している。無理もない。
『それでね、鈴原・・・私は、大丈夫だから。これ、お母さんなの。鈴原は、妹さんだったんでしょ?』
 これに乗って、私にもできることがあるって、わかったの。いつまでも皆の後ろにいるだけの私じゃ
 いられないから。・・・それで、その』
『なんや、委員長?』
洞木さんは突然顔を染めた。
『あの、これから、そっちに帰るから。帰ったら、あの・・・』

38 :関係ない話・5:02/12/01 01:50 ID:???
鈴原君はきょとんとしていたが、やがて優しい顔になって笑った。
『ああ、早よ帰ってきぃや。待っとるさかい』
洞木さんは赤い顔のまま、うん、と頷いた。画面が加持さんに戻る。
『そういう訳だから。これから、司令にちょっとご支援頂いて、4号機ごとそっちに戻るよ。
 ケイジに空き、用意しといてくれよ。ああ、青葉君も回収してくから』
絶句していた葛城さんが、ようやく言葉を取り戻した。
「ったく、あんたはいっつもそうやって勝手ばっか・・・たまには、」
葛城さんはふいに、言いかけた台詞を呑み込んだ。加持さんはひどく真面目な表情で葛城さんを
見つめ、言った。
『いつも迷惑かけてすまないな、葛城。今度は遅れないよ。・・・じゃ、な』
回線が切れた。
葛城さんはびっくりしたような顔で黙っていた。赤木博士がその背中をつついた。
「全く、加持君も変わってないわね。・・・デートで遅れた時、いつもああして
 誤魔化されてたんでしょ」
「う、うっさいわね〜」
葛城さんは怒っているようだが、俺は見てしまった。彼女が一瞬懐かしげに微笑むのを。
『じゃ、俺も撤収するか。・・・お〜い、日向、何落ち込んでるんだ?』
画面内の青葉が脳天気な声をかけてきた。俺はこちらから回線を切ってやった。
・・・わかってて聞くな、畜生!! うう・・・

39 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/01 01:52 ID:???
以上、関係ないスレの話でした。
ここを読んでくださっていた方、すみません。
今後はこういうことはしません。
ごめんなさい。

40 :ひとりあそび・10:02/12/03 15:04 ID:???
海は完全に見えなくなった。
砂浜と同じ白いさらさらした砂と、それが固まったもろい岩でできた低い丘が
この世界の全てのようだった。
…忘れてはいけない、海とならんでもう一つ重要なモノがあった。
バラバラになって世界中に散らばっている、綾波の身体だ。
例えば今朝までいた海辺からは、真っ二つになって少しずれている、
綾波の頭が見えていた。同じ浜辺に立ってちょっと見る方向を変えると、
手首のところからちぎれた片手が視界に入ってくる。他の部分に関してはまだ知らない。
想像もつかないところから来て、想像もつかない役目を終えた、その真っ白い抜け殻は、
どんな説明も一見のもとに拒んでしまうすさまじい説得力とともに、ただ転がっていた。
転がっていた、というにはあまりにスケールが大きすぎたけど。
「…何も感じないんだ」
彼はよろよろと歩きながら呟いた。
「綾波も、母さんも、もうここにはいないんだ。アスカも戻ってこなかった。
 ここにはもう僕しか残ってないんだ」
ふと傍らを歩む初号機を見上げて、慌てて付け足す。
「…ごめん、君もいたね」
エヴァは答えない。
「けど、君を見た時に、何か吹っ切れたんだ。ここは僕の世界だって。
 あの赤い海の中とまるで変わらないんだよ。僕がいる、っていうのが
 はっきりわかるかわからないか、それだけの違いなんだ。
 どうして他人がいないのに自分の存在を実感できるのか、よくわからないけど」
と、エヴァが立ち止まった。彼は不審に思ったものの、暑さでぼんやりした頭では
何やってるんだろうくらいのことしか浮かばなかった。それで、構わず続けた。
「…虚構の始まり、現実の続き、夢の終わり。そういうことなんだと思う。
 父さんや母さん、綾波にカヲル君がせっかく夢から覚ましてくれたのに、 
 結局、僕にはまだ現実がよくわからなかった。そんなどうしようもないヤツには
 こんな虚構みたいな世界がお似合い…って…」
言いかけて彼は口をつぐんだ。
遙か向こうから、砂煙をあげてこっちに突進してくる使徒が見えた。
彼は卒然と悟った。この世界にも、”他人”は確かに存在しているらしい、のである。

41 :ひとりあそび・11:02/12/03 15:39 ID:???
「ううわあああああっ?!」
彼は恥も外聞もなく絶叫して、初号機の背後に回り、それから考え直して
初号機の腕を引っ張って走り始めた。冗談じゃない。
使徒、彼が始めてエヴァに乗って戦ったその使徒は、当時と同じサイズだったのだ。
どう考えても彼やこの大きさの初号機に太刀打ちできる相手だとは思えない。
エヴァは彼に引っ張られるまま従順についてくる。
「…っく、どうなってるんだよ!」
彼は息を切らしつつ全力で走った。
暑い、空腹で力が入らない、喉乾いた、汗で服が張り付いて気持ち悪い、そんな
くだらないことばかり頭の中に充満して、判断力を鈍らせる。こんな時なのに。
こんな時だからだよ、と言って、畑に水を撒いていた加持さんの姿が一瞬浮かんだ。
嘘だ。本当に洒落にならない事態に、あんな余裕のあることなんてできる訳はない。
少なくとも彼にはできそうになかった。必死で逃げるだけだ。
ふと、もしかしたら使徒はこっちを狙っているのではないかもしれない、という
考えが浮かんだ。思いつくのが遅すぎたかもしれないけど。が、確かめてみる価値はある。
彼はしばらく走り続けた後、腹を決めて背後を振り返った。
途端に足元の地面が吹っ飛んだ。砂が噴き上がる。彼はとっさに目を庇った。
使徒が光線を放ったらしい。
失敗。
「…殺される」
茫然と呟き、彼は再び走り出した。空腹も疲労も一緒に吹っ飛んでいた。
とにかく、逃げなければ死ぬ。
なんだか無性に腹が立っていた。静かに世界の終わりなり何なり迎えてやろうと、
人が覚悟した直後にこれだ。ゲームのバッドエンドみたいな世界で、訳のわからない
敵に殺される。しかもそれは彼が一度殺した敵なのだ。
不条理すぎる。
「…こんなエンディングがあってたまるかっ!」
やけになって叫んだ。
その瞬間、すぐ前に使徒の光の槍が命中し、目の前が真っ暗になった。

42 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/03 15:56 ID:???
なんとなくピンチで、たぶん続く。

43 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/03 20:13 ID:???
初号機に期待sage

44 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/05 00:01 ID:???
此処みたいに放置スレをコソーリ有効活用しているスレッドって他にもあるのかいな?

45 :ひとりあそび中の人:02/12/05 00:27 ID:???
…ヒトがいる。

>>43
来てくれてありがとうございます。
sageもありがとうです。
初号機期待ですか…今から少し書いてみますが…どうなのか。

>>44
こちら様も来てくれてありがとうございます。
地下スレを捜してみれば、結構あるようですよ。
キャラハンさんがいるスレもありますし(現在は稼働してないところもありますが)
ここのように話が進んでいるスレもあります。
一つ、このスレの近くに、質が高くて堅実なお話スレがありますよ。

46 :ひとりあそび・12:02/12/05 01:11 ID:???
誰かが身体をガクガク揺さぶっている。
縦、横、斜め、一秒ごとに方向もぶれの強さも変わる。何かに運ばれている
途中らしいが乱暴すぎる。まるで配達アルバイトの自転車に積まれた朝刊の気分だ。
おまけに腹が何かに固く押しつけられて、ろくに息もできなかった。
彼はとにかくまず呼吸しようと口を開きかけ、思いっきり舌を噛んだ。
「いっ…てぇ!」
思わず叫び、でもそれで、却って意識がはっきりした。さっきまでの状況が
フラッシュのように閃いて消える。
追われていたのだ。
とりあえず生きてはいる。一体どうなったのだろう。
彼は苦労して揺れる頭を上げ、そして後悔した。
状況はまるで改善されていなかった。いや、悪くなっていた。
初号機が彼を荷物のように肩の上に担いで走っている。頭が背中側に来ていたので、
後ろの様子がよく見えた。見えなければ良かったと、心底思った。
使徒が増えていた。
顔のすぐ傍から、エヴァの動力源らしい光の羽根が一本後方に伸びて揺れている。
その向こう、さっきの使徒が相変わらずものすごい砂煙を上げて突進してくる。
そして、更にその後ろから、彼が二番目に戦った、あのイカみたいな使徒が
猛烈な速度で飛んでくるところだった。既に戦闘態勢、赤っぽい身体の両脇には
あの光るムチがヒュルヒュルとなびいている。
「…絶望的じゃないか」
彼はエヴァの肩に掴まって上体を起こし、呟いた。
無理だ。
使徒一体でもあんなに手こずったのに。
今まで生きていたことが奇跡に思える。いや、まさに奇跡だ。
「ねぇ、どうするんだよ! ただ逃げたって意味がないよ、何か考えなきゃ!」
彼はパニックになりそうなのを何とかこらえながら、エヴァの肩を叩いた。
真っ白い地面がぐるぐる回る。砂地から飛んだ小石がぴしりと顔を打つ。
今度こそ死ぬのだ。このイカレた世界で。
彼は覚悟した。
しかし、エヴァは足を止めようとはしなかった。
まるで何か手があるとでも言いたいかのように。

47 :ひとりあそび・13:02/12/05 01:28 ID:???
初号機は彼を抱えたまま、巧みに丘の間を抜け、左右に進路を変え、
しかし明らかに特定の方向に向かっていた。
何かあるのだ。
彼は喚くのをやめて、苦労して姿勢を変えると、前方にじっと目を凝らした。
初めは相変わらず白い砂と石ころばかりだった。
そのうち、白い平原の彼方に一本、線が横切っているのが見えてきた。
妙にくっきりとしたその線はぐんぐん近づいてくる。
「なんだ?!」
彼は落っこちそうになりつつ身を乗り出し、そしてまた後悔した。
崖だ。
横線に見えたのは断崖の端っこのラインだった。崖の向こうもこっちも
真っ白なので、ぱっと見にはわからなかったのだ。
初号機は何の躊躇もなく崖っぷちに向かって突っ込んでいく。止めようにももう遅い。
「…うわあああああっ!」
彼は絶叫し、固く目をつぶった。
ふわりと重力の感覚が無くなった。

48 :ひとりあそび・14:02/12/05 01:56 ID:???
いつまで経っても、身体が地面に叩きつけられる衝撃は襲ってこなかった。
「…あれ?」
彼は恐る恐る瞼を開いて、そして目を見張った。
眼下一面に真っ白い峡谷が広がっていた。塔のような岩頭が幾つもそそり立ち、
ごく薄いグレーから、吸い込まれそうな黒までのあらゆるバリエーションを
持った影がそれらをいろどっている。
さっきと同じ白い砂でできている筈なのに、雪の彫刻のようにきれいだった。
「すごい…」
彼は息を呑み、ふと自分がどういう状況にいるのかに気がついて、再び身を乗り出した。
空にいた。
初号機は光の翼を広げ、彼を抱えてゆっくりと滑空していた。
「飛んでる…のか…」
ばたばたと服の端がなびいた。ふいに風が吹きつけ、髪が額に貼りつく。
白い岩群の上をエヴァの影が静かに滑ってゆく。光の翼を背にしているせいで、
それは光輪を背負っているように見えた。
が、のんびりフライトを楽しんでいる暇はなさそうだった。
いきなり後ろの崖が爆発した。粉々になった岩がなだれをうって崩れ落ちる。
その煙の中から使徒が飛び出す。人型の方は谷間に地響きとともに着地し、
イカはそのまま飛んで襲ってくる。
「やばいよ?!」
彼が叫ぶと、初号機は応えて光の羽根をまっすぐ真上に揃えた。浮力を失った身体が
急降下していく、いや、真っ逆さまに落ちていく。思わずエヴァの首に抱きついた。
地面に激突する寸前、ばっと翼が開いた。一瞬だけ浮く。
エヴァは慣れた動作で翼を数回動かし、無事に着地した。彼を降ろし、すぐに上方を窺う。
彼も慌てて上を振り仰いだ。
使徒二体は、急激な降下で彼とエヴァを見失ったらしく、その辺の岩をめちゃくちゃに
壊しまくっていた。でもあの大きさだ。見つからなくても巻き添えだけで充分マズい。
今のうちに何とかしないと、死ぬ。
焦って周りを見回した時、妙なものが目についた。

49 :ひとりあそび・15:02/12/05 02:22 ID:???
谷底は平原と同じく粗い砂地になっている。
その上を、きらきら光る青いものが一列になって移動していた。
しゃがみこんで目を凝らす。次の瞬間、彼は後ろに飛びすさった。
「…っ、また使徒か!」
手のひらに乗るくらいの青い正八面体。綾波と一緒に倒した、あの使徒だ。
それがいくつもいくつも、蟻の列のように並んで動いている。
いきなり撃たれた時の激痛とショックが胸に押し寄せた。その後綾波に駄々をこねた時の
後味の悪さも。そして、初めて作戦が成功して嬉しいと思った、その時の気持ちも。
彼はそろそろと戻って、手を近づけてみた。
手が青い使徒に触れるか触れないかの瞬間、バチッと静電気に似た衝撃が走った。
一瞬だったが、彼の目には見慣れた赤い光が見えていた。
「ATフィールド?! …こんなに小さいのに」
初号機はまだ気づいていないようだ。彼は腕を叩いてエヴァの注意を引いた。
途端にエヴァの目が光ったような気がした。
突然、エヴァは彼の手を掴んで走り出した。今度はやみくもに逃げるのではなく、
青い使徒の列に沿って、濃い影の落ちる谷間を抜けていく。
いい加減脚がだるくなって来た頃、ふいに視界が開けた。
湖だ。
赤くない、きれいな水が一面に広がっている。使徒の列はそこに続いていた。
忘れていた喉の渇きが一気に甦った。
「…水…やった、水だ!」
水辺に駆け寄ろうとした時、真後ろの岩が派手な音をたてて崩れた。
使徒に追いつかれたのだ。
とっさに振り向いたその瞬間、逆に前方の空気がふっと異様なくらいに静まった。
目をやる前に、ものすごい水しぶきが彼を襲った。
「うわっ?!」
エヴァが駆け寄って彼を庇う。その向こうで水柱とともに湖面が割れ、巨大な青い物体が
姿を見せ始めていた。

50 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/05 02:29 ID:???
限界。書きすぎました。
スカスカ。

それでも、たぶん、続く。

51 :ひとりあそび・16:02/12/05 14:46 ID:???
それは間違いなく、あの夜戦った使徒だった。
巨大な宝石のようなそれがゆっくりと波を分けて浮かび上がってくる。威容、と言ってよかった。
全身がすくむのを感じた。
一度は勝てたことが信じられない。間近で見る使徒は圧倒的だった。
と、彼は目を見開いた。
さっき彼とエヴァが道案内がわりにしてきたあの小さい使徒たちが、黒い人型使徒の
巨大な足から逃げまどっていた。しかし、大きさも移動速度も違い過ぎる。人型使徒が
一歩動くと、その足跡の中に踏みつぶされた青いかけらがいくつも見えた。イカ使徒の
振り回す光るムチに引っ掛かって投げ飛ばされ、岩に当たって砕けるものもいた。
身体の熱がすうっと引いた。
使徒に襲われて死んでいく人間に、見えた。
頭の中が真っ白になった。逃げろと本能が警告しているのに、動けなかった。
次の瞬間、エヴァが彼の身体をひっ抱え、一緒に湖に飛び込んだ。
水音。他人事のような。
湖は深かった。立ち昇る泡とともに、あっという間に水面が遠くなった。エヴァに抱えられたまま、
彼は銀箔を張りつめたような水面と、青い使徒の巨大な底部を見ていた。
突然水面が白熱した。それからもう一度。続いて、水の中にまで衝撃が伝わってきた。
でも嘘のように静かだった。
揺れる水面の向こう側でイカ使徒のムチが青い使徒に飛び、巨大なATフィールドに
弾かれるのが見えた。人型使徒の光の槍も同様に防がれた。続いてまた水の上は
光に包まれた。
ふいに水面が割れて、黒いものが水の中に突っ込んできた。人型使徒の腕だ。途中からちぎれている。
それを最後に、攻防は止まった。

52 :ひとりあそび・17:02/12/05 16:07 ID:???
水から上がると、人型とイカはどこかに消えていた。
水際に吹っ飛んだ腕だけが転がっている。
彼は飲んでしまった水に何度もむせながら、踏み荒らされた砂浜を踏んで歩いていった。
小さい青い使徒はかなりの数が死んでいた。白い砂の上はきらきら光る破片が
いくつもいくつも散らばっていた。
殺したのも殺されたのも使徒なのに、なぜか悔しくてたまらなかった。
振り返ると、エヴァは全身から水を滴らせながら、波打ち際でじっと待っている。
ひどく、安心した。
逃げて良かった。もしエヴァに命令できて、戦わせていたら、ここに転がっていたのは
使徒ではなくエヴァの死体だっただろう。そんなのはもう耐えられそうになかった。
「…相手は人間じゃないのに」
彼は呟いて笑った。人は拒絶しておいて、エヴァには依存する。
でも、全ては自分の心次第だと思った。相手が人だろうと、兵器だろうと、
死者だろうと、それは変わらない。自分の気持ちひとつで、
相手の価値も存在もいくらでも変化する。
他者との関わりは、結局自分勝手な思いこみ、
所詮、ATフィールドの内側で見る幻想でしかないのだから。
それなら自分の心が感じることを信じた方がいいのかもしれない。
少なくとも、今は。
立ち止まっていると、エヴァはゆっくりと歩み寄ってきた。
彼はエヴァが追いつくのを待って再び歩き出した。

53 :ひとりあそび・18:02/12/05 16:51 ID:???
使徒の腕からはどす黒い血が流れ出して、湖を濁らせていた。
その周りに生き残った小さい使徒たちが集まっている。
彼は興味をひかれるまま近づいて、腕の下を覗き込み、はっとした。
小さい青いものがいくつか腕の下でもがいている。
挟まれて出られないのだ。
他の使徒たちはその周りをうろうろしているが、どうしようもないようだった。
ふと気づくと、エヴァがこちらを見ていた。
彼はエヴァを見上げ、ぐっとうなずいた。
「…やろう」
光の加減で、一瞬エヴァの顔に何か表情が浮かんだ気がしたが、エヴァが彼の傍に
かがみこんだのでわからなくなった。
彼とエヴァは使徒の腕に両腕を当て、同時に思いっきり押した。
使徒の腕はやたら重たい上にじとっと湿っていて気持ち悪かったが、そんなことを
気にしている余裕はなかった。しばらく彼の荒い息づかいが谷間に響いた。
何度目かにやっと腕がぐらついた。すかさずエヴァが強烈な蹴りを見舞う。腕は
ごろりと転がって、その下から青い使徒たちが飛び出した。
集まっていた他の生き残りたちも合流してくるくる周りを飛び回っている。
彼は息を整えながら笑った。
小さい使徒の群れはひとしきりその辺を飛び回った後、一列になって
巨大な青い正八面体の方へ飛んでいった。いったん反射で見えなくなったかと思うと、
使徒の頂上辺りにまた現れた。輪になってゆっくり頂上を回っている。
溜息が出るくらいきれいな光景だった。
巨大な使徒はそのまま、湖の奥の方へ向かってゆっくりと移動を始めた。
彼とエヴァは長い間それを眺めていた。
「あれって、…親、だったのかな。小さいのの」
しばらくして彼はぽつりと言った。エヴァは指でつまめるくらいの大きさになった
使徒を見つめている。当然返事が返ってくる訳はなかったけど、気にならなかった。
この妙な世界を、見られるだけ見てやろうという気が、し始めていた。

54 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/05 16:56 ID:???
心底つまんね。

鬱駄死悩。

でも、続く、かもしれない。

55 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/10 23:05 ID:???
いつまでも期待sage

56 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/11 15:17 ID:???
風邪引いて一日ベッドでのたうってさんざん嘔吐して来てみたら、
sageておいてくれた方がいました。ありがたや〜。

>>55
来てくれてありがとうございます。
誰かが見てくれたと思うと涙が出てきます(危
本当に感謝です。

57 :ひとりあそび・19:02/12/11 16:06 ID:???
この世界での二度目の夜は、湖の傍で過ごした。
波打ち際を歩いて、どこからか打ち上げられた流木を集めて火を熾し、
初号機が獲ってきた魚を焼いて食べた。魚は白くて変な形をしていたけど、
そんなこと気にするには、あまりにも腹が減っていた。
エヴァはものすごく力があって、木をすり合わせて火をつけるのもあっという間に
こなしてしまった。だけどそれも日が沈むまでで、白い峡谷が影に覆われると、
エヴァはさっさと光の羽根を引っ込め、ごろんと横になってしまった。
本当に太陽光で動いているようだ。
彼は食べ終わった魚の骨を焚火に放り込み、エヴァの傍に寄った。
静かだった。
とりあえず空腹が満たされ、身体も暖まると、一度は忘れていたことが次々に
頭に浮かんでくる。考えないようにしていたことも。
ここは、一体どういう世界なんだろう。

58 :ひとりあそび・20:02/12/11 16:08 ID:???
昼間エヴァと歩いていた時に言った”虚構みたいな世界”というのは、
間違っていないと思う。
問題は、この馬鹿でかいセットを造ったのが誰かということだ。
赤い海に無人の風景。ひどくわかりやすい舞台設定。ご丁寧にエヴァと使徒までついている。
海の中で気がつくまでのことを考えると、意識してにしろ無意識にしろ、彼自身が
望んで造ったというのが、一番ありそうな答えだ。でも、それだけではない気がする。
彼を助けるエヴァがいて(本当は助けている訳じゃなくて、別の行動理念があるのかも
しれないけど)、敵がいて、中立のものもいて、危険はあるけど本当に危なくなると
ちゃんと彼は助かるようになっている。
都合が良すぎる。まるでゲームだ。
じゃあ、もしここで死んだらどうなるんだろう。あの青い小さい使徒は
間違いなく死んでいたから、この世界にも死はあるらしい。でも、
彼にとってはどうなんだろう。
まともに死ねるんだろうか。
それとも、またあの赤い海辺から”やり直す”んだろうか? ひょっとすると、永遠に。
彼はきつく膝を抱えた。
死ぬよりそっちの方がよっぽど怖かった。
母さんは永遠を選んだ。無限にある時間に押しつぶされそうになりながら
生き続けるなんて、でも彼にはできそうになかった。
弱まった焚火の光の届かない先、海のよりいくぶん穏やかな波が、
真っ暗な砂浜に打ち寄せている。
彼は顔を上げた。
暗闇の中から足音が聞こえる。
突然、くすぶっていた火が、ふっと消えた。

59 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/11 16:12 ID:???
たぶん、続く。

次回、死者登場その1となります。
誰かリクエスト出してくれたらそのキャラになるかも。
…ただしユイさんは、特殊なので無しで。

60 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/12 06:37 ID:???
本編で一度も名前を呼ばれなかった名無しのロンゲなんてどうよ?

61 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/12 15:35 ID:???
! 本当に来た…
ありがとうございます。
青葉さんのこと…っすよね? 念のため。

それにしても>59は調子乗りすぎでした。すみません。

申し訳ないですが、今日は時間がないので、続きは明日の今頃に。

62 :60:02/12/12 21:24 ID:???
左様、青葉シゲル氏であります
せめてFFで出番を作ってあげれば彼も成仏できるかと(w


63 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/12 22:14 ID:???
お魚は小ガギエルでしょうか?

青葉氏はEOEでも一人だけ補完描写が違ったからここで出てきても説得力がありそう

64 :ひとりあそび・21:02/12/13 15:56 ID:???
すとんと幕を落としたように、辺りは真っ暗になった。
彼は腰を浮かせ、横たわる初号機ににじり寄ってその腕を掴んだ。
足音はまだ聞こえている。
濡れた砂を踏む湿った音は少し遠くなり、安心しかけた瞬間、いきなりすぐ傍に現れた。
彼は身震いし、思わずきつく初号機の腕を握り締めた。
また使徒だったら、今度はもう逃げ切れない。相手にはこちらが見えているようだが、
こっちはさっきまで明るい火を見つめていたからまだ目が慣れない。おまけに頼みの
エヴァは動かないのだ。覚悟を決めるしかなさそうだった。
彼は黙って暗闇の向こうに目を凝らした。
消えた焚火からはかすかに白い煙が立ち昇り、その向こう側はよく見えない。
それでも、足音の主がそこで止まり、次いで腰を下ろす気配は伝わってきた。
ふう、と溜息が聞こえた。
彼は身を乗り出した。ヒトだ。声をかけようとした時、先に真っ黒い影が動いて、
聞き覚えのある声を発した。
「初号機の調子はどうだい」

65 :ひとりあそび・22:02/12/13 16:02 ID:???
彼は軽く息を吸い込んだ。
「青葉さん!」
一気に緊張が解けた。彼は立ち上がったが、相変わらず薄い煙の向こう側は見えなかった。
「青葉さん、青葉さんですよね?! 良かった、僕以外に生きてる人がいたんですね!
 ホントに良かった…あ、あの、何か明かり持ってませんか? 火が消えちゃって」
声は谷間の岩壁に反響して膨らみ、闇に吸い込まれた。
「ああ…悪いけど、俺も何も持ってないんだ。ライターくらいあれば良かったけど、どっかで
 落としちまったらしい」
戦闘の時にいつも後方からサポートしてくれていた声が言った。
胸がいっぱいになった。一人じゃなかった。他にもいたのだ。それも知っている人が。
「いいですよ、僕だって何もないし…ホント、エヴァがいたからいいけど、
 今まで生きてこられたのが自分でも不思議なくらいですよ」
あとからあとから言葉が溢れてくる。自分でもおかしいくらい、はしゃいでいるのがわかる。
でも、嬉しかった。
「はは、パイロットで良かったのかもな。使徒もいるようだし、大変だったろ」
「はい、でも何とか生きてます。…青葉さんも、よく無事で」
彼は砂地に座り直して、相手がいるとおぼしき方向を見つめた。まだ目が闇に慣れず、
いくら目をこすっても人の姿は見えてこない。もどかしかった。
「俺はいい位置にいたし、直接だったからな。ここに来るのもすぐだったのさ」
声だけが聞こえる。
彼は少し眉をひそめた。よくわからない。けれど問い直す前に、相手は続けた。

66 :ひとりあそび・23:02/12/13 16:04 ID:???
「まあ、それはまだいいか。…君とちゃんと話すのは、確かこれが初めてだったっけ?」
「え…あ、そういえばそうですね」
彼は慌てて返事をした。
確かにそうだ。日向さんや伊吹さんとは話をした覚えがあるのに、この人とは
まともに喋った記憶がない。なんでだろう。
彼は少し考えてから、ふと思い当たった。
「あの、ちょっと訊いていいですか」
「なんだい?」
「…前、のことなんですけど」
いったん口ごもり、彼は思い出そうとした。エヴァの中で初めて本気で反抗した時のことだ。
あの時は身体が熱くて、LCLの中なのに息苦しかった。頭の中は逆に耳鳴りがするくらい冷えていた。
その混乱した感覚の中で、彼は発令所を睨みつけていた。
「トウ…参号機の事件のあと、僕がエヴァから降りようとしなくて、騒ぎになった時のことです」
湖の方で水音がした。
魚が跳ねているのだろうか。それとも、さっきの青い使徒たちが戻ってきたのだろうか。
「その時、日向さんも伊吹さんも、怒った僕を説得しようとして呼びかけてくれた。でも、
 青葉さんは何も言わなかったですよね?」
続けながら、彼は納得していた。そうだ。思い返してみれば日向さんや伊吹さんとも大した話を
したことはない。ただ、あの時に強く呼びかけられたから、何となく距離が縮まったような
気がしていただけだ。
でもこの人にはそれがなかった。
「…どうしてですか?」
わずかに躊躇する気配がした。いや、考えているのか。沈黙が落ちる。
少しして、答えが返ってきた。
「どうしてかな…多分、意味がないと思ったからだろうな」

67 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/13 16:12 ID:???
すみません、半端ですが、今回はここまで…

青葉氏、難しい。
>>62さん、また来てくれてありがとうございます。
成仏、するでしょうか。青葉氏。
>>63さん、鋭いご指摘。そこまで考えていませんでした…何とかせねば、と、
言うはやすし、行うは…略。
魚は多分ガギエルです。気づかずに全部食べたシンジ君の運命やいかに。

難しい。なんでこんな展開になったのやら。
でも、たぶん、続きます。

68 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/16 00:40 ID:???
青葉氏が良い感じですなsage

69 :ひとりあそび中の人:02/12/16 21:00 ID:???
また随分と間が空いてしまった。
>>68さん、また来てくれて本当にありがとうございます。

が…
申し訳ないですが、今日も無理です…
でも明日は暇なので、続きが書けるかも、というか、書かないと
話が頭の中から逃げてしまう。

某スレの担当が現在重度のスランプ(おおげさ)中。
ということは、またこっちが進むかもしれない、と自分でプレッシャーをかけてみる。

70 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/17 18:54 ID:???
…すみません嘘つきました…
今日も何も書けそうにないです。

何とかしないと。

71 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/18 10:36 ID:???
まあ、そんなに自分を責めずにのんびりと書いておくれ

72 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/18 15:38 ID:???
>>71
ありがとうございます…すごく、嬉しいです。
頑張らないと。

また今日も無理そうです。少なくとも今は。夜に来られれば、とも思いますが、
…うう。
ごめんなさい。
平日の方が時間が取れるので、この週末までには、必ず。
…と言って守れるかどうか自分でも確証がおけないのが悲しい。

73 :ひとりあそび・24:02/12/24 16:19 ID:???
「…うん。意味がないと思ったから、何も言わなかったんだ。実際、なかったろ」
声は考えながら繰り返した。
なぜか、周りの空気がふっと温度を下げたような気がした。彼は両腕を抱え、膝を引き寄せた。
「…どういうことですか」
「だから、あの時の君に何を言っても何の意味もなかっただろうってことさ。
 君は完全に頭に血が昇っていた。碇司令以外の誰が何を言っても、聞こうと思ってなかっただろ。
 当時君の置かれていた状況を考えればそれも当然だ。だから無駄な呼びかけはせずに、
 俺は俺の仕事をした方が、あの場合より効率的に事態に対処できると思ったのさ。
 それだけのことだよ」
彼は絶句した。
「効率的に…って、そんな」
暗闇の中の声は穏やかで気負いがなくて、何でもない世間話でもしているような調子だった。
わざと無機的な言葉を選んでいる訳でもなく、偽悪的になっている訳でもなく、
本当に自然に出てきた言葉を喋っている感じだった。
この人は本気でそう思っている。
ミサトさんは、自分も泣きそうな声でトウジのことを教えてくれた。日向さんも伊吹さんも、
初号機を乗っ取った彼を怒らせて自分たちにも危険が及ぶのを覚悟で説得してくれた。
その同じ時に、この人はただ厄介な事態を解決しようとしか考えていなかったのか?
「そう、少しでも皆が助かる可能性があるうちに。
 もし君が初号機で本気で暴れていたら、本当に本部は壊滅していただろう。
 そうなったら大勢の人が死んでいた。それに本部施設がなくなったらエヴァの運用、
 ひいては以後の作戦内容にだって支障が出る」

74 :ひとりあそび・25:02/12/24 16:20 ID:???
かっとした。
彼は砂を蹴って立ち上がっていた。
「…そういうことを言ってるんじゃないでしょう!」
抑えても声が震えた。この人は一体何の話をしているんだ?
闇の中の人影は全く動じなかった。
「俺も感情論の話なんかしたくない。エヴァは対使徒用の兵器なんだ。一個人の専有物じゃない。
 君らパイロットが毎回あんな風に年齢相応の反抗をしていたらどうなる?
 そこに使徒が襲来したら全部終わりだ。
 あの頃、俺たちネルフには全人類の生死がかかってた。誇張じゃなく本当のことだ。
 君らはどうか知らないが、ネルフのスタッフは多かれ少なかれ、常にそのことを念頭においてた。
 だから俺は、あの時俺がなすべきだと思った行動をとった、或いは不要な行動をとらなかった、
 そういうことだよ。君に悪意があった訳じゃない。必要だと思えなかっただけさ」
声はただ淡々とそう言って、黙った。
握り締めた拳が震えた。
必要なことだからやった? 必要じゃないからやらなかった?
…それじゃまるで父さんじゃないか。
怒鳴りたい衝動を必死で抑えた。この人の言っていることは何も間違ってない。
間違ってないんだ。あの頃の自分は、何も本当にはわかってない子供だった。今はそれくらいわかる。
でも、違う。
そんな大人の都合のような言葉を聞きたかったんじゃないのに。
そんな、どんな気持ちからも遠い言葉を聞きたかったんじゃ、ないのに。
けれど何を言ってもすれ違いになるだけだろう。
通じない。
「…青葉さんて、冷たい人ですね」
彼は呟いた。

75 :ひとりあそび・26:02/12/24 16:21 ID:???
「そうだよ」
少しだけ沈んだ声が答えた。
「俺は人に優しくできなかった。表層的な感情は動いても、本当は誰が傷つこうが、結局は
 どうでも良かったんだと思う。…気分のいいことじゃないが、そういう人間だっている。
 俺はそれがわかっていて何もやろうとしなかった。その報いがあの結果さ」
途切れ途切れにたなびいていた煙が最後に揺らいで消え、その向こうの闇で立ち上がる気配がした。
ふいに圧倒的な不安が押し寄せた。
波の音が全身に覆い被さるように大きくなった。
「…結果って、何のですか」
彼は急き込むように訊ねた。何か言わないと、今にもどこかにいなくなってしまうような気がした。
「補完計画だよ。俺は他の本部周辺にいた人間と一緒に補完された。
 後でわかったことだけど、補完の瞬間、皆は一番会いたいと願っていた人を幻視していたらしい。
 神様か誰かの配慮なんだろうな。個人、いや個体生命でいられる最後の瞬間に、最も会いたかった他者を
 見せる、ってのは」
「何を…言ってるんですか」
「既に起こったことさ。君は初号機の中にいたから多少違うかもしれないが、君だって
 会いたかった人と会えたんだろう?」

76 :ひとりあそび・27:02/12/24 16:24 ID:???
「だから…それがどうして青葉さんの報いになるんですか?!」
彼は混乱する頭を押さえて、遂に声を荒げた。訳がわからなかった。
「補完される瞬間、俺の前には誰も現れなかったんだよ。俺は最後まで誰もことも考えてなかった。
 だから神様も俺には逃げ場を与えてくれなかった。俺は計画本来の姿を見せられながら補完された。
 気が狂うほどの恐怖と孤独の下でね」
彼は固く耳を塞いだ。
聞きたくない。
もう、わかっていた。今自分が話している相手が何なのか。
「…もういいです、いいですよ…なぜ僕にそんなこと話すんですか。今更、どうしようもないのに」
目を見開く巨大な白い顔が瞼の奥に浮かぶ。瞬間的に生まれる赤い赤い目。
その神様だってもういないのだ。彼には何もできない。
「何もできないってことはないさ」
こちらの考えを読みとったように、声が言った。
「これで君は俺の”欠けた部分”を知ったろ? それは君の中にある欠陥でもある。
 俺にはもう何もできない。だが君には違う。まだ先がある。その時のために、
 よく考えるんだ。俺がどうして、どこで間違ったのかをね」
彼は無言できつく握っていた拳を開いた。空を掴み、放し、また力なく握る。手の中の闇は冷たかった。
彼はうつむいた。
同じ闇の中で、声はふっと笑いのようなものを含んだ。
「君には済まないと思ってる。最後まで優しい接し方って奴ができなかった」
でも、死者ってものは、得てして恨み言を言いたがるものなのさ。
それを最後に、声は嘘のように消えた。
彼ははっと顔を上げた。
途端に、視界が開けた。眩しさが網膜を射る。しばらく目を庇ってから、彼は頭上を見上げた。
岩山の影から欠けた月が昇ったところだった。
「…青葉さん?」
彼は無駄と知りながら呟いた。
月明かりに照らされた砂浜には、彼と初号機以外の足跡は残っていなかった。
青い光の下で、波が静かに打ち寄せ、また引いていった。

77 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/24 16:33 ID:???
以上、死者登場でした。
……鬱打死悩。

初号機出番なし。
青葉氏、説教してるし。
すんませんでした。何て言うか…ごめんなさい。

青葉氏って、悪気はないんだけど根本的に冷たい人かも、という俺的解釈、でした。
補完のシーンや、ここで書いた第拾九話「男の戦い」での対応とかから考えたものです。

マジに鬱打死悩。
でもたぶん、続く。

78 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/24 22:23 ID:???
イヤ いいです 実にイイ 
青葉シゲル総合スレッドに紹介したくなるくらいイイ


79 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/25 16:25 ID:???
>>78
ありがとうございます…
最高のホメ言葉です。すごく嬉しいです。
紹介、されるのなら、記念すべき「シゲルニュース」第一弾になるのでしょうか。
…シゲルニュース。
なんかイイ語呂ですよね。とか。

80 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/30 21:43 ID:???
保守sage

81 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:02/12/31 02:44 ID:???
>>80
ありがとうございます…
本当にいつもすみません。
今年はもう書けそうにないですが、年明けは某スレが暇そうなので、
こっちにたくさん書きたいと思います。
待たせてばかりで、ごめんなさい。

それでは、良いお年を。

82 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/06 01:57 ID:???
保守

83 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/07 09:44 ID:???
…あけましておめでとうございます。
今年の目標。
 「できない約束はしない」
情けなや。
>>82
本当にごめんなさい。

では続きを。

84 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/07 10:51 ID:???
気がつくと朝だった。
いつ眠ったのか、いつ目が覚めたのか、はっきりしない。
目を開けたら初号機が傍に膝をついて覗き込んでいた。その向こうに青空と流れる雲が見えた。
彼がまばたきすると、エヴァは立ち上がって視界から消えた。背中から伸びる
長い光の羽根が一本、エヴァの動きに従って緩やかに空中を泳ぐ。
彼はそれを目で追って、それから起き上がった。
また砂地の上に寝ていた。ふと横に目をやると、完全に消えた焚火の残骸が黒く残っていた。
砂を払って立ち上がり、大きく深呼吸してみる。途端に咳き込んだ。
空気はびっくりするほど冷たい。
同時に寒さの感覚が戻ってきた。半袖から出ている腕が、何か鈍い刃物で切りつけられるように痛む。
あまりに冷えきっているために、普段は感じない空気の抵抗が何倍にも増幅されているらしい。
寒さってある意味凶器だと思った。吐く息が白く凍る。
彼は両腕で身体を抱え、足踏みをしながら周囲を見回した。
湖は真っ白な靄に包まれていた。湯気のような蒸気の流れに隠れて、水面は見えない。
と、岩山の向こうから太陽の光が射した。
暖かい光が湖面に溢れる。最初の陽差しを受けて、靄が一斉にまばゆく輝き出す。
彼は目を細めて、光を放ちつつ融けてゆく朝霧の渦を見つめた。
背後で足音がした。
一瞬、昨夜の出来事が頭の中を走り抜ける。彼は大きく振り返った。
そこにはエヴァが立っているだけだった。
「あ…」
力が抜けた。無意識のうちに緊張していた全身が緩む。彼は唇を噛んだ。
やっぱり誰かに会いたくてたまらないのだ。
その癖、それと同じくらい強く、怖がっている。
エヴァ相手ならここまで動揺も不安も、期待も、感じないのに。
いつまでもこのままじゃいられない。でもまだ、どうすればいいかわからない。
彼は、自分よりかなり背の高いエヴァを見上げた。エヴァはごく静かにそこに立っていた。
何も応えず、何も表さず、何も示さないまま。

85 :ひとりあそび・29:03/01/07 13:53 ID:???
その日一日は湖の傍で過ごした。
日が昇ると、気温は朝の寒さが嘘のようにぐんぐん上昇し、あっという間に汗をかく程になった。
彼とエヴァは、最初日陰から日陰へうろつき回っていたが、それも真昼になると
影が短くなりすぎて無理になった。
湖の波打ち際まで、白い砂がじりじりと陽差しに焦げている。
そうなると避難場所はひとつしかない。
覚悟を決めて水の中に入った。自分でも驚くほど身体は水に馴染んだ。既に一度、
赤い海で泳いだからかもしれない。思いきって顔もつけてみる。
水の中は冷たくて明るく、思ったよりずっと気持ちが良かった。
ふと見ると初号機はとっくに沖の方まで泳ぎ出していた。
水を浴びてきらきら光る紫色の身体が、まぶしい波間から見え隠れする。エヴァが泳ぐなんて
思わなかった。なんだかよくわからないフォームの割に、泳ぐ速度だけはやたら早い。
彼は濡れた髪をかき上げて笑った。

86 :ひとりあそび・30:03/01/07 13:57 ID:???
しばらく遊んだ後、汗と埃で汚れきった服を洗濯して、干した。
ついでに運動靴も洗った。
エヴァは洗濯が終わる頃に戻ってきた。また魚を捕ってきていた。
昼の陽差しの下でよく見ると、それも小さい使徒だった。白い魚の形をした奴。
アスカと初めて会って、弐号機で一緒に倒した使徒だ。昨夜深く考えないで食べてしまったのは
これだったらしい。
彼はしばらく黙ってビチビチともがく魚使徒を眺めていたが、やがて笑い出した。
昨日、他の使徒に殺される青い使徒を見て怒りを覚えた自分が、そのすぐ後に
別の使徒を殺していたのだ。
結構、ショックだった。
にもかかわらず空腹、そして食欲さえ感じている自分がおかしかった。
腹の底から笑えた。笑いながら繰り返し涙をぬぐった。
この世界がイカレてるっていうなら、彼自身もとっくにその一部になっているのだと、思った。
…魚使徒は、イカみたいな固い皮をむいて、腹を開いて焼いて食べるととてもおいしかった。
コアはなかった。その代わり、内臓の中からたくさんの青いかけらが出てきた。
あの小さい青い使徒がこいつらの食糧だったらしい。
青い使徒を魚使徒が食べ、魚使徒を彼が食べて、それぞれ命を繋ぐ。
誰も死にたくないから、当たり前のことだ。
それだけのことだと思おうとした。
食事を済ませると、彼は昨日の戦闘の跡から青いかけらを拾い集めてきて、湖に撒いた。
昨日は青い使徒たちの墓を作ろうと考えていた。でも、たぶん、こうする方がいい。
エヴァはやっぱり何も言わなかったが、彼が何度も往復するうち、傍に来て手伝ってくれた。
エヴァと一緒に大量の青い死骸を抱えて歩きながら、彼は泣いた。
全て終わるまで、涙は止まらなかった。

87 :ひとりあそび・31:03/01/07 15:17 ID:???
最後まで水気が抜けなかった靴がやっと乾くと、もう夕方だった。
埃をはたいて靴を履き、早めにまた焚火を熾す。
少しずつ赤く染まっていく透明な空にぽつぽつと星が光る。
エヴァは妙に哲学的な顔をして、増えていく星を見上げていた。
彼はその横顔をときどき見つめながら夕食分の魚使徒を焼いた。揺れる火影に照らされた
初号機は、装甲の紫が色褪せてなんだか幽霊のように見える。でも、手を伸ばすと
確かにすぐそこに坐っている。
小さい子供のように、安心する。
本当はエヴァのことなど全然気にもかけていない癖に、そんなふうに頼る自分が許せなくて、
でもどうしようもなくて、言い訳する。今はエヴァしか頼れないから、自分は無力だから、
まだ死ぬ訳にはいかないから。そしてまた不安になってエヴァの方に手を伸ばす。
火がはぜる。
彼は頭を強く振って、厭な考えを頭から追い出そうとした。
「…明日になったら、ここを離れようと思うんだ」
口にしてみる。エヴァは星を見るのをやめてこっちを向いた。

88 :ひとりあそび・32:03/01/07 15:23 ID:???
「ここにいればとりあえず生きていけそうだけど、なんか、立ち止まるのが厭なんだ。
 ここには先に住んでる奴もいるしね」
食べ終わった魚使徒の骨を取り上げ、湖の方に投げる。水音。湖の方はもう真っ暗だ。
そういえば、と彼はエヴァを見た。昨日ならとっくに活動停止している時間なのに、大丈夫なんだろうか。
エヴァの背中からはまだ”日中用”の充電羽根が長く伸びている。
「…いいよ、休んでも」
気がつくと、ごく自然にそう言っていた。
エヴァは問いかけるようにこっちを見ている。彼はふと思い出して顔を強張らせた。
エヴァが止まった後、また誰か、声だけの誰かが来ないっていう保証はない。
もしかするとエヴァは、昨夜あれからあったことを知っているんだろうか?
彼は目つきの悪い顔から何か読みとれないかと、しばらく目を凝らしてみた。無駄な努力だったが。
でも、心配されてるのかも、と想像するのはなんだか嬉しかった。
「僕は大丈夫だからさ。無理しないでいいよ」
そう言って笑ってみせると、エヴァはしばし考えるような動作をし、光る羽根をするすると引っ込めた。
最後にちょっとだけ彼の顔を見る。そして、急にがくりと動かなくなった。
坐った姿勢のままのそれは、もう無機物にしか見えなかった。今の今まで動いていたのが嘘のように。
彼は不思議に静かな気持ちで停止したエヴァを眺めた。
それから、焚火に新たな流木を足して、星だか神様だかに真剣に祈った。
今夜は誰も来ませんように。

89 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/07 15:31 ID:???
たぶん、続きます。

訂正です。
>>84の名前欄、間違い。正しくは「ひとりあそび・28」

どこに行こう。
当初は赤い海から街を目指してた筈なのに、
サキエルシャムシエルから逃げる間にとんでもない方向に来てしまった気が。
順番から行けば次はイスラフェル…
もしくは他のエヴァ。
マトリエルなら、妙な生態ネタできてるんですが。

90 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/09 21:11 ID:???
つーか、海の次は順当に山でしょ、山

91 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/10 16:03 ID:???
ついでに最下層

92 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/10 17:09 ID:???
最下層と言われるとageたくなるne?

93 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/10 17:16 ID:???
あらら、いつの間に
とりあえず一日目の足跡ぺたぺた〜

94 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/10 20:51 ID:???
あのスレ以外認めん

95 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/10 22:30 ID:???
スレタイとしちゃ最低だスレが最強だったな

96 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/10 23:19 ID:???
http://www.content.loudeye.com/scripts/hurlPNM.exe?~mm-475124/0187197_0103_07_0002.ra

97 :山崎渉:03/01/11 04:54 ID:???
(^^)

98 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/11 15:17 ID:???
はつかきこでおま〜
きながにがむばってください
ぶくまくしてまつ

99 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/11 17:55 ID:???
最下層で

100 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:03/01/11 17:55 ID:???
100げと!

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